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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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幻の庭石バブル

 今までの人生の中で「かかわりがなくてホントに助かったわ〜」と思うものの一つに「引っ越し」があります。
 正確に言うと子供の頃に今の家(一戸建て)に越しているので1回はしているのですが、子供だったし、すぐ近所からの引っ越しだったし、小さいところから大きなところへの引っ越しだったので、引っ越しというほど大仰なものではありませんでした。
 以来36年間、「結婚だ」「転勤だ」「独立だ」「新築だ」と引っ越しを繰り返す周囲の人々の激動の人生を他人事のように眺め(他人事だけど)、「あー、私は動かないで済んで幸せ。これも前世の功徳かしら」などと罰当たりな感慨にふけりながらのほほんと生きてきたのです。
 ところが……。
 おごれる者は久しからず。ついに私にも「引っ越しデビュー」のツケがまわってきたのです。それも特大のツケが。

 すでにご存じの方も多いかと思いますが、諸々の事情を鑑みた結果、このたび「家を建て替える」ことが決定し、それに伴い、今月末に仮住まい住居に移ることになったのです。
 「36年間住み慣れた家を壊すなんて、寂しいでしょうね」と言う人もいるのですが、正直なところまだそんな実感は全然ありません。今はただ「ほんとに間に合うのか?!」という切迫した恐怖だけが家族全体を覆っています。
 2月に引っ越しをすることは去年の秋くらいから決まっていました。その時点から周囲の人たちから「まじで今から片づけ始めたほうがいいよ」と警告を受けていたのですが、「大変なことになる」と口では言いながらもまだ自分が引っ越すという事実を現実のものとして受け止められず、流し流して年を越してしまいました。
 本気でやばいと思ったのは今月に入ってから(おそっ)ですが、ただ引っ越せばいいだけではなく、同時進行で新しく建つ家についての大小さまざまな決め事(これがとてつもなく多いうえに難題山積み!)を決めなければならないという足かせがあり、まずこれにかなりのエネルギーを奪われます。
 さらに仮住まい先は今より半分の大きさになるため、入りきらない荷物はコンテナで保管することになるので、家の中の荷物を「仮住まいに持っていくもの」「コンテナで保管するもの」「処分するもの」の3種類に分けなければならず、梱包作業も業者にお任せにはできないというつらさもあります。

 「捨てること=物を整理すること」は、私にとってワースト3に入る苦手分野ですが、そんなことを言っている場合ではありません。
 怒濤のように捨ててます。捨てまくってます。
 なのに……どうして荷物が増えるんだよ!!
 そう。捨てれば捨てるほど物が増えるというこの「引っ越し七不思議」。
 夜中、寝ているときに妖精かなにかがこっそり家の中に入ってきて荷物を継ぎ足してるんじゃないかと思うくらい不思議な現象です。
 こんなに一生懸命片づけているのに、やればやるほど家の中が荒廃していくという現実は、確実に人間の精神をむしばみます。
 たとえば、むやみに段ボールに詰め込むと置き場所に困るため、本やらパンフやらCDやら、しかたなく一時的に玄関とかリビングとか、公共のスペースに積んでおいたりしますよね。「ちょっとの間だけ」とか思って。
 ところがあれやこれやに追われまくるし、さらに片づけが進むにつれてフリースペースは減っていくしで、「ちょっとの間」が1日、また1日と堆積時間が増えていくんですが、これがねえ、自分の荷物の場合は「しょうがない」と思えるんですけど、他人の荷物だと腹たってくるわけですよ(笑)。所有主にとっては大切なものでも、それ以外の人にとっては「邪魔なもの」「捨ててもいいもの」「価値のないもの」だったりするので。
 普段は直接害が及ぶわけではないので平和に共存していられるのですが、精神的に追いつめられてくるとすべてにおいて余裕がなくなり、他人の持ち物に対しては極度に非寛容になります。「こいつが……こいつがなくなればすっきりするのに」「これは重要なものなんだよ。そっちのそれこそ目障り」「なにを言う。そっちこそ捨てろ」というやりとりが実際にかわされるわけではありませんが、通路をふさがれて荷物につまずいたりする瞬間のうらみがましい視線の中にそれに近いニュアンスが走ったりします(被害妄想?)。
 まだまだ片づけが本格化するのはこれから。今後どんどん精神がすさんでいくのかと思うと自分がこわいです。

 ところで、ここまで捨て続けていると、「少しはキャッシュバックにならないのだろうか」と思ってしまうのが人情。
 だって大きいものは捨てるのにもお金がかかるご時世ですからね。同じ処分するのなら売れたほうが張り合いがあるというもの。今はリサイクルブームだし。
 とはいうものの、フリーマーケットに出すとか、オークションに出すとか、ガレージセールをやるなんて余裕はもちろんなく(HP上でガレージセールをやろうと思ったこともあったけどあきらめました)、まずはてっとりばやくブックオフに本を売ることから始めましたが、これは数で稼がなくてはならないため、労力も大きい。宝塚関係の雑誌やプログラムはわざわざべつにして宝塚アンというヅカファン専用のグッズリサイクルの店に送ったのに、送料をとられたため赤字になっちゃうし…。
 こんな薄利多売じゃなくて、もっと一攫千金を狙えるものはないのか?!
 「ねえよ」という突っ込みはなしね。そりゃあゴミ売ってそんなもの狙えたら誰でも億万長者だよというのは自分でもわかってるんですが、なにぶん精神がすさんでいるので思考も邪になっていくわけですよ。

