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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

カテゴリー「その他」の記事一覧

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衝撃の「レミゼ」文化祭公演

 母校(中学・高校)の文化祭に行ってきました。
 私の母校は体育祭と文化祭だけが自慢の学校です。
 というと、「まーた。おまえの母校のイベント自慢は聞き飽きた。もういい」と言われる方もあるかと思いますが、初めての方もいると思うのでしつこくまた書かせていただきます。

 私の母校は都内のやや田舎寄りにある私立の女子校で、どちらかというと「音楽」と「演劇」で有名ですが、私が通っていたのはどっちでもない普通科です。「音楽」と「演劇」と「普通」の位置関係は少々歴史的経緯がややこしいので説明省略(これからの話には直接関係ないので)。
 とにかく普通科でありながらうちの生徒は異様にイベント好きが多く(そしてまた芸術方面の才能に秀でた人が多かった)、その中でもスポーツや勝負事に燃えるタイプの人は春の体育祭に、文化・芸術・自己表現全般への欲求が高いタイプの人は秋の文化祭に力を注げるシステム(?)になっており、言うまでもなく私は典型的な後者でした。
 どれだけ後者だったかというと、中1から高1まで文化祭の役員をやり、中3から高3まで毎年「映画」か「舞台」か「映画と舞台両方」を創ってました。
 もう私の1年は秋の文化祭後に始まり、翌年の文化祭の準備で1年を過ごし、1年後の文化祭で幕を閉じると言っても過言ではないくらい。おお、なんかアメリカのハイスクールみたいなサイクルでかっこいいな(笑)。
 体育祭の熱狂度合いについてはまたいろいろと書きたいことはあるのですが、それはべつの機会に。今は文化祭に絞って書きたいと思います。

 「雀百まで文化祭忘れず」とのたとえ通り、これだけのイベント好きどもが卒業と同時に情熱を失うはずもなく、というか一般社会では情熱のもっていきどころがほとんどないため、うちのOGは非常に頻繁に文化祭を訪問します(自己啓発セミナーの修了者がその後もセミナーの見学に通って他の参加者の体験を追体験しようとするのに似てるかも)。
 それも、卒業して10年以内くらいならまだ「懐かしくて」というのもわかるけど、あまり大きな文字では書きたくないですが、卒業後26年たっているのになぜこんなにいっぱい来てるんだおまえら。っていうくらい、皆さんいまだに訪れてます。
 今回も、待ち合わせてずっと一緒に行動した同級生は一応全部で4人なんですが、現地に着いたらあっちにもこっちにも同級生が徘徊しており、そのたびに同行メンバーが増えたり減ったりして、結局誰と誰が一緒にまわっているのかよくわからなくなるくらいメンツは流動的でした。しかもそのメンバーには同級生だけでなく家族、つまり同級生の夫や子供も含まれたりするのでますますよくわからない。
 まあ小さい子供は否応なく親についていくしかないのでわかりますが、わからないのは「旦那」。若い男性なら「女子高生見たさ」というのはわからなくもないし、自分の子供が通ってるというならそれもまた納得です。でもそのどちらでもない「旦那」というのが存在するんですよ。強いて言えば「純粋にここの文化祭が好き」としか思えないウォッチャーが。だって何回も来てて「この数年のパフォーマンスの傾向」とか語るんですよ。マニアックすぎますって(笑)。

 ここ数年はちょうど娘を母校に通わせている同級生の数がピークを迎えていることもあって、ますますOGの文化祭に向ける視線は熱い。
 というわけで、前置き長くなりましたが、今回は友人TとRのお嬢さんが中学演劇部の舞台にたつというので、4年ぶりに行ってきたんですけど、文化祭の規模はさらに巨大化していて、プログラムを見ても参加グループの数が多すぎてどこでなにが行われているのか簡単には把握できないほど。なんでも最近は、参加者が増えすぎないように、参加制限が設けられているらしいです(個人グループ参加は高校以上とか、参加のかけもちは1人いくつまでとか)。
 来場者の増加に伴い、セキュリティも厳しくなり、保護者が同伴しないと一般客は入れないとか、入場券代わりのプログラムを提示しないと再入場できないとか、フリーパスだった平和な昔と比べたら隔世の感ありでした。

