古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
TV三昧のお正月
- 2008/01/05 (Sat)
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あけましておめでとうございます。
皆様、どんなお正月をお過ごしでしたか?
「古伊万里★新伊万里」も早いもので3周年を迎えました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今年は、新居で迎える初のお正月ということで、年末年始はほとんど家にこもりきりでした。
そのせいもあって、今回はけっこうTVを見た気がします。
まずは全日本フィギュアに始まって、29日に「吉原炎上」、30日に「武士の一分」、31日に「オールスター社交ダンスフェスティバル/シャル・ウィ・ダンス?」と紅白の一部、3日に「古代ローマ1000年史」、そして今日4日に「のだめカンタービレinヨーロッパ第1夜」。
「のだめ〜」はなんか続編やらないほうがよかった気が…。
お金はかかってるんだろうけど、内容的には2時間半もやったわりには薄く感じました(まだ後半が残ってますが)。
せっかく新キャラいっぱい出てきたのにみんなほとんど生かされてないし。
過去の映像に頼りすぎだし。
あと、1年で玉木くん老けましたね。。。(笑)
本編のときもすでに20代後半に入ってるのに大学生役でビミョーだったけど、今回はさらに……うーん、22には見えない……かも。
いや、かっこいいし、キャラはおもしろいし、いいんですけど、ただ年齢設定だけがどうしても気になります。
「吉原炎上」は、話の構成はよくできてたと思いましたが、観月ありさがあまりにも健康的すぎて苦界に身をおとした悲惨さがまったく伝わってこないのが致命的でした。病気とか絶対にうつらなさそう(笑)。しゃべり方が妙にパキパキしてるのも気になったなー。
なんというか、全体的に遊郭の女たちがどうしようもなく「現代人」っぽすぎて違和感が…。どの子もお人形さんみたいなんですよね。その時代の質感っていうんでしょうか。そういうものが薄すぎて入り込めませんでした。映画はそのへんもっとこだわりをもって描かれてるんでしょうが。
男たちにとってはディズニーじゃないけど「現実を忘れさせてくれる夢の世界」なんだろうから、もう少しそれなりの非日常的な演出っていうのもあっていいんじゃなかろうか。現実の女とは対照的な存在っていう意味で。
あと、幼なじみに裏切られたことがヒロインの「遊郭で生きていく覚悟」を決めさせる出来事になるわけですが、この幼なじみがチョー開き直り早くて、これはあんまりじゃないかという点だけがひっかかりました。
観月に「早くここを出て一緒になろうね」とか言っておいて、じつは妻子がいることが発覚するんですよ。それがバレたときの反応が、「それがなにか?」って感じで全然動じないんですよ。いくらなんでもひどすぎでしょう。ていうか、何考えてんのかわからない。
ただの客ならそういうこともあるかもしれないけど、一応、吉原に売られる前にはお互いにいい雰囲気だった間柄なんですよ。で、彼女が親の借金のかたに吉原に売られたことを知って遊郭に会いにいくんですよ。それで優しいこと言うんですよ。
家庭を壊す気はないにしても、彼女に執着がないならわざわざ通ったりしないと思うんですが、そのわりにはバレたときの態度が冷たくて、なんの言い訳もしないっていうのが不思議。
むしろ、おたおたしちゃって、必死に言い訳するんだけど、奥さんのほうが見下したような態度をとったんで、それがショックで「もう男なんてあてにしない」……ってなるほうがわかりやすいし、それなら彼の行動もわからなくはないんですが。
あと、花魁言葉は「お国訛り」を隠すための造語だという話をきいたことがありますが、普段の花魁たちが誰も訛ってないのも不自然な気がしました。
やりすぎてもわかりにくくなるので、とことん忠実にする必要はないと思いますけど、まったくないっていうのも気になるんですよね。
「武士の一分」はそういう意味で「時代ものらしさ」はあって落ち着いて観てられたんですが、正直なところ「武士の一分」ってなに?という疑問が最後まで残りました。
これまた、妻の口からレイプの事実をきかされたとたん、即妻を追い出すっていうのが「それってひどすぎるんじゃないの?」とひっかかったんですよね。
