古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
卵酒マイスターへの道
インフルエンザから脱却したのも記憶に新しいのに、最近また風邪をひきかかりました。
風邪の初期症状って自分にだけわかる目安があるじゃないですか。
1)「あー、危ないかな」→2)「このままいくと一両日中にやられる」→3)「今なら薬飲んで寝ればなんとかなるかも」→4)「あー、こりゃもうどうもならんわ」っていう細かなレベルが。
これを敏感に察知してできるだけ下のレベルで食い止められれば風邪も軽く済むか、ひかないで済むのですが、これがなかなか言うは易し、行うは難し。
具体的に言うと、3)と4)の間がくせもの。3)だと思っているとアッという間に4)に移行してしまいます。
私は喉が痛くなってくるともうダメで、「よくないな」と思いつつ結局抗生物質を飲んでしまう。
飲まないで治そうと思うとどんどんひどくなってしまうので、やっぱり科学の力に頼ってしまうんですねー。
で、今回も限りなく4)に近い3)の状態になり、しかもその日は深夜にどうしても出なければならない集まりがあり、なおかつ翌日の夜にも観劇が入っていた。
喉が痛いだけでなく、頭の中がボワーンとしていて、体もだるくて、やたらに疲れて、今にも発熱しそう。
いつもなら絶対抗生物質を飲まないと回復しない段階ですが、今回は趣向を変えて(?)日本古来の民間方法「卵酒」を試してみることにしました。
「風邪には卵酒がよく効く」と昔から言われていますが、正直ホントにそんなに効果があるとは思っていませんでした。
ただ、医者に行く余裕がなかったし、このあいだの誤診事件もあったしで、医者に行くのは気が進まなかった。
一応、葛根湯があったので、それは飲んでみたけど、葛根湯が効く段階は通り越しているように思えたので、卵酒をオプションで加えてみた次第。
まずはネットで「卵酒の作り方」を検索してみたところ、いきなり出てきたのが「卵酒の作り方の失敗例」。
基本的に卵酒は日本酒に卵と砂糖を加えればいいのですが、その人は普通に日本酒を火にかけて熱くしたところに溶き卵をジャッと加えたところ、「かき玉スープ」になってしまい、それが「激まず」だったというのです。
そりゃそうですよね。卵は60度くらいから固り始めるというから、熱いお酒に溶き卵を入れれば、当然かき玉スープになるでしょう。
その失敗例に対するコメントを見たら、「卵酒は卵黄だけを使うのでは?」という意見がありました。
なるほど、たしかに卵は卵白と卵黄で固まり方が違うから(完全に固まる温度は両方同じくらいだけど、卵白は低い温度からゆっくり固まっていき、卵黄は急に固まる)、卵白をまぜるとより早くかき玉状になってしまうわけですね。
そういえば、卵酒には卵黄だけを使うって聞いたような気もしてきた…。
ところが、それに対し、「いや。じつは卵白には殺菌作用があるので、全卵を使うほうがより効果があるのだ」という説もあり、そう言われると卵白も入れたくなる。
とにかく、共通しているのは、「あまり熱くせず、卵は一気に流し込まず、少しずつまぜる」ということ。
というわけで、深夜の台所にフラフラの状態で立ち、挑戦してみました。
……が、肝心の日本酒がなーい!!
うち、日本酒飲まないからなー。
外に買いにいく気はもちろんなし。
しかたなく、料理用日本酒を使って作ってみる。
その結果は………………ま・ず〜い!