 朝10時に到着すると、すでに友人が保護者枠で整理券を用意していてくれてました。
 整理券……そう。舞台発表関係は原則整理券がないと観られないという事実にまず私は驚きました。
 だいたい、とりあえずは知り合いや家族が出てるところの整理券に並ぶじゃないですか。そうするともう他のところに並んでる余裕ないから、結果的に整理券もらえるのって1カ所くらいしかないんですよ。
 なんかここはディズニーか?って感じですよね。来年はファーストパスとか出るかもしれん。

 で、演劇部の舞台ですが、いやー、中学生はなにやってもかわいいです。他人でもそう思うんだから、こりゃ親はたまらんだろうな。隣のTはわりとクールなキャラで「うちの子はね」みたいな感じでは全然ない人なんですが、お嬢さんが出てきて笑いをとる芝居をするたびに「もうやだ。あの子ったら、恥ずかしい」的な微妙に浮き足だった反応をするので、「うーん。やはりTといえども人の子(親)。子供のパフォーマンスは冷静に観ることができないのね」となんだか新鮮でした。こっちまでハラハラしちゃったよ(笑)。
 ちなみに演目はネットで探して上演許可をとったオリジナル作品のようで、ほぼ中学生ばかりが登場する青春ものっぽい内容でした。強いていえばキャラメルボックスのようなノリで、やっぱり中高生〜大学生はこういうの好きなんだなーと再認識。
 しかし中学生がネット使って自力で作品探すっていかにも「時代」ですね。私たちのときは演劇好きの顧問が自分なりの演劇ポリシーをもって脚本を書き下ろしたり、カリスマ的に生徒を指導したりしていたものですが。
 
 で、本題はこのあとに観た「レ・ミゼラブル」のことです(これは個人グループ発表)。
 「え? そんなもの文化祭でやるの?」と思うかもしれませんが、私たちの時代は劇団四季のミュージカルもまだそれほど巨大マーケットではなかった時代なので(いわゆる「キャッツ」以前)、文化祭で舞台をやる人というのはすごーく少数派でした。
 ところが、卒業後数年したくらいからミュージカルブームが到来し、むやみやたらに有名ミュージカルのコピーを上演するクラス&グループが増えてきて、今では高3(つまり最終学年)のクラスはほぼ例外なく全部が「舞台」を発表するのが慣例となってます。もっとも今はストレートプレイも増えてきてミュージカルと半々くらいですが。
 また、この高3のクラス発表というのが毎年かなりレベルが高いらしく、一般のお客が予備知識なしで観たら絶対に「演劇部」だと思うくらいうまいんだそうです。それだけに人気も注目度もひときわ高く、簡単には観ることができません。
 今回の「レミゼ」は、演目は派手だけど、クラス発表ではなく個人グループ発表だったためか、整理券なしでも席に座ることができました。

 舞台発表は交替時間も含めて持ち時間が1時間と決まっているため、上演時間は最長でも45分を越えてはいけないことになってます。
 「レミゼ」をご存じの方はすぐに同じことを思うと思うのですが、これはどう考えてもムチャというものです。
 「レミゼ」の上演時間は3時間。あの膨大な原作のエピソードを3時間にまとめただけでも偉業だったのに、それをさらに4分の1に圧縮しようというのです。
 高速早送りでも無理です。
 でも「それでもやりたい」という強引な気持ちでおしきるのがうちの生徒の伝統です。
 で、どうやったか?
 
