古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
「蝶々夫人」妄想キャスティング
今日、二期会のオペラ「蝶々夫人」(東京文化会館)を観にいってきました。
「蝶々夫人」については、昨年、新国立劇場で上演されたものについて散々熱く語りましたが(詳細は拙著「RE>PLAY」をご覧ください)、今回は大昔から「蝶々夫人」ばかり演出しているという演出家(栗山昌良)だけあって、新国立劇場のスタイリッシュで洗練されたある意味クールな演出とは対照的。
こっちが王道なのかもしれないけど、一言でいうと“演歌調”。情に訴えるというか、泣かせが入るというか、すんごくわかりやすい。たしかに芝居としては入り込みやすいと思いますが、1幕の終わりのラブラブデュエットシーンでドライアイスが流れてきたのには「宝塚?」と思ってしまったし、ラストの蝶々さん自害シーンで大量の桜吹雪が舞ってきたのには「風雪流れ旅? それとも近松心中物語?」と思ってしまったし、いやいやそこまでやらんでも……と思わないでもなかった。
蝶々さんを歌った木下美穂子は、今売出し中のソプラノですが、日本人とは思えないほど迫力のあるパワフルな声で、圧倒されました。蝶々夫人って音域も広いし、表現力の幅も要求されるしで非常に体力いる役のはずなのに、最後までスタミナ切れしてないのには驚きました。まさかこんなソウルフルな蝶々さんに出会おうとは…(笑)。
また、オケ(東フィル)が「オペラでこんなでかい音出していいの?」っていうくらいバカでかい音でとばしまくるんですが、全然その音に負けてないのにもびっくり(他の役の人は負けてましたが)。ティンパニとか、寝ていた人もとびあがるほどの大音響。ここまで力入れなくても。
で、なにが一番書きたかったかというと、観ている最中に、脳内で「この人にやってほしい『蝶々夫人』妄想キャスト」を考えていて、我ながら「ナイスなキャスティング」が完成したもので、一言書き残そうと思いまして。
これはあくまでも役のイメージだけでキャスティングしたものであり、歌が歌えるとか、国籍とかすべて無視です。
ピンカートンは誰がどうやってもひどい役なので、せめてイケメン度合いで相殺してもらおうということで。
谷原さんは華岡青洲をやったときも見ようによってはひどい男を魅力的に演じていた実績があります。って、天下の華岡先生と軽薄ヤンキー男を一緒にしたら和歌山県民から怒られそうですが。まあ、海軍士官のコスプレを楽しめればとりあえず不実な男でもいいかなと。
個人的には財津ボンゾはかなりいけてると思うんですけど。財津さんは歌もうたえるので、オペラでもミュージカルでもストレートプレイでもいけます。
意外に最後まで浮かばなかったのはヒロインの蝶々さん役。
菅野美穂なら可憐な1幕も悲劇的な2幕もテンション高く演じてくれそう。
それを脇で支える余貴美子の存在感もおいしい。
ケイトは出番の少ない辛抱役ですが、夫が異国のよくわからない小娘に産ませた子供をひきとって育てなければならないという理不尽な目に遭いながらも包容力でカバーするという役どころは夏川結衣ならいやみなくできそう。
ちなみに、この中で一番最初に浮かんだキャスティングは柄本ゴローでした。
「蝶々夫人」はもともとオペラよりもストレートプレイとして上演されたほうが先だし、とりあえず小説をもとに脚色し、ストレートプレイで映画化してみてはどうでしょう。オール長崎ロケで。
泥臭く東映とか。いいと思うんだけど。
東映さん、ご検討ください。
あ、でも映像だとさすがにアメリカ人役を日本人がやるのは無理があるか…。
「蝶々夫人」については、昨年、新国立劇場で上演されたものについて散々熱く語りましたが(詳細は拙著「RE>PLAY」をご覧ください)、今回は大昔から「蝶々夫人」ばかり演出しているという演出家(栗山昌良)だけあって、新国立劇場のスタイリッシュで洗練されたある意味クールな演出とは対照的。
