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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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略奪愛のなっちゃん?!

 先日、益子さんとしゃべっていて、AJINOMOTOのTVCFの話になりました。
 田中麗奈と樹木希林が母娘役をやってる「ほんだし」のCFです。
 長期シリーズものなので、皆さんも目にする機会は多いでしょう。

 そもそもの始まりは、益子さんが「最近、なっちゃん(←実際はなっちゃんではないが、私も益子さんも田中麗奈=なっちゃんとしか認識されていない)の旦那さんが登場するようになったけど、なんかあの旦那さん、ミョーに老けてませんか?」と言い出したこと。

 念のため、ご存じない方のために説明すると、このシリーズは毎回朝の食卓風景を中心に物語が展開されます(昼食や夕食のときもあるけど、共通しているのはほんだしを使った料理が登場すること)。
 シリーズの最初の頃は、なっちゃんはまだ高校生で、希林ママが具だくさんの栄養たっぷりのおみそ汁を作ってなっちゃんに食べさせていました。
 そのうちになっちゃんは家を出て一人暮らしをするようになり、最近は結婚して実家に戻り、夫婦で親と同居している…という設定になっています。

 一番最近流れているシリーズは、新妻なっちゃんが作ったおみそ汁を、希林ママ、夫・学さんと囲むというシチュエーション(なぜかなっちゃんのお父さんはいない)。
 そこでおみそ汁をすすった学さんが満足そうに「あー、五臓六腑にしみわたる」とつぶやき、なっちゃんは「やだ、今の。お父さんみたい」と笑う。
 それを見た希林ママはちゃかすように「やだ、今の。お父さんみたい」となっちゃんの物まね。なっちゃんは照れて「なんで真似すんのよ」と怒る。
 そんな感じの内容になっています。
 益子さんいわく、その「五臓六腑の旦那さん」の横顔が、なっちゃんの相手にしては老けているというのです。

 そこから2人であれこれとバックストーリーを想像し始めました。
 そもそもなぜ学さんは嫁の実家に同居しているんだろうか。
 若造ならともかく、そんないい年をした大人の男なら、2人が住む家くらい借りられないことはないだろう。
 しかも希林ママと同居……これはかなり大変そうだ。
 きっとなにか事情があるに違いない。
 ということで、私たちが出した結論は、

 “なっちゃん、略奪愛”説

 おそらく学さんは家族持ちだった。
 しかし家庭は冷え切っていて、学さんは朝ご飯すら奥さんにまともに作ってもらっていなかった。
 家族がバラバラで冷えたご飯をかきこんでは出かけていくという殺伐とした生活。
 そんな学さんの前に現れたのが家庭のぬくもりを感じさせるなっちゃんだった。
 紆余曲折を経てようやく結ばれ、新生活をスタートさせる学さんとなっちゃん。
 家族でつくりたてのみそ汁を囲む幸せを久々に味わった学さんは、思わず「五臓六腑にしみわたる」と年を感じさせるコメントを吐いてしまった。
 ちなみに、学さんは別れた奥さんのためにマンションをあげてしまい、住むところがない。
 子供の養育費を払わなければいけないため、生活も苦しい。
 そこで希林ママの提案でなっちゃんの実家に同居することになったのである。

 さらに益子さんは「希林ママも略奪愛」説を主張。
 2人に理解があるのは、なっちゃんのパパとママも略奪愛だったから。
 「五臓六腑にしみわたる」というコメントは、かつてなっちゃんのお父さんも同じ気持ちで言った言葉であり、希林ママの「やだ、今の。お父さんみたい」というセリフは単なるなっちゃんの物まねではなく、「ちょっと待って。プレイバック。プレイバック。今の言葉。プレイバック。プレイバック♪」状態で、自分のケースを思い出していたのであった…。
 これで前作で学さんとお父さんが妙に気があってしまった理由も判明。

 ……と、勝手にどんどんバックストーリーを考えて盛り上がっていたのですが、実際はどうなのかが気になり、帰ってから公式サイトで調べてみました。
 そしたらなっちゃんが一人暮らしを始めるところから最新のシリーズまでの12本が見られるようになっていたので、さっそく確認。

 ………残念ながら「略奪愛」の痕跡はどこにも見られませんでした(笑)。
 わかったのは学さんは結婚するまで「一人暮らし」だったこと、同居の理由は「共働きするため」だということ。
 もしかしたら、学さんは老けてみえるし「五臓六腑にしみわたる」なんて年寄りくさい言葉を使うけど、じつは就職したてくらいの若い貧乏サラリーマンで、2人がまだあまりにも若すぎて頼りないので、もう少し一人前になるまで実家で面倒みてやろうというだけの話なのかもしれない。
 うーん。「略奪愛」、いい線いってたと思うんだけどなー。

