古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
カテゴリー「旅行・レジャー」の記事一覧
- 2025.06.06
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- 2006.12.27
笠間で久々に器買いに燃える!
- 2006.12.24
「ガマの油」の正体
- 2006.12.22
疲れも吹き飛ぶ筑波山の全方位ビュー
笠間で久々に器買いに燃える!
茨城旅行、2日目は笠間に行きました。
つくばエクスプレスができて筑波山は東京からぐっとアクセスがよくなったと書きましたが、笠間に出るのは大変でした。
ていうか、「東京⇔筑波山」「東京⇔笠間」というだけなら東京から直通の電車なりバスなりが運行しているので簡単に行けるのですが、複数のエリア間を移動しようとすると、とたんに不便になるんです。
たとえば、筑波山からつくば駅に戻ったとしても、つくば駅はJRの駅とつながっていないので、茨城の他の地域には行けません。
となると、どこか他のJRの駅に出るバスに乗るしかないわけですが、バスも電車も本数が少ないため、なかなかうまく接続できない。
旅館で時刻表と路線図首っぴきで検討した結果、筑波山から北西の方向にある岩瀬というJRの駅にバスで向かい、そこから水戸線で東へ移動するのがよかろうということになりました。
この日は昨日とはうって変わって底冷えのする曇り空
。筑波山登山が昨日でよかった……
と心から思いました。
まず、筑波山から岩瀬駅までバスで30分ほど移動。
岩瀬では接続の関係でさらに30分間待つことになりましたが、小さい駅で待合所もオープンスペースなので、この寒さはかーなーりーこたえました。
ようやくやってきた電車(水戸線。1時間に1本くらいしかない)に乗ってさらに30分。結局、筑波山から笠間までは、東京から筑波山までくらいかかりました。
笠間、と言いましたが、実際に私たちが降りたのは笠間駅ではなく、もう2つ先の友部という駅。
なぜかというと、笠間には笠間市内のみどころを無料で循環してくれるバスがあって、それの発着地が友部だからです(もちろん、途中で笠間にも寄るんですが、コースの順番からいって、友部から乗ったほうが観光しやすいようにできている)。
友部は上野から水戸へ向かう常磐線(南北に通っている)も通っているし、笠間に比べたらかなりアクセスの良い駅です。なので、外部からくる観光客のことを考えて友部発着にしているのでしょう。
まず最初に向かったのは「工芸の丘」というところ。
ここは、文字通り丘の上に作られた笠間焼き関係の総合施設で、窯元や作家の紹介を行うコーナー、作品の展示を行うギャラリー、販売を行うショップ、陶芸体験ができる工房などがあります。
このあたりでついに雨
が降り始め、いよいよ寒くなってきました。
ここでは、とにかくショップに行ってどんな特徴の焼き物なのかを見てみようということになりました(体験するほどの時間的余裕はなかったので)。
が、なんかどの作品もどこかで見たことのあるような焼き物ばかりで、あまりにもバリエーションがありすぎていくら見ても「これぞ笠間!」という特徴がつかめないのです。
というわけで、いまいち購買意欲をそそられないまま終了。
次は「笠間稲荷神社」へ。
日本三大稲荷のひとつと言われるお稲荷さんで、初詣の参拝客数は茨城一らしいですが、雨の降りしきるこの日の境内には誰もいなくて寂しい限りでした。
ここでちょうどランチタイムになったので、あらかじめリサーチしてあったこの近辺にある「かるにえ」という西洋割烹のお店へ。
ここは笠間焼きの食器を使っているのが売りで、陶芸作家の人たちの間でも人気とのこと。お店の雰囲気もいいし、お料理もおいしいし、満足しました。

笠間稲荷神社。境内にあった樹齢400年の藤の大きさにはたまげました。
今は枯れ木だけど花が咲いたら見事だと思う。

前菜は「紫芋のムース鴨のロースト野菜サラダ添え」。

肉料理は「あじさい鶏(那須の地鶏)のロースト」。
真ん中にのっているのは温泉卵。
魚料理は牡蠣のフリットに出し汁をかけたものでした。

デザートは「カボチャのプリン」。
このあとは「春風萬里荘」へ。
ここは、あの北大路魯山人が住んでいた北鎌倉の自宅を移築したというもの。魯山人がデザイン・設計した茶室や風呂場などを見ることができます。
が、感想はただただ「寒い!」の一言。
ちょうど障子貼りの最中だったため、家中がしんしんと冷え切っており、コートを着たまま見学しても震えがとまらず、思考回路は完全に停止。
日本の古い家ってどうしてこんなに寒いの?!
最後はやきものロードと言われる場所で下車し、「陶の小径」と名付けられた一角を散策しました。
この道には9つの工房がそれぞれにショップを構えており、自分のところで作っているオリジナル作品だけを出しているのです。
最初から買い物はここでしようと決めていたのですが、どの店も今ひとつピンとこない。傘をいちいち開いたり閉じたりして店に立ち寄るのもいいかげん疲れてきたところ、最後の店で初めていい感じの店にあたりました。
そこの器は、基本的に焼き締め(釉薬をかけない方法)が多く、一見備前焼きにすごく似ている。でも、備前ほど高くない。もともと備前好きの私としてはここの器はかなりのツボ。ようやく購買意欲に火がつきました。ボッ。
作品を吟味していたら、工房のご主人が出てきて、笠間焼きについてあれこれ話し始めました。
ご主人によると、笠間焼きは他の焼き物に比べると歴史が浅いので、「笠間ならではの独自性」というものが薄く、他の焼き物の特徴をいろいろとりいれたものが多いんだそうです。だから「工房の数だけ種類がある」と言われるほどどれも特徴がバラバラなのだとか。なるほど。いろいろな工房の作品を集めた工芸の丘のショップがバリエーションありすぎだった理由がこれでわかりました。
さらにお隣栃木の名産・益子焼きをひきあいに出して笠間焼きの特徴を説明するご主人。いや、べつに私「益子とどう違うんですか?」なんて一言も聞いてないんだけど、どうも一緒にされることが多いらしく、しきりに益子を意識した発言をくり返すんですよ。
やっぱり隣国ってそういうもの?
結局、ここでは飯腕、マグカップ、湯飲み、花入れ、携帯ストラップの5点を購入。これでも備前のマグカップ1点分くらいの値段にしかならないのが嬉しい。いずれも衝動ではなく、以前から「気に入ったものがあったら買いたい」と思っていたものばかりだったのでよかったです。
特に携帯ストラップは嬉しかった。ガラスとか天然石はよくあるけど、陶器のストラップって珍しいじゃないですか。ちょうどストラップが壊れたところだったので、せっかく笠間に行くんだから陶器のストラップがあったら買ってきたいなーと思ってたんです。でも工芸の丘では見あたらなくて諦めてたんですよね。ちょっと重いんだけど、渋くて気に入りました。

