古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
ただ似ているというだけで。。。
「ベルサイユのばら」に行ってきました。
「ベルばら」にはいくつかヴァージョンがあるんですが、今日のは「フェルゼンとマリー・アントワネット編」。
ベースは今までに観た「フェルゼン〜編」と同じですが、今回はかなり改訂が加えられていました。
一言でいうとすごく説明が多くなってて、さらに人物の感情の流れがわかりやすくなった感じ。
とはいえ、原作を読んだ人や、他のヴァージョンを観た人にはわかるけど、初見の人はついてこられるのかな?という省略も一方ではあったりして、あらためて登場人物が多くてさばくのが大変なドラマだなと思いました。
一番意外だったのは湖月わたるのフェルゼンが予想以上にしっくり合っていたこと。
宝塚版のフェルゼンって(原作はそうじゃないけど)、観てるとすごーく身勝手で、正直あんまり感情移入できないんですよ。「不倫のくせに態度でけーんだよ」「おまえが言うな!」みたいな部分が多々ありまして(笑)。
ところが、わたるは持ち味が比較的「まっすぐ」というか「武骨」というか「質実剛健」というか「裏表がない」というか、いやこれ皆ほめてんですよ(笑)。その持ち味が「王妃への一途な情熱」という形にうまく昇華されていて、妙な説得力がありました。
前回観たときのフェルゼンは和央ようかだったんですが、彼女の持ち味は「影のある耽美(と私は思ってます)」なので、何をやってもスキッと明るくはならないんですね。
こういうタイプがフェルゼンのような役をやると「道ならぬ恋」に悩む暗さのほうが浮き立ってしまい、「情熱」というよりは「身勝手」な印象のほうが強くなる。
まあこれは脚本がそういうふうに書かれてるからしょうがないのかなーと思っていたのですが、わたるのフェルゼンは全然暗くないし、ほんとに「いい人!」って感じなので、終盤王妃を救おうとなりふりかまわず必死になるところとかもすごくよく伝わってきて、初めて「あー、いいじゃん。フェルゼン」と思わせてくれました。
思うにフェルゼンってあんまりスマートな感じじゃないほうがいいのかも。
当時のフランス宮廷におけるスウェーデン貴族の留学生というものがどういう位置づけだったのかはっきりわかりませんが、ちょっと田舎臭いというか、泥臭いというか、フランス貴族ほど洗練されていないという感じだと、その素朴で正直な部分に孤独な王妃がひかれていくのもわかるし、駆け引きができなくて簡単に宮廷中の噂になってしまうというどんくささも好感がもてると思うのですが。
いちいちひきあいに出して悪いけど、和央フェルゼンは最初の不倫からもう自暴自棄というか自堕落というか、開き直ってる感じがして共感できなかったんですよね。
うん。やっぱりスマートでかっこよすぎるんだと思う。一歩間違えると遊び人に見えてしまう。
その他、アントワネットもオスカルもとても人間的で共感しやすい造型になっていたのが印象的でした。
何度観ても「ベルばら」はドラマが濃厚でよくできているなと思いますね。
「ベルばら」観劇後、友人と私は遅い夕食をとりに、行きつけのイタリアンレストランへ。
そこで、私はある発見をしてしまい、そのことを友人に告げるべきかどうか迷ったのですが、思い切って言ってみました。
「ねえねえ。あそこにいる店員さー、Oちゃんに似てない?」
Oちゃんとは、友人が大のひいきにしている現宝塚のトップスターです。
私としては「えー、全然似てない」「やめてください」という反応を覚悟してたんですが、意外にも彼女の反応はまんざらでもありませんでした。
最初のうちこそ「えーーー、そうかなーーー」という肯定したくないモードだったのですが、2分3分と観察するうちに「うーーん。そう言われてみれば口元がちょっと…」「鼻のあたりもたしかに…」と容認モードに入ってきた。
そのうちに携帯に入ってるOちゃんの写真と店員の顔を真剣に比べ始めたじゃないですか。
しかも、おいおい、あんた、なに赤くなってんだよ(笑)。
べつにその店員、宝塚の男役みたいとか、かっこいいとか、そういうんじゃ全然ないんですよ。ほんと、そのへんによくあるっていっちゃ失礼だけど、ごくフツーの若い女性なんです。なのに、顔の雰囲気がちょっと似てるっていうだけで、なんでそこまで真剣になるんだ!!
