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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

カテゴリー「TV(ドラマ)」の記事一覧

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春ドラも終盤に入りましたが……

 もう半分以上すぎた春ドラですが、フランソワさんが律儀にアップしていたので私も頑張ってあげてみます。

 現在見ているのは8本です(大河と朝ドラを除く)。
 1話で脱落したのが「猟奇的な彼女」と「キミ犯人じゃないよね?」の2本。
 最初から録画してるけどまだ1話も見てないのが「パズル」。
 最初から見てないのが「ROOKIES」「7人の女弁護士」「ごくせん」の3本(基本的に続編は見ないので。「渡鬼」は見てるけどね)。

 8本全部コメントするのもしんどいので、5本だけ(たいして変わらないか)。

「ホカベン」

タイトルの印象でコメディタッチの群像劇を想像していたら全然違いました。
いまどき珍しいほど直球シリアスです。正面からど〜〜〜ん! 笑いいっさいなし。みたいな。
現役弁護士が原案というだけあって、実際に弁護士が直面するであろう現実的な悩みがなまなましく描かれています。
今までドラマに出てきた弁護士ってほとんどが個人営業かもしくは少人数の自営で、組織人という印象が薄かったんですが、今回のヒロインは大手の法律事務所に入ったばかりの新人という設定で、扱う事件やクライアントに悩む以上に「法律事務所という組織」あるいは「弁護士という職業」あるいは「法律そのものの意味」に悩むんですね。この視点は新鮮だし、ヒロインが味わう苦悩もよく理解できます。
弁護士になったからこそ見えてくる日本の「法」のあり方。
正義が相対的なものになるというおそろしさ。
弱者を自ら傷つけなくてはならない弁護士という職業の業の深さ。などなど。
裁判員制度実施を控えた今、多くの人に見てもらいたいドラマですが、残念ながら視聴率はパッとしない模様。
ドラマとしてはストレートすぎる作りでもう少しふくらましようがあるのでは?と思わなくもないですが、作者はこれを書かずにはいられなかったんだろうなと思われる問題意識とかパッションを強烈に感じるので、それにひっぱられてつい見てしまいます。

上戸彩と同期生役の加藤成亮はどっかで見た顔だと思ったら(←ジャニーズにうとい私)……おお、「金八」で性同一性障害の上戸彩と同じクラスだったハセケンではないか!
3B仲間だった2人が今や弁護士役で共演とはねえ。しみじみ。
でもハセケンさー、メガネが超似合ってないんですけど。つかメガネだけが浮いてるんですけど。かけるならもっと普通のメガネにすればいいのに、なんであんなに目立つフレームにしたの?
メガネの一点だけでどうしてもハセケンの役に違和感をおぼえ続ける私です。

「おせん」

これについては6/4発売号の某TV雑誌に書いているので詳しくは触れません。
おせんのキャラはかーなーりー原作とかけはなれてますね。
原作はもっと粋でコケティッシュで天衣無縫って感じなんですが、蒼井優のおせんはぽわ〜んとして浮世離れした世間知らずのお嬢さんって感じ。
蒼井優に原作のイメージでやれといっても無理だろうし、キャラ変更はそれはそれでありだと思うんですが(原作のおせんはみんなにとってのカリスマですが、TVのおせんは「守ってあげたくなる」タイプ)、メインのキャラを変えるなら、それに合わせて周囲のバランスも考えないと…。
どうもね、老舗料亭にしてはメンツに風格ないっていうか、もう少し老舗然とした気むずかしそうなメンツを揃えてほしかった。そういう人たちがおせんのような頼りない小娘をまつりあげるからこそおせんの価値も上がるのではないでしょうか。
今のところ、常連もあまり出てこないし、おせんの信奉者がもっといっぱい出てきてもいいんじゃないかっていう物足りなさを感じます。

一部では板前が長髪なのがありえないと非難されてますが、それよりも気になるのはおせんの髪です。後ろの髪を片側にまとめて前に垂らすアレね。
あれがもう気になって気になって。食べ物扱う人がアレはないでしょ。
ハセケンのメガネと同じくらい気になります。
普段はあの髪型で、お客の前に出て給仕するときはアップにするというならわかるけど、逆っていうのがよくわからん。