購入した携帯ストラップ。一見石に見えるけど土です。
焼き締めで1個1個炭化がかけてあるという凝りよう
(炭化とは、焼くときに炭を発生させて仕上がりの生地を炭っぽく見せること)。
しかもそれぞれに「か」「さ」「ま」と文字が刻まれている
(「さ」は裏側にまわってしまって写ってませんが)。
一緒に写っているのは、やはり風水旅行で日光に行ったときに、
パワースポットの東照宮奥社で購入した眠り猫ストラップ。

笠間の観光名所を無料でまわってくれる「かさま周遊バス」。
1日中悪天候でしたが、これをフルに利用したお陰でかなり助かりました。
年間1000万かかるという維持費・運営費は、
日動美術館・春風萬里荘・笠間稲荷神社が共同出資しているとか。
運転手さんの話では、あまりに負担が大きいので
9月で廃止になるという案も出ていたそうです。
ショッピングを無事終えて友部駅へ戻り、そこから常磐線に乗り換えて水戸へ。
水戸では納豆や梅などのお約束のお土産を買い込み、納豆料理を食べてから新宿行きの高速バスに乗って帰りました。

納豆料理の一品。
「納豆チャーハン」「納豆オムレツ」まではまあそんなに珍しくなかったけど、
この「納豆の唐揚げ」にはちょっとびっくり。
つなぎは納豆の粘りだけなので、唐揚げといってもかなり崩れやすいです。
薬味は塩のみ。
以上、駆け足ですが、年越す前にレポートを終わらせないと気持ち悪いので無理やり終わらせました。
さて、今年最後の風水旅行、結果はいかに?
つくばエクスプレスができて筑波山は東京からぐっとアクセスがよくなったと書きましたが、笠間に出るのは大変でした。
ていうか、「東京⇔筑波山」「東京⇔笠間」というだけなら東京から直通の電車なりバスなりが運行しているので簡単に行けるのですが、複数のエリア間を移動しようとすると、とたんに不便になるんです。
たとえば、筑波山からつくば駅に戻ったとしても、つくば駅はJRの駅とつながっていないので、茨城の他の地域には行けません。
となると、どこか他のJRの駅に出るバスに乗るしかないわけですが、バスも電車も本数が少ないため、なかなかうまく接続できない。
旅館で時刻表と路線図首っぴきで検討した結果、筑波山から北西の方向にある岩瀬というJRの駅にバスで向かい、そこから水戸線で東へ移動するのがよかろうということになりました。
この日は昨日とはうって変わって底冷えのする曇り空


まず、筑波山から岩瀬駅までバスで30分ほど移動。
岩瀬では接続の関係でさらに30分間待つことになりましたが、小さい駅で待合所もオープンスペースなので、この寒さはかーなーりーこたえました。

ようやくやってきた電車(水戸線。1時間に1本くらいしかない)に乗ってさらに30分。結局、筑波山から笠間までは、東京から筑波山までくらいかかりました。
笠間、と言いましたが、実際に私たちが降りたのは笠間駅ではなく、もう2つ先の友部という駅。
なぜかというと、笠間には笠間市内のみどころを無料で循環してくれるバスがあって、それの発着地が友部だからです(もちろん、途中で笠間にも寄るんですが、コースの順番からいって、友部から乗ったほうが観光しやすいようにできている)。
友部は上野から水戸へ向かう常磐線(南北に通っている)も通っているし、笠間に比べたらかなりアクセスの良い駅です。なので、外部からくる観光客のことを考えて友部発着にしているのでしょう。
まず最初に向かったのは「工芸の丘」というところ。
ここは、文字通り丘の上に作られた笠間焼き関係の総合施設で、窯元や作家の紹介を行うコーナー、作品の展示を行うギャラリー、販売を行うショップ、陶芸体験ができる工房などがあります。
このあたりでついに雨

