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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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「ファイティング・マザー」に出てくるレストラン

 この土日は、年に一度の「新春回顧対談」のため、東山さん(HPのプロフィール欄を参照)と都内のホテルに1泊しました。
 「新春回顧対談」というのは、平成元年から行っている企画で、前の年の「10大ニュース」や「話題になった人や作品や言葉」について徹底的に語り合うというもの。
 最初の5回分くらいは、全部テープ起こしして対談集にまとめていたんですが、さすがにあまりにも手間がかかって追いつかなくなり、今年からはやり方をあらためました。
 今までは、

 1部→個人的総括(××年はどんな年だったか)
 2部→海外の10大ニュースについて(読売新聞のアンケート結果参照)
 3部→国内の10大ニュースについて(       〃      )
 4部→話題になったモノについて(人・作品・言葉・商品など)

 という4部構成で対談を行っていたのですが、今年からは1〜3部はカットし(アンケート結果を見て軽くコメントするだけでテレコはまわさない)、4部についてのみ語ることに。
 それも全部について語るのではなく、「私が選んだ話題になったモノ」ということで、各自で10項目ずつ挙げてきたうえで、「語りたいテーマ」を1個ずつ提示し、それについてのみトークを行い、テレコをまわすことにしました。
 これならまとめるのもぐっと楽になるし。

 で、宿泊するホテル選びには毎年苦労するのですが、今年は特に難航しました。
 というのも、いつもはもっと早い時期(1/7前後)に行うため、都内のホテルは割引シーズンに入っており、けっこういいホテルがガンガン値下げしてたりするんですが、今回は私の母が入院したりなどの事情があったために時期が大幅にずれ、料金が正規料金に戻ってしまったんですよ。
 なので、どこも高くてなかなか「これ」というところがなくて…。

 そんな中で目をつけたのが、目白駅のすぐ隣りにある「ホテルメッツ目白」というホテル。どうやらJR系のホテルチェーンらしい(VIEWカードを提示すると10%オフになります)。
 ビジネスホテルとしてはメチャクチャ安いという値段ではないんだけど、とにかく新しくてきれいで快適なホテルでした。
 部屋もビジネスにしてはゆったりしているし、インテリアもセンスがいい。
 すぐ隣りが学習院大学で緑が多いのも気持ちがいい。
 なによりも嬉しかったのは、加湿器を貸し出してくれるというサービス。
 ホテルに泊まるときに一番気になるのが「湿度」。特に冬場は乾燥が激しいので、いつも「加湿器があったらなー」と思ってたんですよ。
 ほんとに貸してくれたホテルはここが初めてでした。

 また、1階がイタリアンレストランになっており、そこでの朝食が料金に含まれているんですが、これまたおいしくてボリュームたっぷり。
 目白駅周辺は繁華街がないので、私たちは夜もここで食べたんですけど、ちょうど「冬のレディースプラン」でコース料理の割引キャンペーンをやっており、ネットのクーポンをプリントしていったらさらに割引がきいてなんと半額に!
 なんでこんなにサービスがいいの?!

 まあ、そういうわけで、すごく満足度の高いホテルだったんですが、書きたかったのはこの先。
 この1階にあるレストランの名前です。
 なんと「フィオレンティーナ」っていうんですよ!

 と、いきなり言ってもほとんどの方は何に驚いているのかわからないでしょう。
 じつは、去年、名古屋で上演された私のデビュー作「ファイティング・マザー」の中に出てくるイタリアンレストランが「フィオレンティーナ」という名前で、しかも目白にあるという設定だったんです。
 名前の一致だけならともかく、場所まで一致しているとなるとかなりびっくりです。
 それだけではありません。
 「店の中」という設定にすると、他のテーブルの客とかある程度の数出さないとおかしくなるので、「外のテラス席」という設定にしたんですけど、その店にもまさにイメージ通りのテラス席があったんですよ。

 もちろん、この店に入ったのは初めてですし、目白駅で降りたことすら初めてです。
 こんなシンクロニシティってあるんですねー。驚きました。

 もし東京で公演される機会があったら、ぜひチラシをおいてほしいです。
 「冬ソナ」の「チュンサンの家」みたいに、観光名所になったりして(笑)。

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プロの役者による「読み合わせ」授業

 プロフィールにも書いてあるように、私は現在劇作家修業中で、某劇作家養成学校に通っています。
 現在3年目で、3月には卒業予定なんですが、卒業を前にして、先日、特別企画の授業が行われました。

 題して「プロの役者による読み合わせ授業」。
 当然のことながら、戯曲というのは小説やエッセイとは違い、書かれただけでは未完成品。上演されて初めて完成されるものです。
 とはいうものの、ひとつの作品を上演するには大変な労力と人手と時間とお金が必要で、自分の作品が上演されるまでの道のりは、おそらく一般の方にとっては想像を絶するような険しさだと思います。