 そのかわり、ひとつ怪しい箇所を発見しました。
 それは、なっちゃんが一人暮らしをしているときのこと、会社の同僚なのか、女友達1名とホイさんという外国人男性(中国人?)を招いてランチをご馳走するという設定なのですが、おいしくできたほんだし入りのチャーハンを一口食べたホイさんは「これ、初めて食べるよ。あなたと結婚したいよ」と絶賛。
 そんなホイさんを、女友達は「そんなこと言って若い女の子をからかっちゃダメだよ」というニュアンスで「ホイさん。ダメだよ」と軽くたしなめ、なっちゃんも「ダメだよ」とつぶやきますが、明らかに動揺している。
 その次のシリーズは、恋の悩みで憔悴したなっちゃんが久しぶりに実家に帰り、希林ママのおみそ汁を飲んで癒されるという内容。
 そしてその次は「あのね、結婚しようと思うの」と希林ママに打ち明ける作品へとつながっていくわけですが、このへんポイントですね。
 ホイさん……怪しいです(笑)。

 おそらく(←再び妄想のスイッチが入ります)、ホイさんの一言に動揺したなっちゃんは、その日からホイさんを意識するようになったのではないでしょうか。
 チャーハンを一緒に食べた女友達からは「なっちゃん。ホイさんだけはやめたほうがいいよ」と忠告されるが、とめられればとめられるほど燃え上がるのが恋の炎というもの。
 やがてホイさんとつきあうようになったなっちゃんは、中国語講座に通い、彼に喜んでもらおうと中国料理ばかり作るようになった。
 ところが、ホイさんは社内でも有名な遊び人で、会社の女の子の家に遊びにいっては「これおいしい。あなたと結婚したいよ」を連発して口説きまくっていたことが判明。
 傷ついたなっちゃんは久しぶりに実家に帰り、しばらく作らなくなったおみそ汁の味に触れてようやく自分を取り戻す。
 失恋から立ち直ったなっちゃんの前に現れたのが、いつもなっちゃんを励ましてくれていた同期の学くん。
 若いくせにオヤジくさい学くんを今までなっちゃんは頼りなく感じていたが、ある日、自分の作るおみそ汁を心底おいしそうに飲む学くんを見て、「自分に合ってるのはこの人かもしれない」と思うようになる。
 そう。ホイさんへの気持ちは憧れ。ちょっと背伸びして無理してたのかもしれない。
 ふっきれたなっちゃんは、学くんとの結婚を決め、実家の両親に報告に行くのだった。

 いかがでしょうか。
 なっちゃん、成長のストーリー。
 次のシリーズは「初めての夫婦喧嘩編」かなー。
 朝ご飯の支度をしながらちょっと不機嫌ななっちゃん。
 「どうかしたの。もしかして夫婦喧嘩?」と希林ママ。
 図星なので動揺するなっちゃん。
 希林ママ、にやにや笑いながら「そう。それはおめでとう」と一言。
 「なんでおめでとうなの?」となっちゃん。
 「夫婦はね、ケンカをして初めて本物になるのよ。よかったわね」と一人で感慨に耽っている希林ママ。
 「そうなの?」と思わず素直にリアクションしてしまうなっちゃん。
 そこへ学くんが気まずそうに入ってくる。
 ぎこちない雰囲気の2人。
 希林ママ、嬉しそうにおみそ汁を学のもとへ運ぶ。
 「はい。学さん。なっちゃんがさっきはごめんなさいって」
 「ちょっとおかあさん。私そんなこと…」
 あわてて反論するなっちゃんを制する希林ママ。
 すべてを飲み込んで、おみそ汁を一口飲む学。
 「いやー、今日のみそ汁は特にうまいなー」とちょっと照れながら言う学。
 なっちゃん、「もう。しょうがないな」というように照れ笑い。
 すっかり仲直りの新婚夫婦。
 希林ママ、陰でボソッと一言。
 「今日のおみそ汁は私が作ったんだけどね。ま、いいか」

 以上。勝手にプロットを作ってみました。
 AJINOMOTOさん、次回のシリーズ、楽しみにしてますのでひとつよろしく。
 
<追記:2006年8月15日>

 残念ながら「なっちゃんシリーズ」(←勝手に命名)は終わってしまったようで、今は宮沢りえの「こはるさんシリーズ」になっています。

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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