ここでは、とにかくショップに行ってどんな特徴の焼き物なのかを見てみようということになりました(体験するほどの時間的余裕はなかったので)。
が、なんかどの作品もどこかで見たことのあるような焼き物ばかりで、あまりにもバリエーションがありすぎていくら見ても「これぞ笠間!」という特徴がつかめないのです。
というわけで、いまいち購買意欲をそそられないまま終了。
次は「笠間稲荷神社」へ。
日本三大稲荷のひとつと言われるお稲荷さんで、初詣の参拝客数は茨城一らしいですが、雨の降りしきるこの日の境内には誰もいなくて寂しい限りでした。
ここでちょうどランチタイムになったので、あらかじめリサーチしてあったこの近辺にある「かるにえ」という西洋割烹のお店へ。
ここは笠間焼きの食器を使っているのが売りで、陶芸作家の人たちの間でも人気とのこと。お店の雰囲気もいいし、お料理もおいしいし、満足しました。
笠間稲荷神社。境内にあった樹齢400年の藤の大きさにはたまげました。
今は枯れ木だけど花が咲いたら見事だと思う。
前菜は「紫芋のムース鴨のロースト野菜サラダ添え」。
肉料理は「あじさい鶏(那須の地鶏)のロースト」。
真ん中にのっているのは温泉卵。
魚料理は牡蠣のフリットに出し汁をかけたものでした。
デザートは「カボチャのプリン」。
このあとは「春風萬里荘」へ。
ここは、あの北大路魯山人が住んでいた北鎌倉の自宅を移築したというもの。魯山人がデザイン・設計した茶室や風呂場などを見ることができます。
が、感想はただただ「寒い!」の一言。
ちょうど障子貼りの最中だったため、家中がしんしんと冷え切っており、コートを着たまま見学しても震えがとまらず、思考回路は完全に停止。

日本の古い家ってどうしてこんなに寒いの?!
最後はやきものロードと言われる場所で下車し、「陶の小径」と名付けられた一角を散策しました。
この道には9つの工房がそれぞれにショップを構えており、自分のところで作っているオリジナル作品だけを出しているのです。
最初から買い物はここでしようと決めていたのですが、どの店も今ひとつピンとこない。傘をいちいち開いたり閉じたりして店に立ち寄るのもいいかげん疲れてきたところ、最後の店で初めていい感じの店にあたりました。
そこの器は、基本的に焼き締め(釉薬をかけない方法)が多く、一見備前焼きにすごく似ている。でも、備前ほど高くない。もともと備前好きの私としてはここの器はかなりのツボ。ようやく購買意欲に火がつきました。ボッ。

