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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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NZ紀行(4)〜ナマ“キーウィ”とご対面

 すっかり「国際南極センター」を堪能したあと、次の目的地の「ウィローバンク動物公園」へ移動する。両施設間は車で5分ほどの距離だ。
 「ウィローバンク」といっても「外郎銀行」ではありません(当たり前ですね)。ウィローは「柳」、バンクは「土手」だそうです。
 クライストチャーチでは、エイボン川という川が町中を蛇行しているということはすでに述べたが、たしかに川べりには柳の姿がよく見られる。土手が崩れないように植えられたものらしいが、柳と川の組み合わせって日本人に非常に「癒し」を与えますよね。市内を歩いているだけでなんだかホッとしてしまうのは、この「柳+川」のせいかも。

 さて。「ウィローバンク動物公園」です。
 動物園というとどうしても檻や囲いの中に隔離された動物の姿を思い浮かべてしまうが、ここはびっくりするほど自然がそのままの状態で残されている。「園内を歩く」というよりは「森に入っていく」感じ。といっても、足もとはちゃんとすのこで遊歩道が造られているので歩きにくさはない。
 ここでは50種ほどの動物が飼育されているが、どれもニュージーランドならではの貴重な動物ばかり。ガイドなしだとどう珍しいのかもわかりかねるので、ここはぜひガイド付きでまわりたいところ。
 ここで飼育されているものだけではなく、外から紛れ込んできた動物なども時々見られるのがおもしろい。
 数ある動物たちの中で、なんといっても一番人気はニュージーランドのマスコット的存在「キーウィ」である。
 キーウィの名前の由来は、その鳴き声から。けっこうベタなネーミングです。
 キーウィっていうと、一般的にはフルーツのほうが頭に浮かぶのだろうが、フルーツと鳥の関係についてはNZ紀行(序)で述べた通り(ちなみに、キーウィは全部で6種類あるが、フルーツのキーウィに似ていると言われたのは、中でも最も多く見られるブラウンキーウィ)。
 
 キーウィは稀少動物なので、野生のキーウィをみつけるのはまず無理。キーウィに会いたい人は動物園に行くことになるが、ここウィローバンク動物公園では、ガラス越しではなく、(低い柵はあるものの)直接観察できるのがウリ。
 ただし、キーウィは夜行性なので昼間は動かない。というわけで、ここでは夜の状態を人工的に創り出したキーウィ専用ハウスの中でキーウィを観察する。ハウス内は照明によって昼夜逆転させており、昼間に夜行性のキーウィが観察できるという仕組み。

 中に入ると……かなり暗いです。ハウスといっても、この中も自然に近い状態になっているので、暗闇からじめじめした土の匂いや緑の匂いが漂ってくる。
 キーウィは光に弱いので、ストロボ撮影は厳禁だが、懐中電灯の光くらいなら大丈夫らしく、Hさんは用意した懐中電灯をすばやく移動させながらキーウィの姿をチェック。
 「あ、いました。そこそこ」

 意表をついて足もとに近い近距離圏にキーウィ発見。木の根元でガサゴソとエサのみみずを探している。大きさはちょうど小振りのニワトリくらいか?
 キーウィの色は周囲の草木とかなり似ているため、動いてくれないとなかなか判別しにくい。私たちの後ろから来た白人のおばさんは、「こんなに暗いなんて聞いてない!キーウィなんてどこにいるのよ。これじゃわかんないじゃない」とくだをまき、Hさんにキーウィのいる場所を教えろとからんでいた。
 たしかにこれじゃ肉眼で探すのは無理だよな。懐中電灯を貸し出すとか、もうちょっとサービスしてくれてもいいのに……。

 Hさんいわく、「キーウィは1日に20時間くらい寝る」とのこと。それ、起きてるときないじゃん!
 で、起き抜けにエサを探しに行くと、探してる途中で動きが止まり、よく見るとまた寝てるんだって(笑)。しょーがねえな。
 でもこんなに寝てるわりには大食で、1日にミミズを何百匹も食べるとか。ミミズってそんなにいっぱいいるのか?!
 キーウィがこんなにいっぱい虫を食べることについては、以下のような悲しい伝説があるそうです。

 昔、ニュージーランドの森に大量の虫が発生し、木が死にかけてしまった。
 森を守るためには、鳥たちのうちの誰かが「虫を食べるための鳥」にならなければいけない。神様にそう宣告されたものの、「地面をはいずりまわって虫を食べるなんて絶対にいや!」とどの鳥もいやがって逃げ腰に。
 そんな中、キーウィだけが「森を守るためなら」と志願。神様はその勇気に感じ入る。
 こうして、虹色のきれいな羽をもっていたキーウィは、目立たないように保護色の地味な色に変えられ、飛ぶ能力もとりあげられてしまったのだとか。
 どうです。悲しいでしょう。ポッサム、スコットに続いてお送りしました「NZ泣けるお話PART3」でした。