 そんなとき、ふと目にとまったのが「庭石」です。
 今まで気にもとめなかったけど、あらためて見れば随分大きいし、立派そうじゃないか。こんな庭石、新しく手に入れようと思ってもなかなか大変だよね。
 これは……もしかしたらいい値がつくかも……。
 さながら鷹狩りに行ったお殿様が領地内に思わぬ上玉の村娘を見つけたときのように私の目が光りました。
 さっそく「庭石 買い取り」で検索をかけ、ヒットした造園業者に連絡を入れました。
 「とにかく写真を送ってください」と言われ、「そんなことよりさっさと部屋の片づけを」という家族の声を無視し、庭石を激写。添付ファイルで送ってワクワクしながら返事を待つことしばし。
 返ってきた返事は……。

 「申し訳ありませんが、買い取れません」

 ……………。
 なんだそりゃあ〜〜!!!
 買い取れないって……買い取れないって……ただでもいらんってことか?
 うちの子のどこが気に入らないってんだよ、オラ。手塩にかけて育ててきたのに(いつ?)。
 ふん。もういいよ。あんたには頼まないから。
 と逆ギレし、次の造園業者に連絡。
 その返事は……。

 「買い取り1万5000円。出張引取料金16万円」
 
 ??????
 それって……それって……14万5000円払えばひきとってやらないでもないってことか?
 むき〜〜!!
 うちの子のどこが(以下同文)

 結局、その他もろもろの方面にも話を聞いて情報を集めた結果、「じつは庭石ほど処分が難しいものはない」という事実がわかったのでした。
 要するに庭石は重くて運ぶのにとてつもなく手間がかかる。
 「遠慮しないでそのへんにあるもの好きだけ持ってって」と言われて「わーい。ありがとう。じゃあこれとこれもらってくね」と簡単にいくものではない。
 引き取って、それを欲しい人がいたらまたその人のところまで運ぶ。その2回の手間賃を考えたら誰も手を出したがらないのは当たり前です。
 そんな手間をかけるくらいなら新しい石を買ったほうがずっと安いし簡単。というわけ。
 金の卵どころか、家一番の厄介ものということがわかり、私の庭石を見る目は一気に冷たくなりました。
 もう「こんなところにこんなもん置いたの誰だよ」っていうくらい冷たいですよ(笑)。
 柿右衛門@弟に言ったら「うーん。仏足石でも彫ってもらって拝観料とるとか…」。
 ………ありがとう。発想だけでも楽しませてもらったよ。

 あきらめて地道に部屋の掃除を再開した私ですが、ふと見ると柿右衛門の部屋跡から岡田友希子のレコードが!
 ………もしかして、これってお宝?!
 私の目に再び邪な光が宿ったのは言うまでもありません(笑)。

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なんと

電話の内容がそのまま記事になってた・・・。
IKEA良かったね。お気に召して。
と、ココでお返事を書く私。
実は、友人が、IKEAのことをボロクソ言ってたんで、多大な期待を寄せていくとガッカリすると思ったんです。
高級家具店だと思ってたみたいで。
価値観それぞれでんな~。
まずは、引越し、おきばりやんせ。
  • from フランソワ :
  • 2007/02/08 (10:56) :
  • Edit :
  • Res

写真の整理

そうか。
ブログでIKEAをお勧めしていたはずのフランソワさんが、いつになく弱気に「あんまり期待しないほうがいいよ」と繰り返していたのはそういう背景があったのですね。
でもさー、それはあの値段で高級家具を期待するほうが間違ってるでしょう。コストパフォーマンスとしては立派なものだと思いますよ。なかなか合理的に考えられてるなーと細かい部分でのシステムとか工夫に感心させられました。
大丈夫。私はファミリーカードの会員になってきたから(笑)。
引っ越しは……まず大量の写真に往生しました。今はパソコンで複製できるので、ネガはすべて処分。旅先でもらってきたパンフ類も処分(情報はネットでとってこられるので)。こうしてみるとネットの普及のお陰で心おきなく処分できるものがかなり増えてますね。紙焼きのものもすごい勢いで捨てました。変な顔で写ってるものはソッコーゴミ箱いき。ほとんど変な顔なのでこの作業も楽。でも自分じゃなくて、なつかしい知人・友人の写真(それも若い頃の)はおもしろくて捨てられません。どういう選択肢だ。
  • from 伊万里@管理人 :
  • 2007/02/08 (11:36) :
  • Edit :
  • Res

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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