作品を吟味していたら、工房のご主人が出てきて、笠間焼きについてあれこれ話し始めました。
ご主人によると、笠間焼きは他の焼き物に比べると歴史が浅いので、「笠間ならではの独自性」というものが薄く、他の焼き物の特徴をいろいろとりいれたものが多いんだそうです。だから「工房の数だけ種類がある」と言われるほどどれも特徴がバラバラなのだとか。なるほど。いろいろな工房の作品を集めた工芸の丘のショップがバリエーションありすぎだった理由がこれでわかりました。
さらにお隣栃木の名産・益子焼きをひきあいに出して笠間焼きの特徴を説明するご主人。いや、べつに私「益子とどう違うんですか?」なんて一言も聞いてないんだけど、どうも一緒にされることが多いらしく、しきりに益子を意識した発言をくり返すんですよ。
やっぱり隣国ってそういうもの?
結局、ここでは飯腕、マグカップ、湯飲み、花入れ、携帯ストラップの5点を購入。これでも備前のマグカップ1点分くらいの値段にしかならないのが嬉しい。いずれも衝動ではなく、以前から「気に入ったものがあったら買いたい」と思っていたものばかりだったのでよかったです。
特に携帯ストラップは嬉しかった。ガラスとか天然石はよくあるけど、陶器のストラップって珍しいじゃないですか。ちょうどストラップが壊れたところだったので、せっかく笠間に行くんだから陶器のストラップがあったら買ってきたいなーと思ってたんです。でも工芸の丘では見あたらなくて諦めてたんですよね。ちょっと重いんだけど、渋くて気に入りました。
購入した携帯ストラップ。一見石に見えるけど土です。
焼き締めで1個1個炭化がかけてあるという凝りよう
(炭化とは、焼くときに炭を発生させて仕上がりの生地を炭っぽく見せること)。
しかもそれぞれに「か」「さ」「ま」と文字が刻まれている
(「さ」は裏側にまわってしまって写ってませんが)。
一緒に写っているのは、やはり風水旅行で日光に行ったときに、
パワースポットの東照宮奥社で購入した眠り猫ストラップ。
笠間の観光名所を無料でまわってくれる「かさま周遊バス」。
1日中悪天候でしたが、これをフルに利用したお陰でかなり助かりました。
年間1000万かかるという維持費・運営費は、
日動美術館・春風萬里荘・笠間稲荷神社が共同出資しているとか。
運転手さんの話では、あまりに負担が大きいので
9月で廃止になるという案も出ていたそうです。
ショッピングを無事終えて友部駅へ戻り、そこから常磐線に乗り換えて水戸へ。
水戸では納豆や梅などのお約束のお土産を買い込み、納豆料理を食べてから新宿行きの高速バスに乗って帰りました。
納豆料理の一品。
「納豆チャーハン」「納豆オムレツ」まではまあそんなに珍しくなかったけど、
この「納豆の唐揚げ」にはちょっとびっくり。
つなぎは納豆の粘りだけなので、唐揚げといってもかなり崩れやすいです。
薬味は塩のみ。
以上、駆け足ですが、年越す前にレポートを終わらせないと気持ち悪いので無理やり終わらせました。
さて、今年最後の風水旅行、結果はいかに?
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「ガマの油」の正体
前回の旅行の話の続きをします。
筑波といえば「ガマの油
」で有名。
若い人は知らないかな。。。。
まずは江戸時代から伝承されてきたという「ガマの油売り」の口上からお聞きください(ちなみにガマはヒキガエルのことです。念のため)。
以上が、口上の内容です(括弧内の動作説明=ト書きは私が補足しました)。
もともとは大坂の陣で徳川方に味方した筑波山大御堂の光誉上人が、ガマの油に野草成分と植物油を加えて作った練り薬を戦場での傷薬として使ったところ、非常に効果があったために評判になったというのが始まり。
まあ、要するに効能からみるとメンソレータムかタイガーバームみたいなものだと思うのですが、それがここまで有名になったのは、その後、筑波山麓に住む永井兵助という香具師が、「ガマの油売りの口上」を考えて江戸で商売したのが大当たりをとったから。
もちろんガマの油じたいもバカ売れしたんだと思いますが、それ以上に口上のおもしろさが評判を呼び、以後、この口上は単なる実演販売にとどまらず、舞台上のセリフで使われたりするなどひとつの「民俗娯楽芸能」として発展していきました。