 じつは、たしか4年前にも(あるいはもっと前に見にいったときかも)文化祭で「レミゼ」を観たことがあるんですが、それは完全に「名場面集」でした。話知ってる人でなきゃ絶対についていけない。「ここ好き!」っていう歌の場面だけを無邪気につないでいったものって感じでした。
 それもある意味潔いと思いましたが、今回はもっと潔かった。
 なんと、「歌詞をセリフにしてる」んです。
 いやー、これにはひっくりかえりそうになりましたよ。

 最初にナレーションが入る。
 「1815年、ツーロンで云々…」
 これはまあいい。
 続いて仮釈放される囚人バルジャンと因縁をつけるジャベール警部のやりとり。
 ここも歌詞を歌わないでセリフとして処理している。
 「え?」と思ったけど、もともと3時間のものをすべて再現するのは無理なわけだし、ソロとか以外はこういうふうにセリフにすることによって状況説明として端折るのかな、それもいたしかたないかなと納得しました。
 が、そのあと、プロローグの幕を切るバルジャンの改心のソロ。
 いくらなんでもここはくるだろうと思ったら……こなかったんですよ。
 「私は変わった」って一言でセリフで言われて暗転。

 え〜〜〜!!!

 ……「変わった」んだ。
 いや、「変わった」のはわかったけど、ちょっと待ってよ。これミュージカルじゃないの? ミュージカルだよね。
 それとも「レミゼ」をミュージカルだと思いこんでたのは私の幻?
 そんな要旨だけを淡々と流されまくっても……そりゃたしかに必要最小限の情報は入ってるけど、「バルジャン、変わった」って電報じゃないんだからそこまで省略されても……。

 プロローグの暗転時、不安になった私は隣りのTに囁きました。
 「これ……歌ないの……?」
 が、Tは「レミゼ」を観たことがなかったようで、まったく違和感なく観ていたようでした。
 いや、違和感なくはないでしょうが、多分「さくさく進みすぎて話の展開がよくわからない」とは思ったでしょうが、もとを知らないのだから「こういうものなのだろう」と受け入れたとしても無理はない。
 「今までのところ……ほんとは全部歌なんだけど。ていうか、『レミゼ』は歌以外ないはずなんだけど」
 「そうなんだ」
 「………
 説明しながら虚しくなってきて、取り残されたまま舞台は明転しました。

 月日はズバッと8年後にとび、場所も変わって「1日の終わりに」のコーラスの場面に。
 まさかここも労働者が並んで「1日が終わりゃ…終わりなのさ」とか一言のセリフでまとめられて終わっちゃうんじゃないだろうな。
 とかなり身構えましたが、ここで初めてカラオケが流れて歌がうたわれました。
 おぉ、歌だ!
 よかった〜。私の知ってる「レミゼ」だよ。
 もしかして同じ原作の違う作品なのかもとまで思い詰めていましたが、これでひとまず安心。

 コーラスが終わるとファンティーヌが登場。手紙を読んでいて「大変。子供が重い病気ですって」と一人語り。
 …………またセリフに戻ってしまった。
 本来ならここでファンティーヌに反感をもつ工場の仲間との諍いが繰り広げられ、ファンティーヌが工場をやめさせられて途方に暮れる場面につながるのですが、これまたざっくり省略されて、さっき歌ってた工場の仲間はもうどこにもいなくて、いきなりファンティーヌが一人で途方に暮れているシーンから始まる。
 気持ちはわかるけど、それじゃあさっきの工場とファンティーヌは関係なくなっちゃうのでは?
 そして途方に暮れたファンティーヌの有名なソロナンバー「夢やぶれて」は影も形もないまま5秒後には彼女は夜の女になっている(笑)。
 そしていきなり夜の女のコーラス「ラブリィ・レイディ」が始まる。
 な、なぜこんな風紀上問題がありそうな歌だけノーカット????

 まあこんな調子で全部説明していったらキリがないんでやめますが、とにかくほとんどすべての歌がセリフになってしまっていて、気がつけば煙に巻かれたままラストシーンに突入していました。
 基本的に歌はコーラス中心にしているようで、完全なソロは「ジャベールの自殺」と「オン・マイ・オウン」だけ。
 いや、私は知ってるからいいけど、知らない人はこれを観て「レミゼ」をなんだと思うんだろうか。
 べつに私は熱烈なレミゼファンというわけではないけれど、それでも心配になって同行した人々(皆「レミゼ」は未見のようだ)に反応を聞いたところ、まず最初に「これ本当は何分の作品なの?」と聞き返されました。
 要するに「なんか話がよくわからなかった」ということが言いたかったらしい。
 ………そうだよね。わかったらきみはすごい人だと思うよ。
 「そんなに長い作品ならいっそ歌はやめて全部セリフにしちゃえばいいのに」とまで言う人もいて、「いや。歌詞をセリフにするのと、ストレートプレイとしてセリフを書くのとは全然違う。ていうか、それすでに『レミゼ』じゃないし」と反論しようと思いましたが、もとのミュージカルを知らない人に言ってもしょうがないのでひきさがりました。

