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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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冬ドラチェック(2)

 新ドラチェックの残り、書こうと思いつつ「だいすき!!」だけがどうしても録画を見る機会を得られず、ずっと延ばしてきました。
 もう始まって4回も5回もたってて、「今更…」って感じですが、先日ようやく初回だけ見ることができたので一応残り5本にも軽く触れておきます。

「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(TBS/日曜9時〜)

脚本の森下佳子は、「白夜行」で見事な脚色の手腕を見せた(原作には書かれていない犯人側の視点で物語を再構成した)人で、オリジナルでも「平成夫婦茶碗」というのんびりとした人情ドラマを書いたりしているので、今回はどんな切り口になるのかと楽しみにしていました。
たしかに初回はそこそこ楽しめましたが、2回目以降はどうも話の焦点がさだまらなくなっているような気がします。
このドラマについては「TVステーション」(2/27発売号)に書く予定なので、具体的なことはそちらで書きます。

「エジソンの母」(TBS/金曜10時〜)

すっごくおもしろいとは思いませんが(なんか話の進み方が一本道すぎて)、肩の力を抜いて見られるというか「安心して見られる」ドラマだと思います。
子供の「どうして?どうして?」攻撃は珍しくありませんが、どちらかというと、それ言うと大人が困るからおもしろがってわざと連発するというケースが多数です。
でもこの子供は純粋に「知識欲」が異常に強いんですね。
純粋なだけに答えられない大人は困る。
私は子供から質問されるの大嫌いだから教師にだけはなりたくない(いや、他にもなりたくないものはいっぱいあるけど)と思っているので、見てるだけで先生方には同情でいっぱいになります。
ほのぼのした中にもドラマの作りにそこはかとなく「きまじめさ」が漂うのはTBSだからかですかね。

「未来講師めぐる」(テレ朝/金曜11時15分〜)

いつもながらのクドカンワールドではありますが、いまひとつ上滑り感があってのりきれません。まあ私は「木更津キャッツアイ」にものれなかったシニアなので、これがいいという人もいるのかもしれませんが、同じクドカンなら他にも好きなものいっぱいあるしなあ。
深夜枠なんだからバカバカしい笑えるものでいいじゃんと言われればそうなんですが、中途半端にまともな人生訓のようなものが入るので、そのへんがどう見たらいいのやらむずがゆい。
ギャグはおもしろくても人物造形が雑なのがいやなのかも。一見メチャクチャでも「この人何がしたいの?」「なんでここで気持ちが変わるの?」という部分が一本通ってればのれるんですが、そのへんが曖昧で散漫だから気持ちが冷めちゃうのかもしれない。
スピード感がいくらあっても、方向がはっきりしないと同じところぐるぐる回ってるだけみたいになっちゃうし。
あと深夜だからしょうがないのかもしれませんが、他のクドカン作品に比べるとキャスティングがマイナーすぎじゃないでしょうか。

「鹿男あをによし」(フジ/木曜10時〜)

原作おもしろいらしいけど私は未読。
たしかにシチュエーションは独創的ですね。
玉木くんは鹿っぽい顔なので、それでキャスティングされたのかな(笑)。
ただ、ファンタジーながらバックグラウンドがけっこう複雑(歴史的背景などがからんでいて)なので、説明が多いのがちょっときびしいかな。
小説なら気にならないのかもしれないけど、TVでやられるとね。
あと、綾瀬はるかがやっている同僚の藤原は、原作では男らしいんですが、なぜ女に変えてしまったんでしょうか。まあ事務所の都合でしょうが。
でもなんかこの人は女じゃないほうがいいような気がするんですよね。
「ガリレオ」もそうだったけど、相棒を異性にするとどうしてもラブの雰囲気がからんでくるんで、邪魔な感じがしちゃうんですよ。
フツーに空気読めない“歴史オタク男”にしちゃえばよかったのに。
話の世界観の中で綾瀬はるかだけが浮いているように見えるのは私だけでしょうか。

「だいすき!!」(TBS/木曜10時〜)

これはね、まだ初回しか見てないんであくまでも初回だけの印象ですが、私としては不満がいっぱいですね。
知的障害者が子供を産む。
それはまあ産まなきゃドラマにならないし、そのへんの是非はとりあえずおいておくとして、このドラマのケースはちょっと周囲の対応がひどすぎる気がします。

ヒロインの柚子は自分の身の回りのことも母親の手を借りないときちんとできなくて、障害者自立支援のためのワークセンターと家を往復する毎日という設定なんですが、じつはセンターで仲良くしている男性(彼も軽い知的障害を持っている)がいて、彼が突然事故死したことをきっかけに「彼とつきあっていたこと」「彼の子供を妊娠していること」が家族に知れるんですよ。

自分一人で行動できる自由がこれだけ限定されているにもかかわらず、誰にも知られないまま、いつどういうタイミングでそういうことになったのか。母親もセンターの職員もまったくこのことに気づかなかったというのがまず信じられません。
だって5ヶ月目に入ってるんですよ。その間、体調の変化もいろいろあっただろうし、本人が気づかなくても、いつも娘のことを心配して過保護なほど世話を焼いているはずの母親が気づかないっていうのはありえないでしょう。