ですから、今残っている口上はエンターテインメント重視で脚色され、実際の薬の効能よりはかなり大袈裟に表現されているようです。
「ガマの油の口上」の魅力は以下の4点に集約されるのではないでしょうか。
1)「ガマの四方を鏡で囲み、ガマが自分の姿があまりにも醜いのに驚いて流す脂汗を煮詰めて作った」というガマ虐待(?)による製造過程のユニークさ
…鏡の話はともかくとして、実際にガマにストレスを与えると耳線からある種の粘液を出すのは本当らしい。これは蟾酥(センソ)と呼ばれる毒物成分を含み、外敵に対する攻撃として用いられるようだが、麻薬コカインの数十倍の強い局所麻痺作用と、血管収縮作用、さらにステロイドと同様の抗炎症作用があることから、刀傷による痛みと出血に効果があったのではないかと言われている。また近年になって「強心興奮作用」があることもわかり、今でも中国の「六神丸」という強心薬にはこの蟾酥が使われているという。
2)「ただのガマじゃなくて四六のガマからとれる油」という稀少性の強調
…「四六のガマ」とは、前足4本で後ろ足6本のガマのこと。普通、脊椎動物は前足も後ろ足も5本なので、このガマは筑波山麓だけに生息する特別なガマなのだと言いたいらしいが、じつはガマの手足の突起は微妙な形をしているため、どのガマでも見ようによっては4×6に見えるらしい。
3)紙を切り刻むパフォーマンスの鮮やかさと実際に手を切ってみせるというショッキングな演出
…細かく切った紙吹雪はあらかじめ仕込んであるらしいが、手を切るのは本当にやるんだそうです。たしかにここまでやられたらお客も買っちゃうでしょうね。ていうか、血まで出して売れなかったら泣いちゃいますよ。
4)すべてを包括する話術の巧みさ
…刀さばきも重要だけど、最終的にものを言うのはこれでしょう。今でもこの話術を後世に伝えるために「筑波山ガマ口上保存会」なるものが結成され、ここに認定を受けると「×代目永井兵助」という称号をもらえるらしい。ちなみに今回泊まった旅館の女将はこの称号を持っているらしく、ロビーには免状も飾られていたし、売店ではCDも販売されてました。
このように、口上の伝統は現在にいたるまで伝承されているのですが、肝心のガマの油を製造していた「蝦蟇の油本舗」という店じたいは平成10年に閉店してしまいました。
なので、残念ながら今は「純正・ガマの油」は手に入りません。
筑波山周辺の売店などで、観光客向けの「ガマの油もどき」は売られていますが、パッケージがそれらしいだけで、成分をみるとワセリンとかスクワランとかラノリンとかハッカ油とか、ただの保湿クリームと変わりません。まあ、話の種としてお土産に買って帰るのは悪くないと思いますが…。
ところで、私はこの口上の文句を断片的に知ってはいたものの、通してちゃんと読んだのは今回が初めてでした。
で、すごい誤解をしていたことに気がつきました。
「一枚が二枚、二枚が四枚……」というくだりですが、私はてっきり「刃に油を塗るとこんなによく切れるようになりますよ」という証明をしてるのかと思ってました。
「こんなに切れる刀が油を塗ると切れなくなります」ということを証明するためにやっているのだと知ってびっくり。無知って恐ろしい。。。
それにしても「ガマの口上」ってあらためて見ると、ちりばめられているアイテムがなんとなくおどろおどろしいですよね。
「ガマ虐待」もそうだし、「奇形のガマ」もそうだし、「出血パフォーマンス」も。
決して明るくはないですよね。
昔の見せ物小屋に漂うようなエログロナンセンスの匂いがします。
大衆が喜ぶエッセンスがここにあるってことなのかな。

おみやげに買った「ガマの油」のパッケージ。

左がお土産に買った「ガマの油」。
右は旅館でもらった「ガマの油」。
成分を比べてみたけど、微妙に違う。
左のものは「ワセリン(石油成分)」
「合成着色料」「合成香料」は入っていないらしい。

旅館でもらった「ガマの油」の中身。
この薄ピンク色が「ガマの油」の特徴なんだそうだ。
実際は紫草かなにかで色を出しているらしいが、
無色透明でないところがなんとも毒々しい感じでいい。

旅館のロビーのテラスでは、紅葉
を見ながら
足湯を楽しめるコーナーがあった。
浸かってるときは気持ちいいけど、
ここの温泉は意外に湯冷めが早くて保温効果はいまいち。