だって、その妻、実家もないし、行くところもないのに、夜中にたたきだされちゃうんですよ。
その場は黙って耐え、考えに考えた末に「相手と刺し違えてもいい」という「死ぬ覚悟」を決め、その結果「そのためには残される妻がかわいそう」だから「わざと離縁する」っていうのならまだわかるんですよ。いわゆる「相手を思うがゆえの愛想づかし」っていう芝居ですね。
でも、その場ですぐにっていうのがいかにも感情的で自己中心的な印象を与えるんですよ。そのため、そのあとにいくら復讐をとげようと、妻を「かわいそう」だと言っても、感情移入できないの。「じゃあなぜ追い出したんだよ」って思っちゃって。
あるいは、「発覚したからにはもうここにはいられない。成敗してくれないのなら出ていく」と妻のほうから出ていくのならまだわかるんだけど。
最後は戻ってきてハッピーエンドなんだけど、その一点がひっかかって素直に喜べませんでした。
…と、なんとなくドラマ(映画)のほうは釈然としないものが多かったのですが、意外な拾いものが「古代ローマ1000年史」。
正直、見る前は「世界不思議発見」みたいなノリなのかと思って、「あれを4時間半やられてもなー」とやや辟易気味だったんですが、意表をついてメインとなっていたのは塩野七生の「ローマ人の物語」をもとにした「再現ドラマ」。それもBBCが制作協力したという、大河ドラマもびっくりのスケールの大きさ。
ドラマの中身もわかりやすく、かつおもしろくて、見せ方にも工夫があり、一気に4時間半見きってしまいました。なによりも、「現代日本社会」との共通性という視点から語られているのがよかったですね。
この手の「歴史ミステリーもの」は巷に溢れていますが、その中でもかなり見応えのあるほうだったと思います。
「ローマ人の物語」は全15巻ということであまりのボリュームに敬遠していましたが、これを見たらたしかにちょっと読んでみたい気がするかも。
世界史の教科書に出てくる「点」でしか認識していなかったいくつもの固有名詞が、再現ドラマによって「線」で結ばれ、立体化されていくさまはまさにスリリングで、「歴史」の醍醐味を感じました。
来週からはいよいよ新ドラマが続々とスタートしますが、ノンフィクションの強さに負けないようなフィクションに出会いたいものです。
皆様、どんなお正月をお過ごしでしたか?
「古伊万里★新伊万里」も早いもので3周年を迎えました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今年は、新居で迎える初のお正月ということで、年末年始はほとんど家にこもりきりでした。
そのせいもあって、今回はけっこうTVを見た気がします。
まずは全日本フィギュアに始まって、29日に「吉原炎上」、30日に「武士の一分」、31日に「オールスター社交ダンスフェスティバル/シャル・ウィ・ダンス?」と紅白の一部、3日に「古代ローマ1000年史」、そして今日4日に「のだめカンタービレinヨーロッパ第1夜」。
「のだめ〜」はなんか続編やらないほうがよかった気が…。
お金はかかってるんだろうけど、内容的には2時間半もやったわりには薄く感じました(まだ後半が残ってますが)。
せっかく新キャラいっぱい出てきたのにみんなほとんど生かされてないし。
過去の映像に頼りすぎだし。
あと、1年で玉木くん老けましたね。。。(笑)
本編のときもすでに20代後半に入ってるのに大学生役でビミョーだったけど、今回はさらに……うーん、22には見えない……かも。
いや、かっこいいし、キャラはおもしろいし、いいんですけど、ただ年齢設定だけがどうしても気になります。
「吉原炎上」は、話の構成はよくできてたと思いましたが、観月ありさがあまりにも健康的すぎて苦界に身をおとした悲惨さがまったく伝わってこないのが致命的でした。病気とか絶対にうつらなさそう(笑)。しゃべり方が妙にパキパキしてるのも気になったなー。
なんというか、全体的に遊郭の女たちがどうしようもなく「現代人」っぽすぎて違和感が…。どの子もお人形さんみたいなんですよね。その時代の質感っていうんでしょうか。そういうものが薄すぎて入り込めませんでした。映画はそのへんもっとこだわりをもって描かれてるんでしょうが。
男たちにとってはディズニーじゃないけど「現実を忘れさせてくれる夢の世界」なんだろうから、もう少しそれなりの非日常的な演出っていうのもあっていいんじゃなかろうか。現実の女とは対照的な存在っていう意味で。