 そこで、「せめてお金も人手も普通の上演ほどはかからないで済むリーディング公演をしよう」という動きが最近はやり始めています。
 リーディングとは「読み合わせ」のことで、文字通り役者が声に出して台本を読むという部分だけを指します。通常の稽古では、「読み合わせ」→「立ち稽古」と進み、最後は本番同様に装置を組んで衣装をつけて通し稽古を行いますが、この「読み合わせ」の部分だけを行い、公開するのがリーディング公演です。
 装置も衣装も広い空間もいらないので、役者さえ揃えればすぐにできます。
 お金がかからないので、実現させるための敷居もぐっと低くなります。
 ロンドンなどではリーディング公演はかなり盛んのようで、永井愛は、ロンドンで自分の作品のリーディング公演を行ってもらったのが評判になり、ブッシュシアターから書き下ろしを依頼されました。

 というわけで、うちの学校でも実験的に「プロの役者を招いての読み合わせ」を授業内でやってみようということになったのです。
 当日呼ばれたのは、新劇系の男優さんと、商業演劇系の女優さん各1名ずつ(ともに40代のベテラン)。
 その日読まれる作品は私の作品も含めて6作品(条件は400字10枚の男女の2人芝居)。
 1人にわりあてられている時間は15〜20分程度。10枚の作品を読むとだいたい10分程度はかかるので、読み終わったあとに簡単なコメントをもらうだけでもう時間いっぱいに。
 本当は、作者とのディスカッションがほしいところですが、残念ながらそこまでの余裕はありませんでした。

 作品については事前に役者さんに郵送されており、役者さんは簡単な動きくらいは考えてきているようで、「読み合わせ」というよりは、「読み合わせ」と「立ち稽古」の間の「粗通し」といった段階になっていました。
 ほんの短い時間でしたが、読むのと読まれるのとでは大違いであることを痛感し、自分の作品だけでなく、他人の作品も含めて、活字で読む言葉の印象と生身の人間がセリフとして語る言葉の印象の大きな違いに驚かされました。

 普段は、書かれた戯曲を読んで講評するという作業ばかりしているので、力のないセリフや構成の弱さ、人物描写の甘さなどはすぐに目につくのですが、こういうのって生身の人間によって読まれると、ある程度目立たなくなってしまうものなんですね。
 読まれた作家のほうは、「あらー。私の書いたぎこちないセリフや人物がこんなにそれらしく演じられるなんて魔法みたい!」と大喜びですが、戯曲の構造的な欠陥は解消されたわけではなく、あくまでも残ってるわけです。
 今回は短いからそれほど粗も目立ちませんが、これがもっと長いものになると、「部分部分は泣かされたり笑わせられたりするけど、全体を通してみるとなんかしっくりこない(納得できない)」という印象を与えることになります。
 言ってみれば、手書きで書いた文章がタイプ文字になるとそれらしい文章に見えてしまうのと同じで、実際はタイプ文字になっても下手なもんは下手なんですよ。
 役者さんが流麗に読めば読むほど、そういう意味で「本当の問題点」がわかりにくくなるような危うさを私は感じました。

 同様に、まあこれは役者さんの演技のタイプにもよると思うのですが、生身の人間が演じると、言葉が湿り気を帯びてどんどん重くなるなーという印象を受けました。
 世の中には「こういう場面ではこう言う」みたいな類型的お約束ゼリフというものがあり、書き手としてはできるだけそういう類型に流れないように、うわっつらのセリフを避けようと努力するわけですが、そういううわっつらの類型ゼリフも、役者さんがそれなりのテクニックで読むとさまになってしまうんですよ。

 読んでるだけで恥ずかしくなるような「くさいセリフ」についても同様。
 「衣装つけてメイクして舞台装置の中に立って、スポットライトを浴びて…という状況下ならともかく、こんな狭い教室の中でよく恥ずかしげもなくこんなセリフ言えるよなー」と、自分たちで書いておきながらひいてしまう私たち…。
 そんなことにひるんでいるようでは役者はできん!と言われればその通りなのですが、やっぱり役者さんは未知の生物だと思いました。

 類型といえば、おかしかったのは、「すいません。大きな声を出して」というセリフについて。
 まあ、これって比較的よく使われがちなセリフだと思うんですけど、今回の役者さんはこれがやけにひっかかったらしい。
 「大きな声を出したあとに言うセリフなんだから『大きな声を出して』は不要。ハッと我に返った表情をして『あ…すいません』と言えば充分。こういう説明的なセリフはすごく気になる」と言うんですよ。
 言われてみればたしかにそうなんだけど、私から見ると他にももっと気になる説明ゼリフはいっぱいあって、それだけにこだわる感覚ってよくわかんないんですよね。
 非常によく使われるだけに目立つのかもしれないけど。
 その日も、6本中3本にこのセリフが出てきたらしく、「なんで判で押したようにこのセリフが出てくるんだ。学校で使えって教えられてんのか?」と問いつめられ、返答に困る私たち。
 たしかにそのあと連続してこのセリフが出てきて、出てくるたびに笑いそうになりました。
 ちなみに、制作のKさんがどうしても気になるセリフは「どうしてここに…?」だそうです。
 たしかにこれもよく使われますね。いやだと思う人がいるなんて考えたこともなかったけど。