旅館の部屋からの眺めはまるで屏風絵のようなワイドな景色で最高でした。
何かの眺めに似てると思ったんですが、
奈良の明日香の甘橿丘から大和三山を眺めた光景になんとなく似てるかも。。。

関東平野の夕景。日が短い季節のはずなのに、
なぜか日没のスピードがゆっくりしていて、
完全に暗くなるまでに随分時間がかかりました。
筑波といえば「ガマの油


若い人は知らないかな。。。。
まずは江戸時代から伝承されてきたという「ガマの油売り」の口上からお聞きください(ちなみにガマはヒキガエルのことです。念のため)。
サアーサアー、お立合ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで。
遠出山越え笠のうち、聞かざる時は物の黒白出方善悪がとんとわからない。
山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴ると言いども、童児来って鐘に撞木を当てざれば、鐘が鳴るのか撞木が鳴るのか、とんとその音色がわからない。
サテお立合。
手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油。
ガマと申してもただのガマとガマが違う。
これより北、北は筑波山のふもとは、おんばこと云う露草をくろうて育った四六のガマ。
四六五六はどこで見分ける。
前足の指が四本、後足の指が六本、合せて四六のガマ。
山中深く分け入って捕いましたるこのガマを、四面鏡ばりの箱に入れるときは、ガマはおのが姿の鏡に映るを見て驚き、タラーリタラーリと油汗を流す。
これをすきとり、柳の小枝にて三七・二十一日間、トローリトローリと煮つめましたるがこのガマの油。
このガマの油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬。
まだある。大の男の七転八倒する虫歯の痛みもぴたりと止る。
まだある。出痔いぼ痔、 はしり痔、はれもの一切、そればかりか刃物の切味も止める。
(ここで刀と紙を取り出す)
取り出したるは夏なほ寒き氷の刃。
(紙を折って刃を差し込み、半分、また半分とどんどん小さくなるまで切り刻んでいく)
一枚の紙が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚、十六枚が三十と二枚、三十二枚が六十四枚、六十四枚が一束と二十八枚。
(最後は花吹雪のように細かくなった紙を散らす)
ほれこの通り、ふっと散らせば比良の暮雪は落花の吹雪とござい。
これなる名刀も、一たびこのガマの油をつける時は、たちまち切味が止る。
おしてもひいても切れはせぬ。
(ガマの油を刃に塗って切れなくなったことを示す)
と云うてもなまくらになったのではない。
この様にきれいにふきとる時は元の切味となる。
(ここでガマの油を拭き取った刀で自分の腕を切り、血がにじみでるのを見せる。その切り傷にガマの油を塗ると血がとまる)
サーテお立合。
この様にガマの油の効能が分かったら遠慮は無用だ。
どしどし買って行きな。
以上が、口上の内容です(括弧内の動作説明=ト書きは私が補足しました)。
もともとは大坂の陣で徳川方に味方した筑波山大御堂の光誉上人が、ガマの油に野草成分と植物油を加えて作った練り薬を戦場での傷薬として使ったところ、非常に効果があったために評判になったというのが始まり。
まあ、要するに効能からみるとメンソレータムかタイガーバームみたいなものだと思うのですが、それがここまで有名になったのは、その後、筑波山麓に住む永井兵助という香具師が、「ガマの油売りの口上」を考えて江戸で商売したのが大当たりをとったから。
もちろんガマの油じたいもバカ売れしたんだと思いますが、それ以上に口上のおもしろさが評判を呼び、以後、この口上は単なる実演販売にとどまらず、舞台上のセリフで使われたりするなどひとつの「民俗娯楽芸能」として発展していきました。
ですから、今残っている口上はエンターテインメント重視で脚色され、実際の薬の効能よりはかなり大袈裟に表現されているようです。
「ガマの油の口上」の魅力は以下の4点に集約されるのではないでしょうか。
1)「ガマの四方を鏡で囲み、ガマが自分の姿があまりにも醜いのに驚いて流す脂汗を煮詰めて作った」というガマ虐待(?)による製造過程のユニークさ
…鏡の話はともかくとして、実際にガマにストレスを与えると耳線からある種の粘液を出すのは本当らしい。これは蟾酥(センソ)と呼ばれる毒物成分を含み、外敵に対する攻撃として用いられるようだが、麻薬コカインの数十倍の強い局所麻痺作用と、血管収縮作用、さらにステロイドと同様の抗炎症作用があることから、刀傷による痛みと出血に効果があったのではないかと言われている。また近年になって「強心興奮作用」があることもわかり、今でも中国の「六神丸」という強心薬にはこの蟾酥が使われているという。
2)「ただのガマじゃなくて四六のガマからとれる油」という稀少性の強調
…「四六のガマ」とは、前足4本で後ろ足6本のガマのこと。普通、脊椎動物は前足も後ろ足も5本なので、このガマは筑波山麓だけに生息する特別なガマなのだと言いたいらしいが、じつはガマの手足の突起は微妙な形をしているため、どのガマでも見ようによっては4×6に見えるらしい。
3)紙を切り刻むパフォーマンスの鮮やかさと実際に手を切ってみせるというショッキングな演出
…細かく切った紙吹雪はあらかじめ仕込んであるらしいが、手を切るのは本当にやるんだそうです。たしかにここまでやられたらお客も買っちゃうでしょうね。ていうか、血まで出して売れなかったら泣いちゃいますよ。
4)すべてを包括する話術の巧みさ
…刀さばきも重要だけど、最終的にものを言うのはこれでしょう。今でもこの話術を後世に伝えるために「筑波山ガマ口上保存会」なるものが結成され、ここに認定を受けると「×代目永井兵助」という称号をもらえるらしい。ちなみに今回泊まった旅館の女将はこの称号を持っているらしく、ロビーには免状も飾られていたし、売店ではCDも販売されてました。
このように、口上の伝統は現在にいたるまで伝承されているのですが、肝心のガマの油を製造していた「蝦蟇の油本舗」という店じたいは平成10年に閉店してしまいました。
なので、残念ながら今は「純正・ガマの油」は手に入りません。
筑波山周辺の売店などで、観光客向けの「ガマの油もどき」は売られていますが、パッケージがそれらしいだけで、成分をみるとワセリンとかスクワランとかラノリンとかハッカ油とか、ただの保湿クリームと変わりません。まあ、話の種としてお土産に買って帰るのは悪くないと思いますが…。
ところで、私はこの口上の文句を断片的に知ってはいたものの、通してちゃんと読んだのは今回が初めてでした。
で、すごい誤解をしていたことに気がつきました。
「一枚が二枚、二枚が四枚……」というくだりですが、私はてっきり「刃に油を塗るとこんなによく切れるようになりますよ」という証明をしてるのかと思ってました。
「こんなに切れる刀が油を塗ると切れなくなります」ということを証明するためにやっているのだと知ってびっくり。無知って恐ろしい。。。
それにしても「ガマの口上」ってあらためて見ると、ちりばめられているアイテムがなんとなくおどろおどろしいですよね。
「ガマ虐待」もそうだし、「奇形のガマ」もそうだし、「出血パフォーマンス」も。
決して明るくはないですよね。
昔の見せ物小屋に漂うようなエログロナンセンスの匂いがします。
大衆が喜ぶエッセンスがここにあるってことなのかな。
おみやげに買った「ガマの油」のパッケージ。
左がお土産に買った「ガマの油」。
右は旅館でもらった「ガマの油」。
成分を比べてみたけど、微妙に違う。
左のものは「ワセリン(石油成分)」
「合成着色料」「合成香料」は入っていないらしい。
旅館でもらった「ガマの油」の中身。
この薄ピンク色が「ガマの油」の特徴なんだそうだ。
実際は紫草かなにかで色を出しているらしいが、
無色透明でないところがなんとも毒々しい感じでいい。
旅館のロビーのテラスでは、紅葉