「無理な恋愛」

これ、けっこうお気に入りのドラマです。今期一番のおすすめです。
人物造型を空気感から作っていく岡田さんの脚本らしく、登場人物全員が実際にいそうな存在感をかもしだしています。
それだけでなく、全員が「しどころ」を与えられているので「便宜上出しました」という役がない。これって大事なことです。
前半は笑えるタッチ中心でしたが、中盤に入って大人の人生のほろにがさみたいなものもしみじみ出てくるようになって、バランスのいい上質なドラマに仕上がってます。

夏川結衣は「結婚できない男」以来「崖っぷちの女」という役どころを当たり役にしたようですね。
今回は「女優になる夢をもって一緒に上京し、いまだに再現ドラマで頑張ってる幼なじみ同士」という設定の鈴木砂羽とのコンビがいい味を出してます。
再現ドラマの扮装をしたまま休憩時間に悩みを愚痴りあうという図がなんともおかしくて。
「やだ! しわを書いたら私お母さんにそっくり」
「私なんてほら、おばあちゃんに似てるんだから」
「いやー、ほんとだー。リツコのおばあちゃん、なつかし〜!」
というやりとりには爆笑しました。
「あるある」というのと同時に、この2人が小さい頃から家をいったりきたりするくらい古いつきあいなんだということがごく自然にわかってほほえましかった。
しかし、この再現ドラマ、若い女性以外の役すべてをこの2人でやってるんだけど………男の役くらい男を調達しろよ>ドラマの中のTV局
しかも常に鈴木砂羽のほうがコスプレ度のハードルが高く、ニューハーフからエロジジイまで演じちゃうんですよ(そしてそのメイクのまま休憩室でリアルの恋バナをする)。最後はどこまでいっちゃうんだろうとちょっと心配です。

ドラマの中でおおっと思ったのは、夏川が堺正章のために「今日はごちそう作って待ってますから!」というシーン。
なにを作るのかと思いきや、なんと「ロールキャベツ」だったんですよ!
そう。「結婚できない男」で夏川は、ロールキャベツばっかり作って阿部ちゃんに「ふん。またロールキャベツか」と鼻で笑われる役をやってました。
この作品で夏川ファンになった人ならこのネタに反応しないわけがありません。
絶対これは狙ったね!
考えてみれば、脚本家こそ違うけど「結婚できない男」も同じ枠のドラマでしたね。
前クールの「あしたの、喜多善男」でも中年男が主人公だったし、この枠ってなんか加齢臭が漂ってませんか。
でもドラマのレベルとしてはどれも高いんですよ。もうここまできたら毎クールおっさん主役で作ってくれ。1つくらいそんな枠があってもいいじゃないか。

「Around40〜注文の多いオンナたち」

最初は「なんかコンセプトばかりが目立って登場人物の肉付けが薄いドラマだなー」と思ってましたが、徐々にこなれてきた感じです。
精神科医の聡子(天海祐希)は「結婚」、専業主婦の瑞恵(松下由樹)は「仕事」、雑誌編集長の奈央(大塚寧々)は「子供」。
それぞれ自分に欠けたものを求めてじたばたするわけですが、正直奈央だけが全然共感できません。
聡子、瑞恵は、本当にそれがほしいと思う気持ちがわかるんですが、奈央は「本当に子供がほしい」というよりは、「みんなが持ってるものは全部手に入れたい」という動機にすぎない気がして。
きっとこういう人は、子供が産まれたら産まれたで、自分のキャリアの道具に平気でするんだろうな。この人見てると自分以外の人間はすべて「利用する」ためにあるんじゃないかって気がしてならない。そういう人は結局自分が利用される羽目になるんですけどね。
あげくのはてに「こんなに頑張ってるのにどうして私だけこんな目に遭うの?」とメソメソするのもうざい。頑張ってるのにうまくいかないのはあんただけじゃないんだっつの。
そのくせ、頑張って初めて契約が1件とれたと喜ぶ瑞恵に「1件くらいでそんなに喜ぶなんておめでたい人」とか言って水を差すし、人が頑張ろうとすることについては「そんなの無理」とか簡単に決めつける。相当性格悪い。ていうか人として未成熟だと思います。
聡子も瑞恵もなぜか彼女には寛容で、彼女に意見できるのは幼なじみのまーくん(筒井道隆)だけなんですが、彼はじつは奈央に惚れていて、しかも奈央は彼を軽く見ているという関係のため、視聴者としてはイライラする一方。