いやもうまずいなんてもんじゃないです。
料理用のお酒がおいしいとは思ってなかったけど、ここまでまずいとは。
なんかものすごく変な甘さなの。みりん飲んでるみたいな。
みりんが甘いのはわかるけど、料理用酒もこんなに甘かったのね。
おまけに卵も気をつけてまぜたつもりだったのに案の定一部固まってしまい、どこからみても大失敗。
もったいないけど、とても飲めなくて捨てました。
ええ。こんなもの飲むくらいなら熱出したほうがまし。
で、次に探し出したのがワイン。
瓶の底に残っていたもので、かなり古そうだったけど、それしかないので使いました。
結果は………おいしくはなかったけど、まあ薬と思えば飲めない事はない程度。
とにかくその得体のしれない「卵ワイン」を飲んで寝ました。
そしたらあなた。
これが効いたのなんのって。
寝ているあいだにものすごい汗が出て、翌日起きたら嘘のように頭も体も軽い。
明らかに前日よりも楽になっていました。
薬なしでここまで良くなるなんて信じられない。
日本の民間療法、バカにできません。
侮りがたし、卵酒……いや、卵ワイン。
これに味をしめ、翌日はウィスキーで作ってみました。
結果は……うーん。ワインよりさらに微妙でしたが、まあこれも飲めなくはない。
2日目は1日目ほど具合が悪いわけじゃなかったので、劇的な体調の変化もありませんでした。
そして3日目。
もう飲まなくてもよかったんだけど、いい日本酒が入ってきたので、「よし。最後に本物の“正調・卵酒”を作ってみようではないか」と思い、3度目の卵酒に挑戦。
3度目ともなるとコツもつかめてきます。
要するに、火にかけた鍋に入れたお酒に卵を入れるから固まりやすいんですよ。
逆にちょっとさまし気味にしたお酒をちょっとずつ溶き卵のほうにまぜてみたら、全然固まることなく非常にうまくできあがりました。
ただ、これだと固まらない代わりにかなりぬるくなってしまうので、卵とお酒を完全に混ぜ合わせたところでもう一度鍋に戻し、小さい火ですこーしずつ温めます。
一度混ざってしまえば、ちょっとやそっと熱を加えてもかき玉にはなりません。
こうしてできあがあった“正調・卵酒”の味は……おい・し〜い!
もう、これぞ卵酒、「That′s TAMAGOZAKE!」というおいしさでした。
なんて合うんだ、卵と日本酒。もう問題じゃないです、ワインとウィスキーなんて。
もし私が外国人だったら、風邪のときには「卵ウォッカ」とか、「卵テキーラ」とか、「卵紹興酒」とか飲んでいたんでしょうか。
だとしたら日本人に生まれてよかった〜!!
卵には日本酒。
もう絶対です。憲法に入れてほしいくらい。
ええ。国粋主義者でけっこう。
というわけで、「卵酒マイスターへの道」をお送りしました。
皆様も早く風邪気味になって、おいしい「卵酒」をお試しください♪
風邪の初期症状って自分にだけわかる目安があるじゃないですか。
1)「あー、危ないかな」→2)「このままいくと一両日中にやられる」→3)「今なら薬飲んで寝ればなんとかなるかも」→4)「あー、こりゃもうどうもならんわ」っていう細かなレベルが。
これを敏感に察知してできるだけ下のレベルで食い止められれば風邪も軽く済むか、ひかないで済むのですが、これがなかなか言うは易し、行うは難し。
具体的に言うと、3)と4)の間がくせもの。3)だと思っているとアッという間に4)に移行してしまいます。
私は喉が痛くなってくるともうダメで、「よくないな」と思いつつ結局抗生物質を飲んでしまう。
飲まないで治そうと思うとどんどんひどくなってしまうので、やっぱり科学の力に頼ってしまうんですねー。
で、今回も限りなく4)に近い3)の状態になり、しかもその日は深夜にどうしても出なければならない集まりがあり、なおかつ翌日の夜にも観劇が入っていた。
喉が痛いだけでなく、頭の中がボワーンとしていて、体もだるくて、やたらに疲れて、今にも発熱しそう。
いつもなら絶対抗生物質を飲まないと回復しない段階ですが、今回は趣向を変えて(?)日本古来の民間方法「卵酒」を試してみることにしました。