足湯を楽しめるコーナーがあった。
浸かってるときは気持ちいいけど、
ここの温泉は意外に湯冷めが早くて保温効果はいまいち。
旅館の部屋からの眺めはまるで屏風絵のようなワイドな景色で最高でした。
何かの眺めに似てると思ったんですが、
奈良の明日香の甘橿丘から大和三山を眺めた光景になんとなく似てるかも。。。
関東平野の夕景。日が短い季節のはずなのに、
なぜか日没のスピードがゆっくりしていて、
完全に暗くなるまでに随分時間がかかりました。
疲れも吹き飛ぶ筑波山の全方位ビュー
演奏会が終わった余韻もさめやらぬうちに、今年最後の「風水旅行」に行ってきました。
今回の吉方位は「北東」。
いやー、難しいですね、北東って。遠くまで行けるならいくらでも選択肢はあるんですが、近場というのが難しい。たとえば北なら日光とか、南西なら伊豆・箱根とか、北西なら軽井沢とか、いろいろあるんですが、あらためて考えると、北東はなかなかあえて行こうとはしない方位かもしれません。
普通に考えれば東京から見た近場の北東エリアは「茨城」です。
ただ一口に茨城といっても広いので、その中でどこに絞ろうか、いろいろ考えました。
で、決めたのが「1日目→筑波山、2日目→笠間」というプラン。
風水旅行には神社での参拝が欠かせませんが、これなら1日目は筑波山神社に、2日目は笠間稲荷に参詣できます。北東は「土」の気なので、「山」も「陶器」も相性がいい。
というわけで、高校時代の友人RISAと1泊2日の旅に出かけてきました。
筑波山はつくばエクスプレスの開通でぐっとアクセスがよくなったエリアです。
秋葉原からつくばまでが45分。そこからバスで筑波山神社周辺まで40分程度。ラッシュにあたるのがいやで早めの電車で行ったため、9時40分には神社に着いてしまいました。
筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」と称される人気の高い山で、日本百名山のひとつ。万葉集や百人一首などにもたびたび登場する由緒正しき霊峰です。
麓にある筑波山神社は、イザナギ&イザナミの神様を祀る「夫婦和合」「縁結び」の神社。ここから向かって左(西)の峰が男体山、右(東)の峰が女体山になります。男体山と女体山はほぼ同じ高さですが、6mほど女体山のほうが高い(877m)。微妙に“蚤の夫婦”なんですね。
両峰はちょうどふたこぶラクダのようにつながっており、神社のそばから真ん中の凹んだあたり(御幸ヶ原)まではケーブルカーで約8分程度。そこから左に行けば男体山の頂上とその周囲を散策できるハイキングコースがあり、右に行けば30分弱で女体山の山頂に出ます。女体山からはロープウェイで6分ほどでつつじが丘という麓の駅まで一気に降りることができます。
さて。この山をどういうコースで登るか……行く前にいろいろ考えました。
神社から山頂まで登り、両峰を制覇して帰りもつつじケ丘まで歩いて降りるというのがフルコースの登山になりますが、もちろん上まで登る気はまったくありませんでした(笑)。
ケーブルカーもロープウェイも文明の利器はすべて使おうと思っていましたが、それでもケーブルカーの駅とロープウェイの駅の間は歩かなくてはなりません(男体山山頂は、また元の場所に戻らなくては文明の利器が使えないので、申し訳ないけどコースから除外しました)。
問題は「ケーブルカーで御幸ヶ原まで登り、女体山山頂まで歩いてロープウェイで降りるか」「ロープウェイで女体山山頂まで登り、御幸ヶ原まで歩いてケーブルカーで降りるか」です。
地形から考えれば、後者のほうが「下り」を歩くことになるので楽そうですが、そうなるとつつじケ丘から出発して最後に神社参拝となってしまいます。
気持ちの問題ですが、やっぱり山じたいが神社の境内であると考えると、まず神社を参拝してから登るのが正しい気がして、結局前者のコースを選びました。
が、予想外だったのは、最も厳しい登りだったのは、じつは神社からケーブルカー乗り場までの石段だったこと(笑)。
まさかこんなところに難所が待っていようとは思いませんでしたよ。
ケーブルカーに一緒に乗ったおばさんは、ケーブルカーが上に着くまでの間、ずっと「こんなにきついって知ってたら来なかった
」「もう死にそう
」とひっきりなしに文句を言ってました(しかも筑波山をなめているのか着物姿だった。そりゃきついだろうよ)。
まあ、最初からきついってわかってたら覚悟もできてただろうけど、普通、ケーブルカー乗り場までの道があんなに険しいなんて思いませんからね。私たちも「ちょっとこの石段の傾斜こそケーブルカーで登るべきところなんじゃないの?」「なんで駅をこの石段の下に作らなかったの?」と文句たらたらでしたが、おばさんの文句のあまりの勢いに圧倒されて後半は静まりかえってしまいました。
ケーブルカー終点の御幸ヶ原はちょうど見晴台のような広い空間になっていて、それなりに展望は良かったのですが、本当にすごいのはこのあとに行った女体山山頂からの眺めです。正直、こんなにすごいと思ってませんでした。
普通、山頂といっても多少は視界を遮るようなもの(木とか他の山とか)があって、景色は額縁に入ったようにしか見えないことが多いと思うのですが、ここは文字通り視界を遮るものがなにもないんです。大きな岩が重なり合って積み上がっていて、そこの一番高いところに立つと、足もとから麓までストーンッて感じ。
筑波山って有名だけど高さとしてはかなり「低い」山なので、そんなに眺望とか期待してなかったんですけど、認識をあらためました。
眺望って、自分が高いところにいればいいってものじゃないんですね。自分のいるところが高くても、まわりに障害物があれば「眺めの良さ」は実感できません。
昔、スイスの山に登ったときもそう思いました。場所は高いんだけど、まわりの山も皆高いんであまり高いところにいる気がしないんですよ。そこまで高くなると下まで見晴らすこともできないしね。
ところが、筑波山のまわりってひたすら平らなんですよ。関東平野がダラダラとどこまでも続いていて、山らしい山がなにもない。これだけ真っ平らなら、そりゃあ877mでも目立つよなーと実感。
山頂までの登りは、運動不足の私にはそれなりにしんどかったんだけど、冷静に考えれば、あの程度登っただけでこの眺めが手に入るというのはかなりのお値打ち登山だと思います。
折しも、その日のお天気はピーカンの快晴
。思った以上に暖かかったし、最高の筑波詣でとなりました。
筑波山、お勧めです。
「古くから愛されてきた山」という話に納得しつつ、ロープウェイで下山しました。
以下、山頂で撮った写真をアップします。クリックすると画像が少し大きくなるので、ちょっとでも大きくして雰囲気をお楽しみください。