私が一番好きなのは主婦の瑞恵です。
一生懸命家族のために働いているのに、夫にも息子にもいちいち舌打ちされ、「パン買って食べたから」と息子が残してきた弁当をもったいないからと一人で黙々と食べる姿が「あるある、こういうの」と妙にリアルで、しかも豊満な松下が演じていると「そうだよね。こうやってみんなが残したご飯食べてたら体重も増加するよね」という説得力もあり…(笑)。
夫の舌打ちに傷つき、一念発起して仕事を始める瑞恵ですが、コピーのソータ機能を知らなくてコピーに時間がかかり、社員にも舌打ちされてしまいます。
私もオフィスから離れて久しいのでコピーの多機能は使いこなせないクチですが、一瞬のうちに書類を仕分けしてホチキスどめまでやってくれるコピー機を見せられたときには「こんなに簡単にできるなら舌打ちとかしてないでてめえが自分でやれよ(怒)」と思ってしまいました。新人に教える手間を省いて成果だけ望むのは横着というものでしょう。
ともあれ、失敗しても恥をかいてもすぐに気を取り直して次へ進もうとする瑞恵は、ちょっと勘違いや天然ボケも入っているものの、3人の中では一番応援したくなるキャラです。
松下といえばキャリア女性の役が多く、それこそコピーも満足にとれない主婦がいたら「ちょっとあなた、なにやってるの。このくらい派遣会社で教わってこなかったの(舌打ち)。もういいわ。休憩いってちょうだい」とか言いそうなイメージなんだけど、今度はいじめられ通しなのが笑える。でもこういう役はこういう役でホワッとかわいらしくできてしまう松下由樹がすごい。

聡子については、キャリアが高すぎという点を除けばけっこう今の時代ならではのキャラだと思います。
昔はなにかを諦めなければならない時期(リミット)が早かったので、迷うのも悩むのも若いうちだけで済んだけど、幸か不幸か今は違います。
40っていったら、ちょっと前までは「出産はもう無理」「結婚も後妻とか連れ子ありならともかく、恋愛なんて無理」だったけど、今は40代の出産は珍しくないし、年下男とのカップルも市民権を得ている。
つまり「無理」と言われれば、無駄な欲望はあきらめておとなしく自分のもっているもので幸せを追求できるのに、なまじ可能性がいつまでも残されているためにずっと煩悩から離れられないってことです。
可能性があることはいいことだけど、それにふりまわされると自分を見失い、焦りだけが増幅していく危険もあります。
まーくんのように「自分は自分。これでいい」と立ち位置を決められる人が一番幸せなのかもね。
まーくんを見ていると「無理な恋愛」に出てくるムッシュかまやつを思い出します。あれもまだ恋愛したいとじたばたする60男がかまやつのところにいりびたってたな。
で、散々愚痴っては「いいよね〜、あんたは」っていうと、かまやつが「心の底からそう思ってないでしょ」と返し、「うん。思ってない」と答えるパターンで終わる。
まーくんもそういう存在だね。みんながいりびたってじたばたして愚痴りまくるけど、まーくんはいつも変わらずそこにいる。北極星みたいな存在だね。でも自分が北極星になりたいとはみんな思ってないんだな。

それにしてもまーくんの店、3人娘とその関係者以外の客が入ってるのみたことないんだけど大丈夫なのか?
それなのにメニューにない料理もサッと出てくる。どんだけ材料無駄にしてんだ。
ハセケンのメガネとおせんの髪の毛と同じくらい気になる。
瑞恵も知らないおっさんの店なんてはやらせてないで、まーくんの店の経営状態のことも心配してやれよ。

「ラスト・フレンズ」

DV、性同一性障害、セックス恐怖症などなど、フツーの人が一人も出てこないドラマ。
ただ、これだけのネタが揃ってるわりにはヘビーでも暗くもないです。
わりと記号的にスーッと扱われちゃってる感じで。
DVについては、このあいだ仕事で相談窓口の人に取材したことがあるんで、ああいったことがあるのは知ってましたが、ちょっといくらなんでも暴力ふるうの早すぎっしょ。
最初は人の携帯覗き見してただけで充分異様なものを感じますよ。
それで「え?」と思うと次の瞬間はいつものように優しいんで「気のせいか」と思う。
次は交友関係についてしつこくきいてきて違和感をおぼえるけど、次の瞬間はやっぱり優しいんで「気のせい」だと思う。
次は反論したらいきなり殴られてびっくりするが、相手があわてて謝ったので不安に思いながらも受け入れてしまった。
そういう過程を少しずつ重ねていって、気がついたら殴られるのが日常になってた……っていうならわかるんだけど、一緒に住んだ翌日にいきなりここまでのことが一気に起こるというのは、いくら初回で衝撃的にしたかったからってやりすぎです。