 基本的に、文化祭だし、達成感のためにムチャでもなんでもやりたいことを勢いで無理にでもやってしまうことについては擁護派にまわりたいと思っていますが、ちょっとさすがにこれは……。
 今後学校側は、参加制限条例のひとつに「レミゼを上演しないこと」という項目を加えてください。
 あるいはジョン・ケアードはカットに応じて雪だるま式にロイヤリティが増えていくというシステムを提示すべきです(払ってないだろうけど)。

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ようやく引っ越し完了

 ようやく旧ブログからの引っ越しが終わりました。
 旧ブログには告知のために一応「引っ越しました」という記事を1個だけ載せてありますが、9月末日で旧ブログは閉鎖します。

 で、気分を一新するためにテンプレートも変えてみました。
 忍者ブログではユーザーが提供する「共有テンプレート」というのを大量に公開していて、好きなものを借りられるようになってます。
 お気に入りを探し出してストックするのは楽しいんですけど、新作が日々増えていくため、常にチェックするのはけっこう大変です。
 まあ気に入ったもの1個でずっと通せばそれはそれで楽なんですが、テンプレ変えるのもブログ運営のひとつの楽しみだったりするわけで(そして多分、訪問者にとっての楽しみでも…)。

 このところ急に秋めいてきて、月のきれいな季節になってきたので、こんなテンプレートにしてみました。
 え? あんまりムードがない?
 んー、じゃあ次回はムードのあるやつを選んでおきますー。

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引っ越し進行中

 最初は気が遠くなりそうでしたが、ようやく引っ越し作業に目途がついてきました(まだ12月ですが、記事の数は最初の時期のほうが多いので、12月までくると随分気が楽)。
 また、これを機会にHPに移せるものはまとめて移動し、スリム化も図りました。

 まず去年の9月に行った愛知万博のレポート。
 さらに10月の徳島レポート。これについてはブログでの報告が途中で終わっていたので、「観光編」に祖谷渓観光の話を加え、さらに「公演観劇記」を追加して完成させたものをHPにアップしています。
 なんかこういうものって放置しておくとどんどん敷居が高くなりますね。
 1年以上放置したらもう続きを書くのは難しいな。。。
 
 ところでこの新ブログ、コメントの文字数制限ってないんだろうか。
 今まで使っていたブログはもちろんのこと、他人様のブログにお邪魔してコメント書くときも、けっこう字数制限が厳しくて、長文派の私はいつも欲求不満に陥ってたんです。
 だいたい送信しようと思うと「エラー」「文字数が多すぎます」「減らしてください」「顔洗って出直せ」…などなど、冷たい反応がかえってくることが多く、しかたなく2回とか3回とかに分けて送信し、いちいち文末に「続く」とか書いてたんですが、フランソワさんには「コメント欄で連載する人初めて見たよ」と笑われ、逆に「どうしてみんなは1コメントで収まるんだろう」と不思議でした。
 他の人のコメント見るとけっこうギッシリ入ってるように見えるのに、私が書くとちょっと書いただけではねられる気がするんですよね(←被害妄想?)。
 「えー、あれがOKでどうしてこれがNGなの? こっちのほうが短いと思うけど」とPCに向かってクレームをつけたこともしばしば。

 でもね、ここのブログは明らかに他のブログより文字数制限ゆるいんですよ。
 他のブログで2回に分けてアップしたものを1つにまとめて入れてもたいがいすんなりアップできます。
 これは私にとっては嬉しい機能だなー。
 皆さんもお試しを。

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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