ケーブルカーの終点「御幸ヶ原」からの展望。
左奥にはお隣栃木県日光の男体山も見えました。

女体山頂上に立つRISA。
写真だと伝わらないけど、ここに立つのはけっこうこわいんですよ。
足もとは常に緊張。。。

山頂にいた「ストレッチおじさん」。なんでわざわざこんな断崖絶壁の突端みたいなところでストレッチするんだろう。本当に気持ちいいのか???
空の中央に見える鳥のようなものは飛行機です。

時間的に逆光になってしまってよく見えませんでしたが、早朝にはこちらの方角に富士山
が見えたそうです。新宿の高層ビルまで見えることもあるとか。

こんなところで初日の出
が見られたら最高でしょうねー。
秋〜冬は、ここから夜景を見るツアーもあるそうです。

女体山山頂から見たお隣の男体山山頂。
今回の吉方位は「北東」。
いやー、難しいですね、北東って。遠くまで行けるならいくらでも選択肢はあるんですが、近場というのが難しい。たとえば北なら日光とか、南西なら伊豆・箱根とか、北西なら軽井沢とか、いろいろあるんですが、あらためて考えると、北東はなかなかあえて行こうとはしない方位かもしれません。
普通に考えれば東京から見た近場の北東エリアは「茨城」です。
ただ一口に茨城といっても広いので、その中でどこに絞ろうか、いろいろ考えました。
で、決めたのが「1日目→筑波山、2日目→笠間」というプラン。
風水旅行には神社での参拝が欠かせませんが、これなら1日目は筑波山神社に、2日目は笠間稲荷に参詣できます。北東は「土」の気なので、「山」も「陶器」も相性がいい。
というわけで、高校時代の友人RISAと1泊2日の旅に出かけてきました。
筑波山はつくばエクスプレスの開通でぐっとアクセスがよくなったエリアです。
秋葉原からつくばまでが45分。そこからバスで筑波山神社周辺まで40分程度。ラッシュにあたるのがいやで早めの電車で行ったため、9時40分には神社に着いてしまいました。
筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」と称される人気の高い山で、日本百名山のひとつ。万葉集や百人一首などにもたびたび登場する由緒正しき霊峰です。
麓にある筑波山神社は、イザナギ&イザナミの神様を祀る「夫婦和合」「縁結び」の神社。ここから向かって左(西)の峰が男体山、右(東)の峰が女体山になります。男体山と女体山はほぼ同じ高さですが、6mほど女体山のほうが高い(877m)。微妙に“蚤の夫婦”なんですね。
両峰はちょうどふたこぶラクダのようにつながっており、神社のそばから真ん中の凹んだあたり(御幸ヶ原)まではケーブルカーで約8分程度。そこから左に行けば男体山の頂上とその周囲を散策できるハイキングコースがあり、右に行けば30分弱で女体山の山頂に出ます。女体山からはロープウェイで6分ほどでつつじが丘という麓の駅まで一気に降りることができます。
さて。この山をどういうコースで登るか……行く前にいろいろ考えました。
神社から山頂まで登り、両峰を制覇して帰りもつつじケ丘まで歩いて降りるというのがフルコースの登山になりますが、もちろん上まで登る気はまったくありませんでした(笑)。
ケーブルカーもロープウェイも文明の利器はすべて使おうと思っていましたが、それでもケーブルカーの駅とロープウェイの駅の間は歩かなくてはなりません(男体山山頂は、また元の場所に戻らなくては文明の利器が使えないので、申し訳ないけどコースから除外しました)。
問題は「ケーブルカーで御幸ヶ原まで登り、女体山山頂まで歩いてロープウェイで降りるか」「ロープウェイで女体山山頂まで登り、御幸ヶ原まで歩いてケーブルカーで降りるか」です。
地形から考えれば、後者のほうが「下り」を歩くことになるので楽そうですが、そうなるとつつじケ丘から出発して最後に神社参拝となってしまいます。
気持ちの問題ですが、やっぱり山じたいが神社の境内であると考えると、まず神社を参拝してから登るのが正しい気がして、結局前者のコースを選びました。
が、予想外だったのは、最も厳しい登りだったのは、じつは神社からケーブルカー乗り場までの石段だったこと(笑)。
まさかこんなところに難所が待っていようとは思いませんでしたよ。
ケーブルカーに一緒に乗ったおばさんは、ケーブルカーが上に着くまでの間、ずっと「こんなにきついって知ってたら来なかった


まあ、最初からきついってわかってたら覚悟もできてただろうけど、普通、ケーブルカー乗り場までの道があんなに険しいなんて思いませんからね。私たちも「ちょっとこの石段の傾斜こそケーブルカーで登るべきところなんじゃないの?」「なんで駅をこの石段の下に作らなかったの?」と文句たらたらでしたが、おばさんの文句のあまりの勢いに圧倒されて後半は静まりかえってしまいました。
ケーブルカー終点の御幸ヶ原はちょうど見晴台のような広い空間になっていて、それなりに展望は良かったのですが、本当にすごいのはこのあとに行った女体山山頂からの眺めです。正直、こんなにすごいと思ってませんでした。
普通、山頂といっても多少は視界を遮るようなもの(木とか他の山とか)があって、景色は額縁に入ったようにしか見えないことが多いと思うのですが、ここは文字通り視界を遮るものがなにもないんです。大きな岩が重なり合って積み上がっていて、そこの一番高いところに立つと、足もとから麓までストーンッて感じ。
筑波山って有名だけど高さとしてはかなり「低い」山なので、そんなに眺望とか期待してなかったんですけど、認識をあらためました。
眺望って、自分が高いところにいればいいってものじゃないんですね。自分のいるところが高くても、まわりに障害物があれば「眺めの良さ」は実感できません。
昔、スイスの山に登ったときもそう思いました。場所は高いんだけど、まわりの山も皆高いんであまり高いところにいる気がしないんですよ。そこまで高くなると下まで見晴らすこともできないしね。
ところが、筑波山のまわりってひたすら平らなんですよ。関東平野がダラダラとどこまでも続いていて、山らしい山がなにもない。これだけ真っ平らなら、そりゃあ877mでも目立つよなーと実感。
山頂までの登りは、運動不足の私にはそれなりにしんどかったんだけど、冷静に考えれば、あの程度登っただけでこの眺めが手に入るというのはかなりのお値打ち登山だと思います。
折しも、その日のお天気はピーカンの快晴

筑波山、お勧めです。

「古くから愛されてきた山」という話に納得しつつ、ロープウェイで下山しました。
以下、山頂で撮った写真をアップします。クリックすると画像が少し大きくなるので、ちょっとでも大きくして雰囲気をお楽しみください。
ケーブルカーの終点「御幸ヶ原」からの展望。
左奥にはお隣栃木県日光の男体山も見えました。
女体山頂上に立つRISA。
写真だと伝わらないけど、ここに立つのはけっこうこわいんですよ。
足もとは常に緊張。。。
山頂にいた「ストレッチおじさん」。なんでわざわざこんな断崖絶壁の突端みたいなところでストレッチするんだろう。本当に気持ちいいのか???
空の中央に見える鳥のようなものは飛行機です。
時間的に逆光になってしまってよく見えませんでしたが、早朝にはこちらの方角に富士山

こんなところで初日の出

秋〜冬は、ここから夜景を見るツアーもあるそうです。
女体山山頂から見たお隣の男体山山頂。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
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