なによりも本人が妊娠したことを認識しているというのもちょっと意外でした。一人で病院に行ったとは思えないし、検査薬を買ったとも思えないし、性に関する知識がいったいどの程度あるのかわからないけど、周囲にうまく隠したりごまかしたりできるようにも思えないし、見ていて「母親が気づかずに本人がわかる」っていうのが不自然な気がしました。

当然、周囲は出産に大反対する……かと思いきや、わりとそうでもないんですね、これが。
一番反対したのは母親で、あとは「産ませてあげたい」と無責任な希望を言うのみ。
その母親にしても「私、お母さんみたいなお母さんになりたいの」というありがちな娘の一言であっさり翻意。
で、承諾したからには自分が責任をとるのかと思いきや、その家庭は母子家庭なので、自分は昼間働きに出ていて、娘と生まれた赤ん坊は家に置き去りですよ。

で、その保育状況を見にきた役所の保健師が「娘さんに突発的出来事の多い子育ては難しいと思います」と言ったら、母親は「そんなできないことばっかり言われても。今からたたんでおなかの中に戻すわけにはいかないじゃないですか」と逆ギレ発言。
これには「はあ〜?」って感じでした。あのー、そういうのを「開き直り」って言うんじゃないでしょうか。

おまけに「手のかかる時期だけでも施設に預けてはどうでしょう」と提案されたら、「ゆずは一生懸命頑張ってるんです。そんなのかわいそうじゃないですか」と反論。
「頑張ってる」「頑張ってる」って葵の御紋みたく言いますけどね、お母さんはみんな頑張ってますよ。人間ひとり作り上げるんだから当たり前でしょう。
そりゃあ産んだ本人は満足でしょうが、生まれた子供は常に危険にさらされてたまったもんじゃないですよ。
ゆずの子供への接し方は、ペットを与えられて大喜びした子供が「一人でできるもん」と駄々をこねているようにしか見えません。

障害者の自立が重要なのはわかります。
ゆず本人が何かをやりたいと強く希望し、努力しようとするのを妨げる権利はまわりにはありません。
でも子育ては人の一生がかかっているんだからゆずだけの問題じゃないんですよ。
ゆずへの同情論だけで判断するのは危険です。
私には保健師の言うことだけがまともに聞こえましたが、その保健師だけが悪役、とまではいかないけど損な役回りって感じで妙でした。

さ・ら・に。
最大の疑問は、ゆずの弟です。
母子家庭、知的障害の姉が単身で子育て……という何重にも過酷なこの家庭環境で、なんと音大に通ってんですよ、音大。なぜよりによって音大。
あまりにも一人だけ浮世離れしすぎだろう。

「お金がないから特待生で通っている」というエクスキューズは一応あるんですが、そんな目先の学費だけの問題じゃなく、ピアノ科なんて入る学生は、幼少時より親子二人三脚で個人レッスンを浴びるように受けてきてる人ばかりで、お金も時間も、そしてなによりも親の熱意が必要なんですよ。
家にピアノがない人が特待生で入れるなんて話、きいたことないよ。
同じお金がかかるなら医大出たほうがまだ将来稼げるだけいい。ピアノ科なんて出ても仕事ねえべ。

しかも、この弟が「姉貴のせいで俺の人生が犠牲になるなんてまっぴらだ。俺は自分のやりたいことをやる」という屈折でももってるならまだ勝手なことを一人でやってるのもわかるんですが、やたらに姉思いの優しい青年なんですよ。
「姉貴に好きな人ができて俺もうれしいよ。産ませてあげようよ」…って言うことだけは理解ありげ。なのに自分はなんにもせずにピアノ弾いてんの(笑)。
ちょっとだけ「俺、もっとバイト増やそうか」と母親に言うシーンがあって却下されてましたが、本当に家族思いのキャラなら「姉貴が本気で子供産むなら俺はピアノやめて就職する。母ちゃんは仕事減らして子育ての手伝いをしてやってくれ」くらい言ってもいいと思う。結果的には却下されたとしてもね。

だってこの状況で子供産むってそのくらい大きな決断ですよ。
家族で応援するってそういうことでしょう。
みんな口だけじゃんかよ〜。
そしてそのツケはすべてゆずの子供へとまわっていくと思うと次回以降を見るのが今から不憫です。
初回の終わりで子供は一気に2歳になってしまいますが、2歳までの道のりってすごく大変だと思うけど……あっさりカットなのか……。

いろいろとひっかかるところが多い「だいすき!!」ですが、今後は余喜美子演じる保健師がキーパーソンになりそう。どんな過去があるのかだいたい予想はつくけどね。
私としては、同じ知的障害をもつ友だちをもう一人くらいフィーチャーさせたらもっと深くなったんじゃないかと思うんだけど。
その子は好きな人の子供は産めなかったとかね。私がそういう立場だったら、健常者との差異よりも同じ障害者との差異のほうがせつないし、気になると思うので。

 以上、冬ドラチェック、ようやく完了しました。
 お疲れ>自分

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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