DVは一種の洗脳です。
洗脳期間がないまま描かれても「このまま逃げるのが普通でしょ」とまわりに思われるだけで、逃げない女が間抜けに思えてしまう。
少なくとも最初は1回手が出ただけにとどめてほしかった。
それならとびだしていった彼女を追いかけていって必死に謝る彼の姿に次へつながる何かが見つかったと思う。
だいたいあんなにボコボコに殴られて、あざひとつできず、誰も異変に気づかないのはありえないでしょ(2回目のときは顔が変形しててみんな大騒ぎしてたけど)。
そもそもDV男は外面はすごくいいんですよ。
彼女の友だちに対してもっとうまくふるまって、友だちが「いい彼じゃない。あんなに謝ってるんだから戻ってあげなよ」と言い出すくらいのことはすると思う。
その中で瑠可だけが「あの男は危険」と見抜くとかね。
なんかまわりの反応がみんな一緒だから薄っぺらに見えちゃうんですよ(瑠可の家族にしても同様)。
今のままだと宗佑は単にホラーの殺人鬼みたいな理解不能の存在で終わっちゃいそう。
それにしてもあのシェアハウス、共同スペースのリビングは広々として快適で心地よさそうだけど、一人ひとりの部屋は狭くて暗くて殺伐としててなんか独房みたい。
それも彼らの人間関係を象徴しているのかな。

余談ですが、私は「瑠可」って名前がなにかのキーワードかと思ってました。
ルカといえば聖人の名前なので、親がクリスチャンなのかなと。
私の高校時代の同級生にもいたんですよ。「サラ」「ルツ」「イサク」という3姉弟が。
やっぱり家がキリスト教徒でした。
瑠可がセクシャルなものに嫌悪感をおぼえるのは、厳格なクリスチャンの両親による抑圧の結果かなとか想像してました。
性同一性障害よりそっちのほうがおもしろそうなんですけど。

 長くなりましたが以上です。
 皆さんのお気に入りのドラマはなんですか?

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冬ドラチェック(2)

 新ドラチェックの残り、書こうと思いつつ「だいすき!!」だけがどうしても録画を見る機会を得られず、ずっと延ばしてきました。
 もう始まって4回も5回もたってて、「今更…」って感じですが、先日ようやく初回だけ見ることができたので一応残り5本にも軽く触れておきます。

「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(TBS/日曜9時〜)

脚本の森下佳子は、「白夜行」で見事な脚色の手腕を見せた(原作には書かれていない犯人側の視点で物語を再構成した)人で、オリジナルでも「平成夫婦茶碗」というのんびりとした人情ドラマを書いたりしているので、今回はどんな切り口になるのかと楽しみにしていました。
たしかに初回はそこそこ楽しめましたが、2回目以降はどうも話の焦点がさだまらなくなっているような気がします。
このドラマについては「TVステーション」(2/27発売号)に書く予定なので、具体的なことはそちらで書きます。

「エジソンの母」(TBS/金曜10時〜)

すっごくおもしろいとは思いませんが(なんか話の進み方が一本道すぎて)、肩の力を抜いて見られるというか「安心して見られる」ドラマだと思います。
子供の「どうして?どうして?」攻撃は珍しくありませんが、どちらかというと、それ言うと大人が困るからおもしろがってわざと連発するというケースが多数です。
でもこの子供は純粋に「知識欲」が異常に強いんですね。
純粋なだけに答えられない大人は困る。
私は子供から質問されるの大嫌いだから教師にだけはなりたくない(いや、他にもなりたくないものはいっぱいあるけど)と思っているので、見てるだけで先生方には同情でいっぱいになります。
ほのぼのした中にもドラマの作りにそこはかとなく「きまじめさ」が漂うのはTBSだからかですかね。

「未来講師めぐる」(テレ朝/金曜11時15分〜)

いつもながらのクドカンワールドではありますが、いまひとつ上滑り感があってのりきれません。まあ私は「木更津キャッツアイ」にものれなかったシニアなので、これがいいという人もいるのかもしれませんが、同じクドカンなら他にも好きなものいっぱいあるしなあ。
深夜枠なんだからバカバカしい笑えるものでいいじゃんと言われればそうなんですが、中途半端にまともな人生訓のようなものが入るので、そのへんがどう見たらいいのやらむずがゆい。
ギャグはおもしろくても人物造形が雑なのがいやなのかも。一見メチャクチャでも「この人何がしたいの?」「なんでここで気持ちが変わるの?」という部分が一本通ってればのれるんですが、そのへんが曖昧で散漫だから気持ちが冷めちゃうのかもしれない。
スピード感がいくらあっても、方向がはっきりしないと同じところぐるぐる回ってるだけみたいになっちゃうし。
あと深夜だからしょうがないのかもしれませんが、他のクドカン作品に比べるとキャスティングがマイナーすぎじゃないでしょうか。