あと、幼なじみに裏切られたことがヒロインの「遊郭で生きていく覚悟」を決めさせる出来事になるわけですが、この幼なじみがチョー開き直り早くて、これはあんまりじゃないかという点だけがひっかかりました。
観月に「早くここを出て一緒になろうね」とか言っておいて、じつは妻子がいることが発覚するんですよ。それがバレたときの反応が、「それがなにか?」って感じで全然動じないんですよ。いくらなんでもひどすぎでしょう。ていうか、何考えてんのかわからない。
ただの客ならそういうこともあるかもしれないけど、一応、吉原に売られる前にはお互いにいい雰囲気だった間柄なんですよ。で、彼女が親の借金のかたに吉原に売られたことを知って遊郭に会いにいくんですよ。それで優しいこと言うんですよ。
家庭を壊す気はないにしても、彼女に執着がないならわざわざ通ったりしないと思うんですが、そのわりにはバレたときの態度が冷たくて、なんの言い訳もしないっていうのが不思議。
むしろ、おたおたしちゃって、必死に言い訳するんだけど、奥さんのほうが見下したような態度をとったんで、それがショックで「もう男なんてあてにしない」……ってなるほうがわかりやすいし、それなら彼の行動もわからなくはないんですが。
あと、花魁言葉は「お国訛り」を隠すための造語だという話をきいたことがありますが、普段の花魁たちが誰も訛ってないのも不自然な気がしました。
やりすぎてもわかりにくくなるので、とことん忠実にする必要はないと思いますけど、まったくないっていうのも気になるんですよね。
「武士の一分」はそういう意味で「時代ものらしさ」はあって落ち着いて観てられたんですが、正直なところ「武士の一分」ってなに?という疑問が最後まで残りました。
これまた、妻の口からレイプの事実をきかされたとたん、即妻を追い出すっていうのが「それってひどすぎるんじゃないの?」とひっかかったんですよね。
だって、その妻、実家もないし、行くところもないのに、夜中にたたきだされちゃうんですよ。
その場は黙って耐え、考えに考えた末に「相手と刺し違えてもいい」という「死ぬ覚悟」を決め、その結果「そのためには残される妻がかわいそう」だから「わざと離縁する」っていうのならまだわかるんですよ。いわゆる「相手を思うがゆえの愛想づかし」っていう芝居ですね。
でも、その場ですぐにっていうのがいかにも感情的で自己中心的な印象を与えるんですよ。そのため、そのあとにいくら復讐をとげようと、妻を「かわいそう」だと言っても、感情移入できないの。「じゃあなぜ追い出したんだよ」って思っちゃって。
あるいは、「発覚したからにはもうここにはいられない。成敗してくれないのなら出ていく」と妻のほうから出ていくのならまだわかるんだけど。
最後は戻ってきてハッピーエンドなんだけど、その一点がひっかかって素直に喜べませんでした。
…と、なんとなくドラマ(映画)のほうは釈然としないものが多かったのですが、意外な拾いものが「古代ローマ1000年史」。
正直、見る前は「世界不思議発見」みたいなノリなのかと思って、「あれを4時間半やられてもなー」とやや辟易気味だったんですが、意表をついてメインとなっていたのは塩野七生の「ローマ人の物語」をもとにした「再現ドラマ」。それもBBCが制作協力したという、大河ドラマもびっくりのスケールの大きさ。
ドラマの中身もわかりやすく、かつおもしろくて、見せ方にも工夫があり、一気に4時間半見きってしまいました。なによりも、「現代日本社会」との共通性という視点から語られているのがよかったですね。
この手の「歴史ミステリーもの」は巷に溢れていますが、その中でもかなり見応えのあるほうだったと思います。
「ローマ人の物語」は全15巻ということであまりのボリュームに敬遠していましたが、これを見たらたしかにちょっと読んでみたい気がするかも。
世界史の教科書に出てくる「点」でしか認識していなかったいくつもの固有名詞が、再現ドラマによって「線」で結ばれ、立体化されていくさまはまさにスリリングで、「歴史」の醍醐味を感じました。
来週からはいよいよ新ドラマが続々とスタートしますが、ノンフィクションの強さに負けないようなフィクションに出会いたいものです。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
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