「風邪には卵酒がよく効く」と昔から言われていますが、正直ホントにそんなに効果があるとは思っていませんでした。
ただ、医者に行く余裕がなかったし、このあいだの誤診事件もあったしで、医者に行くのは気が進まなかった。
一応、葛根湯があったので、それは飲んでみたけど、葛根湯が効く段階は通り越しているように思えたので、卵酒をオプションで加えてみた次第。
まずはネットで「卵酒の作り方」を検索してみたところ、いきなり出てきたのが「卵酒の作り方の失敗例」。
基本的に卵酒は日本酒に卵と砂糖を加えればいいのですが、その人は普通に日本酒を火にかけて熱くしたところに溶き卵をジャッと加えたところ、「かき玉スープ」になってしまい、それが「激まず」だったというのです。
そりゃそうですよね。卵は60度くらいから固り始めるというから、熱いお酒に溶き卵を入れれば、当然かき玉スープになるでしょう。
その失敗例に対するコメントを見たら、「卵酒は卵黄だけを使うのでは?」という意見がありました。
なるほど、たしかに卵は卵白と卵黄で固まり方が違うから(完全に固まる温度は両方同じくらいだけど、卵白は低い温度からゆっくり固まっていき、卵黄は急に固まる)、卵白をまぜるとより早くかき玉状になってしまうわけですね。
そういえば、卵酒には卵黄だけを使うって聞いたような気もしてきた…。
ところが、それに対し、「いや。じつは卵白には殺菌作用があるので、全卵を使うほうがより効果があるのだ」という説もあり、そう言われると卵白も入れたくなる。
とにかく、共通しているのは、「あまり熱くせず、卵は一気に流し込まず、少しずつまぜる」ということ。
というわけで、深夜の台所にフラフラの状態で立ち、挑戦してみました。
……が、肝心の日本酒がなーい!!
うち、日本酒飲まないからなー。
外に買いにいく気はもちろんなし。
しかたなく、料理用日本酒を使って作ってみる。
その結果は………………ま・ず〜い!
いやもうまずいなんてもんじゃないです。
料理用のお酒がおいしいとは思ってなかったけど、ここまでまずいとは。
なんかものすごく変な甘さなの。みりん飲んでるみたいな。
みりんが甘いのはわかるけど、料理用酒もこんなに甘かったのね。
おまけに卵も気をつけてまぜたつもりだったのに案の定一部固まってしまい、どこからみても大失敗。
もったいないけど、とても飲めなくて捨てました。
ええ。こんなもの飲むくらいなら熱出したほうがまし。
で、次に探し出したのがワイン。
瓶の底に残っていたもので、かなり古そうだったけど、それしかないので使いました。
結果は………おいしくはなかったけど、まあ薬と思えば飲めない事はない程度。
とにかくその得体のしれない「卵ワイン」を飲んで寝ました。
そしたらあなた。
これが効いたのなんのって。
寝ているあいだにものすごい汗が出て、翌日起きたら嘘のように頭も体も軽い。
明らかに前日よりも楽になっていました。
薬なしでここまで良くなるなんて信じられない。
日本の民間療法、バカにできません。
侮りがたし、卵酒……いや、卵ワイン。
これに味をしめ、翌日はウィスキーで作ってみました。
結果は……うーん。ワインよりさらに微妙でしたが、まあこれも飲めなくはない。
2日目は1日目ほど具合が悪いわけじゃなかったので、劇的な体調の変化もありませんでした。
そして3日目。
もう飲まなくてもよかったんだけど、いい日本酒が入ってきたので、「よし。最後に本物の“正調・卵酒”を作ってみようではないか」と思い、3度目の卵酒に挑戦。
3度目ともなるとコツもつかめてきます。
要するに、火にかけた鍋に入れたお酒に卵を入れるから固まりやすいんですよ。
逆にちょっとさまし気味にしたお酒をちょっとずつ溶き卵のほうにまぜてみたら、全然固まることなく非常にうまくできあがりました。
ただ、これだと固まらない代わりにかなりぬるくなってしまうので、卵とお酒を完全に混ぜ合わせたところでもう一度鍋に戻し、小さい火ですこーしずつ温めます。
一度混ざってしまえば、ちょっとやそっと熱を加えてもかき玉にはなりません。
こうしてできあがあった“正調・卵酒”の味は……おい・し〜い!