「鹿男あをによし」(フジ/木曜10時〜)

原作おもしろいらしいけど私は未読。
たしかにシチュエーションは独創的ですね。
玉木くんは鹿っぽい顔なので、それでキャスティングされたのかな(笑)。
ただ、ファンタジーながらバックグラウンドがけっこう複雑(歴史的背景などがからんでいて)なので、説明が多いのがちょっときびしいかな。
小説なら気にならないのかもしれないけど、TVでやられるとね。
あと、綾瀬はるかがやっている同僚の藤原は、原作では男らしいんですが、なぜ女に変えてしまったんでしょうか。まあ事務所の都合でしょうが。
でもなんかこの人は女じゃないほうがいいような気がするんですよね。
「ガリレオ」もそうだったけど、相棒を異性にするとどうしてもラブの雰囲気がからんでくるんで、邪魔な感じがしちゃうんですよ。
フツーに空気読めない“歴史オタク男”にしちゃえばよかったのに。
話の世界観の中で綾瀬はるかだけが浮いているように見えるのは私だけでしょうか。

「だいすき!!」(TBS/木曜10時〜)

これはね、まだ初回しか見てないんであくまでも初回だけの印象ですが、私としては不満がいっぱいですね。
知的障害者が子供を産む。
それはまあ産まなきゃドラマにならないし、そのへんの是非はとりあえずおいておくとして、このドラマのケースはちょっと周囲の対応がひどすぎる気がします。

ヒロインの柚子は自分の身の回りのことも母親の手を借りないときちんとできなくて、障害者自立支援のためのワークセンターと家を往復する毎日という設定なんですが、じつはセンターで仲良くしている男性(彼も軽い知的障害を持っている)がいて、彼が突然事故死したことをきっかけに「彼とつきあっていたこと」「彼の子供を妊娠していること」が家族に知れるんですよ。

自分一人で行動できる自由がこれだけ限定されているにもかかわらず、誰にも知られないまま、いつどういうタイミングでそういうことになったのか。母親もセンターの職員もまったくこのことに気づかなかったというのがまず信じられません。
だって5ヶ月目に入ってるんですよ。その間、体調の変化もいろいろあっただろうし、本人が気づかなくても、いつも娘のことを心配して過保護なほど世話を焼いているはずの母親が気づかないっていうのはありえないでしょう。

なによりも本人が妊娠したことを認識しているというのもちょっと意外でした。一人で病院に行ったとは思えないし、検査薬を買ったとも思えないし、性に関する知識がいったいどの程度あるのかわからないけど、周囲にうまく隠したりごまかしたりできるようにも思えないし、見ていて「母親が気づかずに本人がわかる」っていうのが不自然な気がしました。

当然、周囲は出産に大反対する……かと思いきや、わりとそうでもないんですね、これが。
一番反対したのは母親で、あとは「産ませてあげたい」と無責任な希望を言うのみ。
その母親にしても「私、お母さんみたいなお母さんになりたいの」というありがちな娘の一言であっさり翻意。
で、承諾したからには自分が責任をとるのかと思いきや、その家庭は母子家庭なので、自分は昼間働きに出ていて、娘と生まれた赤ん坊は家に置き去りですよ。

で、その保育状況を見にきた役所の保健師が「娘さんに突発的出来事の多い子育ては難しいと思います」と言ったら、母親は「そんなできないことばっかり言われても。今からたたんでおなかの中に戻すわけにはいかないじゃないですか」と逆ギレ発言。
これには「はあ〜?」って感じでした。あのー、そういうのを「開き直り」って言うんじゃないでしょうか。

おまけに「手のかかる時期だけでも施設に預けてはどうでしょう」と提案されたら、「ゆずは一生懸命頑張ってるんです。そんなのかわいそうじゃないですか」と反論。
「頑張ってる」「頑張ってる」って葵の御紋みたく言いますけどね、お母さんはみんな頑張ってますよ。人間ひとり作り上げるんだから当たり前でしょう。
そりゃあ産んだ本人は満足でしょうが、生まれた子供は常に危険にさらされてたまったもんじゃないですよ。
ゆずの子供への接し方は、ペットを与えられて大喜びした子供が「一人でできるもん」と駄々をこねているようにしか見えません。