と言ったら、友人いわく「Oちゃんが髪の毛のばしてああいう恰好したらあんな感じになるのかなーと思って」。その想像が楽しくてウキウキするんだそうです。
その後ずっと、友人はその店員が気になってしかたがない様子で、ずーーーっと目で追っていて、「もしかして妹かもしれない」と勝手に妄想をふくらませて興奮。
妹だったらどうだっつーの??
ていうか、「似てても他人」というケースのほうが圧倒的に多いと思うんですけど、なぜ妹妄想??
しまいには「名札を確認したい」とか言い出して、「デジカメで撮って画像を拡大してみようか」などとストーカーオヤジのようなことまで。。。
その店員はきっと「このおばさん、なんでさっきから私をジロジロ見るの?」と気持ち悪がってるでしょうねー。
帰るときには友人はすっかりいい気分になり、「また来よう」とご満悦でした。
いや、この一言でこんなに楽しんでもらえるとは私も思わなかったよ。
「ベルばら」にはいくつかヴァージョンがあるんですが、今日のは「フェルゼンとマリー・アントワネット編」。
ベースは今までに観た「フェルゼン〜編」と同じですが、今回はかなり改訂が加えられていました。
一言でいうとすごく説明が多くなってて、さらに人物の感情の流れがわかりやすくなった感じ。
とはいえ、原作を読んだ人や、他のヴァージョンを観た人にはわかるけど、初見の人はついてこられるのかな?という省略も一方ではあったりして、あらためて登場人物が多くてさばくのが大変なドラマだなと思いました。
一番意外だったのは湖月わたるのフェルゼンが予想以上にしっくり合っていたこと。
宝塚版のフェルゼンって(原作はそうじゃないけど)、観てるとすごーく身勝手で、正直あんまり感情移入できないんですよ。「不倫のくせに態度でけーんだよ」「おまえが言うな!」みたいな部分が多々ありまして(笑)。
ところが、わたるは持ち味が比較的「まっすぐ」というか「武骨」というか「質実剛健」というか「裏表がない」というか、いやこれ皆ほめてんですよ(笑)。その持ち味が「王妃への一途な情熱」という形にうまく昇華されていて、妙な説得力がありました。
前回観たときのフェルゼンは和央ようかだったんですが、彼女の持ち味は「影のある耽美(と私は思ってます)」なので、何をやってもスキッと明るくはならないんですね。
こういうタイプがフェルゼンのような役をやると「道ならぬ恋」に悩む暗さのほうが浮き立ってしまい、「情熱」というよりは「身勝手」な印象のほうが強くなる。
まあこれは脚本がそういうふうに書かれてるからしょうがないのかなーと思っていたのですが、わたるのフェルゼンは全然暗くないし、ほんとに「いい人!」って感じなので、終盤王妃を救おうとなりふりかまわず必死になるところとかもすごくよく伝わってきて、初めて「あー、いいじゃん。フェルゼン」と思わせてくれました。
思うにフェルゼンってあんまりスマートな感じじゃないほうがいいのかも。
当時のフランス宮廷におけるスウェーデン貴族の留学生というものがどういう位置づけだったのかはっきりわかりませんが、ちょっと田舎臭いというか、泥臭いというか、フランス貴族ほど洗練されていないという感じだと、その素朴で正直な部分に孤独な王妃がひかれていくのもわかるし、駆け引きができなくて簡単に宮廷中の噂になってしまうというどんくささも好感がもてると思うのですが。
いちいちひきあいに出して悪いけど、和央フェルゼンは最初の不倫からもう自暴自棄というか自堕落というか、開き直ってる感じがして共感できなかったんですよね。
うん。やっぱりスマートでかっこよすぎるんだと思う。一歩間違えると遊び人に見えてしまう。