もう、これぞ卵酒、「That′s TAMAGOZAKE!」というおいしさでした。
なんて合うんだ、卵と日本酒。もう問題じゃないです、ワインとウィスキーなんて。
もし私が外国人だったら、風邪のときには「卵ウォッカ」とか、「卵テキーラ」とか、「卵紹興酒」とか飲んでいたんでしょうか。
だとしたら日本人に生まれてよかった〜!!
卵には日本酒。
もう絶対です。憲法に入れてほしいくらい。
ええ。国粋主義者でけっこう。
というわけで、「卵酒マイスターへの道」をお送りしました。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
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生卵とアルコールがNGなんだけど
「初期症状のままで治す方法」は私も知りたかったんです。
でも私は全熟でない卵が食えません…アレルギーではないんですが、自分の意志でコントロールできないような反射を体が起こし、吐き出してしまいます。
あれを「好き嫌い」なんていうかわいい名前で呼びたくない…。
全熟とかよく焼いた卵はOKなので、普通に卵食べて、ゆるゆる沸かしてアルコール飛ばした日本酒飲むのではだめなんでしょうか。
人に頼らず自分で実験しろ>私。
日本酒がないからといって、あんなものやそんなもので試してみる伊万里さんを見習え。
西洋の卵酒
が有名ですよね。
http://www.suntory.co.jp/cgi-bin/wnb/cktl.pl?ID=warniks_eggnog
ワニンクスという卵の甘いリキュールがベース。バニラの香りもして、
お酒というよりミルクシェイクのような味わいです。おいしいからってたくさん飲むと
アルコール度数より糖分とりすぎのほうが心配という種類のカクテルですね。
風邪気味の時にバーで飲んでいて思い出したので作ってもらいましたが
ジャパニーズ卵酒と違ってもともと“薬”じゃないし、体を冷やしただけでした…。
まずくてもかまわないなら
たしかにお酒がダメで生卵がダメなら「卵酒」は無理でしょう。
卵酒が風邪に効くポイントは3つあって、
1)卵白…卵の殻から侵入してくる細菌から卵黄を守るために塩化リゾチウムという殺菌酵素が含まれており、それがのどや鼻の炎症をおさえ、細菌の細胞壁を溶かして粘液を排出してくれる(塩化リゾチウムは風邪薬によく配合されていますね)。
2)卵黄…細胞を構成する良性のタンパク質レシチンが体力をつけてくれる。
3)日本酒…血液の循環をよくして、体を中から温め、眠りにつきやすくする。
という役割の相互作用で風邪の初期症状をおさえるようです。
ちなみに「アルコールが苦手な方はアルコールをとばしてもOK」とどこかに書いてあったので大丈夫だと思うけど、上記の理由を見るとアルコールとばしたら効能がなくなる気もしますね。
卵の栄養は熱を加えても変わらないのかどうかは不明ですが、「固ゆで卵」と「アルコールとばした日本酒」って、おいしいんでしょうか…。
卵酒はおいしいこともポイントで、まずくてもかまわないのなら、他にもネギだの生姜だの「卵酒」に代わる民間療法はたくさんあるので、そちらにトライしてみては?
「美味」ということで言えば、ネット情報を総合すると、「卵黄だけ」で作るほうが美味のようです。
作り方はあちこちに出ていますが、「酒に卵を入れる派」と「卵に酒をまぜる派」があり、どちらも「温度を低めに保つこと」と、「なめらかになるまでとにかく丁寧に混ぜ続けること」がポイントのようです。
私は卵に酒をまぜるほうが失敗が少ないと思いますが。
ちょっとでも卵がかたまってしまうとこんなにまずいものはないのでご注意を。
あとはおいしい日本酒を使うことかな。
試してないけど、ワインだったら赤より白、ウィスキーよりはブランデーかリキュールのほうが合う気がします。
>きな子さん
日本酒でなくても効能は同じだと思いますよ。
ホットにして飲めば効いたのかも。
ただし、アルコールの摂りすぎは体内のビタミンや栄養分を消費し、ウィルスへの抵抗力も免疫の働きも低下するので逆効果。
一番重要なのは早く寝ることで、卵酒飲んでも夜遊びしてたら意味ないです(笑)。
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