障害者の自立が重要なのはわかります。
ゆず本人が何かをやりたいと強く希望し、努力しようとするのを妨げる権利はまわりにはありません。
でも子育ては人の一生がかかっているんだからゆずだけの問題じゃないんですよ。
ゆずへの同情論だけで判断するのは危険です。
私には保健師の言うことだけがまともに聞こえましたが、その保健師だけが悪役、とまではいかないけど損な役回りって感じで妙でした。

さ・ら・に。
最大の疑問は、ゆずの弟です。
母子家庭、知的障害の姉が単身で子育て……という何重にも過酷なこの家庭環境で、なんと音大に通ってんですよ、音大。なぜよりによって音大。
あまりにも一人だけ浮世離れしすぎだろう。

「お金がないから特待生で通っている」というエクスキューズは一応あるんですが、そんな目先の学費だけの問題じゃなく、ピアノ科なんて入る学生は、幼少時より親子二人三脚で個人レッスンを浴びるように受けてきてる人ばかりで、お金も時間も、そしてなによりも親の熱意が必要なんですよ。
家にピアノがない人が特待生で入れるなんて話、きいたことないよ。
同じお金がかかるなら医大出たほうがまだ将来稼げるだけいい。ピアノ科なんて出ても仕事ねえべ。

しかも、この弟が「姉貴のせいで俺の人生が犠牲になるなんてまっぴらだ。俺は自分のやりたいことをやる」という屈折でももってるならまだ勝手なことを一人でやってるのもわかるんですが、やたらに姉思いの優しい青年なんですよ。
「姉貴に好きな人ができて俺もうれしいよ。産ませてあげようよ」…って言うことだけは理解ありげ。なのに自分はなんにもせずにピアノ弾いてんの(笑)。
ちょっとだけ「俺、もっとバイト増やそうか」と母親に言うシーンがあって却下されてましたが、本当に家族思いのキャラなら「姉貴が本気で子供産むなら俺はピアノやめて就職する。母ちゃんは仕事減らして子育ての手伝いをしてやってくれ」くらい言ってもいいと思う。結果的には却下されたとしてもね。

だってこの状況で子供産むってそのくらい大きな決断ですよ。
家族で応援するってそういうことでしょう。
みんな口だけじゃんかよ〜。
そしてそのツケはすべてゆずの子供へとまわっていくと思うと次回以降を見るのが今から不憫です。
初回の終わりで子供は一気に2歳になってしまいますが、2歳までの道のりってすごく大変だと思うけど……あっさりカットなのか……。

いろいろとひっかかるところが多い「だいすき!!」ですが、今後は余喜美子演じる保健師がキーパーソンになりそう。どんな過去があるのかだいたい予想はつくけどね。
私としては、同じ知的障害をもつ友だちをもう一人くらいフィーチャーさせたらもっと深くなったんじゃないかと思うんだけど。
その子は好きな人の子供は産めなかったとかね。私がそういう立場だったら、健常者との差異よりも同じ障害者との差異のほうがせつないし、気になると思うので。

 以上、冬ドラチェック、ようやく完了しました。
 お疲れ>自分

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冬ドラチェック(1)

 冬の連ドラが一斉スタートする季節ですね。
 秋は公演準備その他でほとんど脱落してしまったので、今期は気持ちを新たにして臨みたいと思っております。
 まだ全部見切れていないのですが、とりあえず今のところチェックした7本だけコメントしておきます。

「篤姫」(NHK/日曜8時〜)