 言葉の感覚には個人差があるから、気に入らないとなったらとことん気に入らないんでしょうね。
 でも、劇作ってほんとにクリアしなければならない課題が多いから、正直言って「セリフを磨く」などという課題は最も高レベルの枝葉の部分なんですよね。
 枝葉っていうのは、どうでもいいっていう意味ではなく、その前にやるべきことをすべてクリアした上でないといくら凝っても機能しないという意味です。
 役者さんは一番表面の部分がまず最初に気になるのかもしれませんけど。

 これでも見えないところでいろいろ苦労してんだよ! 私たちだってさっ。

 はっ……。すいません。大きな声を出して。
 おあとがよろしいようで。

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閑散期のシーにて…

 友人の益子さん(HN。HPのプロフィール欄を参照)とTDSに行ってきました。
 益子さんとシーに行くのはちょうど1年前に行ったとき以来2回目です。
 去年もそうだったけど、今のシーは絵に描いたような閑散期。
 空いてます。
 プレビューのときの悪夢がウソのように。

 たしかに空いているのはありがたいんですが、あまりに空きすぎていると、それはそれで淋しいものです。
 繁忙期にしか行けない人から見たら嫌味にしか聞こえないかもしれませんが、なんとなく「客があまり来ないから」という理由であちこち手を抜かれてるような気がしないでもない。
 プロメテウス火山の噴煙もいつもよりしょぼい感じがするし、ストームライダーの水しぶきも前来たときはもっと派手にまき散らされてた気がするんですよね。
 「まあ、今日はギャラリー少ないし、こんなもんでいいだろ」みたいな。

 最もそれを感じたのは、最後にカプチーノ味のポップコーンを買ったときです。
 バケツ入りのポップコーンを選んだところ、「蓋は赤と青、どちらがよろしいですか?」と聞かれ、「青」と答え、蓋をつけてもらい、バケツを受け取り、家に帰ってから食べるつもりで出口の方向へ歩き始めたのですが、なんか変なんですよ。
 「…………妙に軽くないか??」
 おかしいな、量が少ないのかなと思ってなにげなく蓋を開けてみてびっくり!

 中身が……ない!

 空っぽなんですよ、空っぽ。
 ありえないでしょう。こんなミス。
 で、あわてて店に戻り、「中、入ってないんですけど」と訴えたら、売り子のお姉さんも激しく動揺し、平謝りに謝りながら狂ったようにポップコーンを詰めまくり、最後はぎゅうぎゅう目一杯押し込んで蓋を閉めて一言。
 「本当に申し訳ありませんでした。気持ち、多めに詰めておきましたから」
 いやー、笑いました。
 さすがのディズニーの接客マニュアルにも、こういうケースの対処法までは載ってないでしょうね。
 しかし、こんなミスも閑散期の気が抜けた時期だからこそ起こるものなのでしょう。

 益子さんは、シーは前回が初めてだったのですが、そのとき見逃したものが2つだけありました。
 1つは改装中の「インディ・ジョーンズ」で、もうひとつは「シンドバッドの冒険」。
 なので、今回はこの2つから入ろうとまずは「インディ〜」に直行したところ、信じられないことにまたまた改装中だというではありませんか。
 益子さんはかなりのショックを受け、「毎年この時期には改装をするって決まってるんですか?! 改装をするというのは珍しくないことなんですか? 夕方になるまで待てば動く可能性はあるんですか?」と畳みかけるように係の人を問いつめていましたが、結局私たちは「インディ〜」とはとことん縁が薄いみたいでした。

 しかたがないので、「シンドバッド〜」に行くことに。
 これは「まあ、ランドの『イッツ・ア・スモール・ワールド』みたいなもんだよ」というコメントをきいていたので、正直、「人形が機械的に動いているような子供向けの人畜無害のアトラクション」を想像していったのですが、実際はかなり印象が違いました。

 たしかに「カリブの海賊」のようなリアル感のある人形ではないんですよ。
 頭が大きくて、目鼻立ちもマンガチックで、一見かわいらしく見えなくもない。
 でも、モチーフが中東というエキゾチックなエリアだということもあって、雰囲気がなんとなーく淫靡な感じなんですよ。
 肌を露わにしてくねくねと踊る踊り子とか…。
 動きがまた妙に生々しくて。
 なまじ、外見がいかにも人形人形しているだけに、そのミスマッチが余計にインパクトあるんですよね。

 特にこわかったのが、人魚が出たところ。
 なにやらしどけない雰囲気の人魚2体が暗闇に(そこだけなぜか暗かった)ボーッと浮かび上がってくるところがあるんですが、なんか邪悪な感じが漂ってきて「これ、子供に見せちゃいけないんじゃないの?」とか思ってしまいました。
 こんなことを感じたのは私たちだけでしょうか?

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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