 なお、ハウス以外にも野外に放し飼いになったキーウィというのがいて、そちらは夜間の来園者のみ見学することができる。
 「ハウスのキーウィと野外のキーウィはずっとメンバー変わらないんですか?」と聞いたところ、「時々入れ替えるらしい」とのこと。
 じゃあ、中には“時差ボケキーウィ”も発生したりするのかな。食事中に居眠りするキーウィもじつは時差ボケが原因だったりして……。



キーウィハウスの入口にあるキーウィの模型。
本物は暗くて撮影不能なので代わりにこれを撮るように言われました。
羽が退化している代わりに嘴が発達し、足が太い。
キーウィは目がほとんど見えなくて、長い嘴の先にある“鼻の穴”で感じる匂いと、
ヒゲをセンサーとして、周囲のものとの距離を測っているという。


 キーウィと並んで貴重な動物は天然記念物の「トゥアタラ」
 一見大きなトカゲだが、トカゲではない。爬虫類の一種で、恐竜の時代(2億5000万年前)から姿をほとんど変えることなく生き残っているため「生きた化石」とも言われている。
 100年以上生きるらしいが、滅多に動かず、呼吸も1時間に1回しかしないという。それってホントに生きてるのか? おまえはすでに死んでいる!>トゥアタラ……って誰かつっこんでやれよ。
 なんかものすごくデリケートな生き物らしく、光も嫌うということなので、小さな洞窟の奥にうずくまっているのを1匹ガラス越しからこそこそ隠れながら見たけど、動かないんで入口にあった模型と変わらなかった(←ありがたみのないやつ)。
 「トゥアタラ」は、マオリ語で「背中のトゲ」という意味。たしかに背中にトゲがあります。「キーウィ」といい、マオリのネーミングってストレートすぎて素敵。。。

 その他、Hさんイチオシの動物は「ブルーダック」
 普通のアヒルよりはかなり小さめ。キーウィハウスの先にいるんですが、たいていの人はキーウィを見たあとの興奮状態で見過ごしてしまうらしい。
 「もったいないですよ。こいつも稀少度からいったらキーウィに負けないのにー」とHさん。
 ブルーダックもまた数ある絶滅危機種のひとつで、今、キーウィは3万5000羽いるが、ブルーダックは600〜700つがいしかいないそうだ(ブルーダックはつがいで行動する)。紙幣にも印刷されているのにいまいちマイナー。ていうか、キーウィ人気が高すぎるのか。

 このブルーダック、妙に人なつっこくて、近寄ると金網のすぐそばまで寄ってきてやかましいほど鳴き声をあげる。食べ物を無心しているのだろうか。
 「こいつはねー、こうやって指を出すとなめてくれるんですよー。ほら」
 と言いながら、嬉しそうに金網から指を入れるHさん。すると、たしかにブルーダックはHさんの指にパクッとかぶりつき……ハムハムしている!
 その感触をうっとりとした表情で楽しむHさん。

 …………そんなに嬉しいか???

 ネイチャーオタクの快楽は理解できなかったが、絶滅危機種にハムハムしてもらえる魅力には抗えず、私も負けずに指をつっこんだ。
 「しょうがねえな」という感じで私の指にもかぶりつくブルーダック。
 うへへ。うへへ。くすぐった〜い。でも、思ったより強い吸引力でちょっとびっくりでした。



世界で2種類しかいないというオウム「ケア」。
山岳地帯など、標高の高いところに生息する唯一のオウム。
命名の由来は……もうおわかりですね。そう。鳴き声からです(笑)。
こんな渋い色をしていますが、羽の内側は目がさめるようなオレンジ色で、
時々自慢げに羽を広げて見せてくれます。
「ケア」は好奇心旺盛のいたずら好きとして有名。
ゴムの食感が大好きで、車のワイパーを食いちぎったり、
スニーカーの靴底をボロボロにしたりします。人間を恐れないので困りもの。

 


Hさんいわく「滅多にお目にかかれない」という「プケコ」を発見。
これもNZ固有種。赤い嘴が特徴。「プケコ」が飛べなくなったのが「タカヘ」だ。
「プケコ」と「タカヘ」はほぼ同じ容姿だが、
「タカヘ」は飛べないのでもっとずんぐりして足も太い。
飛べないと補食の対象になりやすいので「タカヘ」の数はさらに稀少。
NZ在住者で「プケコ」が好きという人は多い。Hさんもファンだと言っていた。
「プケコ」は湿地帯に生息し、一応飛べることになっているが、
あまり得意ではなさそうだった。