下の投稿にも書いたんですけど、やっぱりどうにもこうにもなじめないです。
巷では「薩摩弁がまったくないのはおかしい」とか「いや、上級藩士は標準語をしゃべるようになっていたらしい」とかいろいろ言われてますが、私が気になるのはそんなことじゃないんですよ。
方言があるかないか以前の問題として、「時代劇」の言葉にきこえないのがひっかかります。
動きもセリフも口調も表情もすべて「現代人そのまま」なので、「幕末のドラマ」を見ている気にまったくなれないんです。
方言ということで言えば、前回の「風林火山」でも百姓役以外は誰も方言なんてしゃべってなかったけど、強烈に「時代劇」を見ている気分になれました。
現代人の視点を入れるのはけっこうだし、とっつきやすくするために現代風にするのもかまいませんが、当時には当時の価値観というものがあるわけで、それを現代人の感覚で「合わない部分は修正する」っていうのはどうなんでしょう。
今と違う価値観の縛りがあるからこそ時代劇はおもしろいんじゃないですか?
たとえば、当時の薩摩だったら男尊女卑がかなり強い風土だったと思うんですが、そういう気配が微塵も見えないばかりか、於一(篤姫の少女時代)があまりにも我が物顔で、周囲の男たちはあまりにも軟弱で……という図式なのは、現代人には自然でも時代劇としては不自然です。於一が暴れん坊だったという描写をしたいのはわかりますが、それにしてもその時代の「枠組み」のラインというものがあるでしょう。
一番驚いたのは、お家の敵となる調所さまが自害したとき、形見の偽金を埋めながら「私、このお方が好きでした」と言うシーン。
瑛太が「めったなことを口にされるでない」ととがめると、いきなりキレて「なぜですか?! 私の心は私だけのもの。誰にも指図は受けません!」と於一が言い放つんですよ。
「おまえはエリザベートか?!」
おそらくこの瞬間、全国の「エリザベート」ファンが一斉に同じリアクションをしたはず(今回、山口祐一郎が出てるんで、エリザファンの視聴確率は高いとみた)。
いくら現代風でもこれはないと思います。
そのうちに瑛太が「篤姫〜。開けてくれ。きみが恋しい」とかドア越しに歌っちゃうかもね…とエリザファンと予測トーク中(笑)。

「薔薇のない花屋」(フジ/月曜9時〜)

久々の野島ドラマ。
オリジナルが書ける作家が少ない今、楽しみな1本です。
省略のきかせ方など、今までの野島さんからさらに進化を感じさせる緊張感があって、まずは期待通りの滑り出し。
演出の見せ方も明確でいいなーと思ってたら中江功で納得。ショットの積み重ねが独特で、詩情をかもしだすのもうまい人ですよね。
ただ……うーん、野島ドラマは適度な違和感がお約束なので多少のことには目を瞑りたいのですが、盲目のふりをするっていうのはいくらなんでも無理がある気が……。
それにあの「頭巾」もさすがに……いじめられないほうが不思議。
友人は「子供がかぶってもピチピチだった頭巾を、香取がかぶれるのは絶対変」と主張してましたが。
きっとものすごーく伸縮性のある頭巾だったんですね。

「ハチミツとクローバー」(フジ/火曜9時〜)

原作知らないんで、人気のツボもよくわからないんですが。
とりあえずよくある普遍的な青春群像劇ですね。
特にすごくおもしろいとも思わないけど、「つまんね。却下」というほどでもないので、一応見続けてます。
強いて言えばただの大学生じゃなくて、美大というところがミソかな。
「のだめ」も「動物のお医者さん」もそうだけど、専門性があるだけでエピソードはふくらみやすいですよね。
あと年寄りくさいコメントで申し訳ないんですが、生田斗真と成宮寛貴の顔の感じが似ていてまぎらわしいです。

「あしたの、喜多善男」(フジ/火曜10時〜)

これ、おもしろいです!
今までチェックした中では一番要注目かも。
小日向さんは、一般的には「脇の人」のイメージでしょうから、彼が主役というだけでもしかしたら注目度は低くなるのかもしれません。だとしたらもったいない。
基本的な話としては、「11日後に死のうと思い、すべてを売り払って放浪している中年男」がいて、いろいろな理由で彼に近づいてくる人たちがいて……というシンプルな設定なんですが、謎のちりばめ方が繊細で、緊張感があります。
あまりTVには出てこない松田龍平も見もの。決してうまいわけじゃないんだけど、雰囲気はさすがに優作ジュニアの風格があります。
小日向さんと松田龍平の組み合わせなんてよく考えたなー。
あと、私はよく知らなかったんですが、落ち目のアイドル役で吉高由里子っていう人が出ていて、なんかこの人から目が離せません。どこまでが演技なのかわからない微妙な個性がたまりません。リトル桃井かおりって感じ。ブレイクの匂いがします。

「貧乏男子」(日本TV/火曜10時〜)

初回はそこそこ楽しめました。
簡単に借金してしまう若い男の子の姿も世相を反映してましたし。
でもこれは……いくらなんでもおバカすぎるでしょう。
なんかもうちょっと、「こういうキャラが形作られるきっかけとなった幼少期の出来事」とか、そういうのから始まってくれたら納得できたと思うんですが。
小さい頃に「おまえはほんとに後先考えない子だね。でも友だち思いなのはいいことだよ」とすごくほめてくれた人がいて、それが支えになってるとかね。
極端になったのはこういう出来事があったから……というエクスキューズがあるとよかったかも。