こっちが王道なのかもしれないけど、一言でいうと“演歌調”。情に訴えるというか、泣かせが入るというか、すんごくわかりやすい。たしかに芝居としては入り込みやすいと思いますが、1幕の終わりのラブラブデュエットシーンでドライアイスが流れてきたのには「宝塚?」と思ってしまったし、ラストの蝶々さん自害シーンで大量の桜吹雪が舞ってきたのには「風雪流れ旅? それとも近松心中物語?」と思ってしまったし、いやいやそこまでやらんでも……と思わないでもなかった。
蝶々さんを歌った木下美穂子は、今売出し中のソプラノですが、日本人とは思えないほど迫力のあるパワフルな声で、圧倒されました。蝶々夫人って音域も広いし、表現力の幅も要求されるしで非常に体力いる役のはずなのに、最後までスタミナ切れしてないのには驚きました。まさかこんなソウルフルな蝶々さんに出会おうとは…(笑)。
また、オケ(東フィル)が「オペラでこんなでかい音出していいの?」っていうくらいバカでかい音でとばしまくるんですが、全然その音に負けてないのにもびっくり(他の役の人は負けてましたが)。ティンパニとか、寝ていた人もとびあがるほどの大音響。ここまで力入れなくても。
で、なにが一番書きたかったかというと、観ている最中に、脳内で「この人にやってほしい『蝶々夫人』妄想キャスト」を考えていて、我ながら「ナイスなキャスティング」が完成したもので、一言書き残そうと思いまして。
これはあくまでも役のイメージだけでキャスティングしたものであり、歌が歌えるとか、国籍とかすべて無視です。
どうでしょう。
蝶々さん … 菅野 美穂
ピンカートン … 谷原 章介
スズキ … 余 貴美子
シャープレス … 勝野 洋
ケイト … 夏川 結衣
ゴロー … 柄本 明
ヤマドリ … 中尾 彬
ボンゾ … 財津 一郎
ピンカートンは誰がどうやってもひどい役なので、せめてイケメン度合いで相殺してもらおうということで。
谷原さんは華岡青洲をやったときも見ようによってはひどい男を魅力的に演じていた実績があります。って、天下の華岡先生と軽薄ヤンキー男を一緒にしたら和歌山県民から怒られそうですが。まあ、海軍士官のコスプレを楽しめればとりあえず不実な男でもいいかなと。
個人的には財津ボンゾはかなりいけてると思うんですけど。財津さんは歌もうたえるので、オペラでもミュージカルでもストレートプレイでもいけます。
意外に最後まで浮かばなかったのはヒロインの蝶々さん役。
菅野美穂なら可憐な1幕も悲劇的な2幕もテンション高く演じてくれそう。
それを脇で支える余貴美子の存在感もおいしい。
ケイトは出番の少ない辛抱役ですが、夫が異国のよくわからない小娘に産ませた子供をひきとって育てなければならないという理不尽な目に遭いながらも包容力でカバーするという役どころは夏川結衣ならいやみなくできそう。
ちなみに、この中で一番最初に浮かんだキャスティングは柄本ゴローでした。
「蝶々夫人」はもともとオペラよりもストレートプレイとして上演されたほうが先だし、とりあえず小説をもとに脚色し、ストレートプレイで映画化してみてはどうでしょう。オール長崎ロケで。
泥臭く東映とか。いいと思うんだけど。
東映さん、ご検討ください。
あ、でも映像だとさすがにアメリカ人役を日本人がやるのは無理があるか…。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
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この記事へのコメント
谷原ナイス!
異国とか、異文化とかの背景もあるからキビシイのでしょうか。
谷原、ベストキャスティングだと思います。
彼は軟派なタラシがよく似合います。
「ラブ☆コン」では、まさしく甘〜いキザ男を演じている
らしいので、ぴったりだなぁ〜とヘッドバンキングさながらに
頷いてしまいました。
‥妄想キャスティングって、楽しいですよね‥‥
同意に感謝
谷原ピンカートンへの同意、ありがとうございます。
ナンパな感じも良いのですが、最後に自分の罪の大きさにうちのめされて泣いちゃう感じとかも似合いそう。
そして立場逆転してバタフライ菅野は怨霊化するってことで。
「おのれ、ピンカートン。待ち続けた3年間のうらみ、思い知れ」
って感じで。
ああ、もう声までリアルに聞こえてきそう。