これは「クネクネピッグ」という種類のブタ。
1000年前、マオリがNZに住みついたとき、最初に連れてきた家畜。
つまり哺乳類一番乗り。
「クネクネ」とはマオリの言葉で「太った」という意味。ほんとに太ってる。
これはメスだが、横にはさらに大きいオスが昼寝をしていて、
ほとんどトドのような状態だった。


 一通り動物園をまわり、12時半すぎにツアー終了。
 このツアーにはランチもついているので、園内のレストランでランチタイムに。
 これまたものすごい量でびっくり。。。。
 前菜のスープはカボチャのポタージュだったが、やっぱり飲みきれず、メインの羊肉と温野菜は半分食べるのがやっと。
 サイドディッシュのサラダもやたらに量が多く、しかも野菜が一口で食べられるサイズに切れてない(笑)。私はサラダ大好きで、いつも人の何倍も摂取するのだが、このときはさすがに残した。量もだけどドレッシングの味も口に合わず。私がサラダを残すなんて記憶に残る限り初めてかもしれない。
 デザートもまたフルーツポンチ山盛りで見るだけで胸焼けが…。

 それにしても温野菜の材料が昨日の夜とまったく同じ内容なのにびっくり。ブロッコリー、カリフラワー、ズッキーニ、ニンジン…以上。どれもものすごく大きくてゴロゴロしていて、しかも生煮えで固くて味がないところまで同じ。そう。昨日も思ったのだが、NZ料理は全体的に味つけが薄いのだ。だしをとったうえで薄味というのと違い、本当に掛け値なしの薄味。
 羊は明らかにマトン(成羊)で、かなり匂いがきつい。ちなみに、ラム(仔羊)は柔らかくて臭みがまったくない。私はラムが食べたかったが、NZの人は臭みのあるマトンのほうが好きらしい。北海道でもその傾向があるという話を聞いたので、羊道(?)を極めるとラムよりマトンという境地に達するのかもしれない。

<続く>

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この記事へのコメント

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名前が笑える

今日、キウィが安かったから買おうと思ったんですが、イマイチ硬く小さかったので止めました。
キウィって夜行性だったんですね。
NZは、面白い動物がいて、興味をそそられます。
私も、ブルーダックにハムハムしてもらいたい口かも。
クネクネピッグにしても、プケコにしても名前が笑えますね。
  • from フランソワ :
  • 2006/09/11 (21:42) :
  • Edit :
  • Res

クネクネにはやられたよ

NZは英語圏ですが、土地の名前や動植物の名前などは先住民のマオリがつけているため、なじみのないネーミングが多いです。読み方はわりとそのままなんで易しいんですけど。
でもクネクネにはやられたよ。おもしろすぎです。
キーウィは夜行性でない種類もいるらしいけど、ほとんどが夜行性です。

フルーツキーウィ、最近よく出回ってますね。
この間、初めてゴールデンキーウィを食べたけどすごく甘くておいしかったですよ。キーウィの場合、硬くても甘いことが多いのでお試しを。
  • from 伊万里@管理人 :
  • 2006/09/11 (21:44) :
  • Edit :
  • Res

北海道もラム派ですよ

こんばんは。
ニュージーランドですか。なんだか行ってみたくなりますね。
食べものは難あり?みたいですが・・キーウィ見てみたいです、いっぺん。

> 北海道でもその傾向があるという話を聞いたので、
> 羊道(?)を極めるとラムよりマトンという境地に達するのかもしれない。

いえ北海道、マトンはあまり食べないかも。
ラムも、北海道で食べるほうが新しくて冷凍しなおしたりしないせいか、匂いがなくておいしいと、苦手な人は言いますね。
  • from たまこ :
  • 2006/09/11 (21:46) :
  • Edit :
  • Res

生ラム美味!

そうですか。ガセネタなのか?>北海道マトン好き説
生ラムはおいしいですよねー。
札幌で食べた生ラムジンギスカンは感動的においしかったです。
東京だとどうしても冷凍になってしまうので、ここまでおいしい羊を食べることはできません。
羊はカルニチンも豊富でダイエットメニューにも最適。
生ラムをいつでも食べられる北海道の人がうらやましいです。
  • from 伊万里@管理人 :
  • 2006/09/11 (21:48) :
  • Edit :
  • Res

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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