「斉藤さん」(日本TV/水曜10時〜)

この枠って、「ハケンの品格」とか「anego」とか「働きマン」とか、戦う女性キャラが好きですね。
うーん。テーマはおもしろいとこ突いてると思うんですよ。
戦う女がヒロインじゃなくて、戦う勇気がない女がヒロインで、彼女の目を通して戦う女=斉藤さんの姿が描かれていくっていうのが。
でも、斉藤さん、かなりビミョーなんですけど。
「子供に恥ずかしいことはしない」「間違ってることは間違ってると堂々と言う」というのはたしかに立派なポリシーですが、今のところやり方があまりにも無謀というか、一本調子というか、子供っぽいというか、「ちょっと、あんた。待ちなさいよ(謝りなさいよ)!」と正面からキャンキャン吠えまくるだけで、小学校の学級委員レベル。「そんなやり方、通るわけない」っていうのの連続で、「かっこいい」というよりは「痛い」です。
「ショムニ」の江角マキコや「ハケンの品格」の篠原涼子のように、一般人がたちうちできないようなスーパーキャラなら視聴者も爽快感があるんでしょうが、今のところ斉藤さんは何を言っても「なんだよ、ババア」「うるせーんだよ」「チョーうざいんですけど」「ちょっと斉藤さん、いい加減にして。あなたのせいでみんな迷惑してるのよ」とか、ことごとく悪いリアクションしか返ってこないんですよ。爽快感どころか、中途半端に現実的すぎる無力感がただよっていていたたまれない気分になってきます。
斉藤さんに「ヒーロー気取りは気持ちいい?」と諭すママ仲間のボス・高島礼子のほうがよっぽど説得力があって感情移入しちゃいますよ。
たしかに、子供の保護者でいる以上、子供を危険から守らなきゃいけない使命はあるんだけど、じゃああたりかまわず居丈高に注意しまくることがいいことなのかどうか。
自分は「ママ友だちなんていらない」で済むかもしれないけど、子供の友達関係まで影響するでしょ、こんなことやってると。注意することで逆うらみされてもっとひどい危険(自分の手には負えないような)がふりかかってくることだってありますよ。そのへん、考えずに行動している斉藤さんは、一人よがりの身勝手な人にしか見えません。
ポリシーはいいとしても、もうちょっと大人の対応というか「斉藤さん、次はどんなことやってくれるのかしら」と楽しみになるくらいのことはやってほしい。今のところ、次に何やるのか100%読めることしかやってないんで。

「交渉人」(テレ朝/木曜9時〜)

初回、この枠としては異例な高視聴率だったそうで、ちょっと意外でした。
米倉はフツーの女の役だと注目されないけど、こういう非日常的キャラだと強いですね。
初回しかチェックしてないんですけど、なんか「沙粧妙子」を思い出す雰囲気。
あっちのほうがもっと病気っぽいけど(米倉は骨の髄まで健康そう)。
なんか「セクハラパワハラ当たり前」っていう超男社会のギスギスした描写が見ててあんまり気分よくなくて、出てくる人が(ヒロインも含めて)全員感じ悪いのがつらかった。
そういう場所で戦うヒロインのドラマだってことはわかるんだけど、情の部分がほとんど見えないので、正直ヒロインもなぜここまで頑張るのかがわかりません。
あと陣内孝則があまり適役とは思えないのですが…。

「1ポンドの福音」(日本TV/土曜9時〜)

初回見て最初に「もう見ない」と決めたドラマです。
なによりもイラついたのがシスター・アンジェラです。
ボクシングをやめようかどうしようか悩んでるボクサーに「やめれば?」と考えなしに言ったかと思うと、ジムのオーナーに同情して「絶対に(試合に出て)勝ってください」と前言撤回。かと思ったら、今度は対戦相手の子供に同情して「やっぱりあの子のために負けてあげてください」……ってナメとんのか、おら。
言ってることメチャクチャだよ。
メチャクチャなのは世間知らずだからにしても、そのメチャクチャさをたしなめる役割の人が誰もいないのがイライラしました。

 以上7本の簡単な印象でした。
 残り5本はまた次回。
 皆さんのお薦めも教えてくださいね。
 

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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