その他、アントワネットもオスカルもとても人間的で共感しやすい造型になっていたのが印象的でした。
何度観ても「ベルばら」はドラマが濃厚でよくできているなと思いますね。
「ベルばら」観劇後、友人と私は遅い夕食をとりに、行きつけのイタリアンレストランへ。
そこで、私はある発見をしてしまい、そのことを友人に告げるべきかどうか迷ったのですが、思い切って言ってみました。
「ねえねえ。あそこにいる店員さー、Oちゃんに似てない?」
Oちゃんとは、友人が大のひいきにしている現宝塚のトップスターです。
私としては「えー、全然似てない」「やめてください」という反応を覚悟してたんですが、意外にも彼女の反応はまんざらでもありませんでした。
最初のうちこそ「えーーー、そうかなーーー」という肯定したくないモードだったのですが、2分3分と観察するうちに「うーーん。そう言われてみれば口元がちょっと…」「鼻のあたりもたしかに…」と容認モードに入ってきた。
そのうちに携帯に入ってるOちゃんの写真と店員の顔を真剣に比べ始めたじゃないですか。
しかも、おいおい、あんた、なに赤くなってんだよ(笑)。
べつにその店員、宝塚の男役みたいとか、かっこいいとか、そういうんじゃ全然ないんですよ。ほんと、そのへんによくあるっていっちゃ失礼だけど、ごくフツーの若い女性なんです。なのに、顔の雰囲気がちょっと似てるっていうだけで、なんでそこまで真剣になるんだ!!
と言ったら、友人いわく「Oちゃんが髪の毛のばしてああいう恰好したらあんな感じになるのかなーと思って」。その想像が楽しくてウキウキするんだそうです。
その後ずっと、友人はその店員が気になってしかたがない様子で、ずーーーっと目で追っていて、「もしかして妹かもしれない」と勝手に妄想をふくらませて興奮。
妹だったらどうだっつーの??
ていうか、「似てても他人」というケースのほうが圧倒的に多いと思うんですけど、なぜ妹妄想??
しまいには「名札を確認したい」とか言い出して、「デジカメで撮って画像を拡大してみようか」などとストーカーオヤジのようなことまで。。。
その店員はきっと「このおばさん、なんでさっきから私をジロジロ見るの?」と気持ち悪がってるでしょうねー。
帰るときには友人はすっかりいい気分になり、「また来よう」とご満悦でした。
いや、この一言でこんなに楽しんでもらえるとは私も思わなかったよ。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
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一度みてみたいけど
友人のスミレ命さんは、「取れない、取れない!!」と大騒ぎをしてたけど、どうしたんだろうか?
そこまで盛り上がってる「ベルバラ」見てみたい気がするが、そんなノリじゃあ、さすがに申し訳ない気がして見に行けないです。
ごひいきのスターに関しては、似ていると言うだけでそこまでなるものなんだ、やっぱり・・・。
そこまで思い詰めなくても
一般のヅカ未経験者は「ベルばらなら観てもいいかな。話題だから」という人が多いんですが、「ベルばら以外ならとれるから余ったチケットまわしてあげてもいいよ」というのが実態なんですね。
それでも、2001年のときよりはオークションの値がそんなに上がっていないという噂。
> 似ていると言うだけでそこまで
いや、この友人がちょっと特別…かも。
翌日「あれから家に帰って深夜にOちゃんのDVDを観たらやっぱり似てます!」というメールが。。。
まだ考えてたんだー(笑)。
「誰か彼女に名前を聞いてくれないか」と思い詰めていましたが、個人保護法の世の中なのでどうでしょう。