古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
バレエ界の大竹しのぶを発見!
皆様ご存じの通り、貧乏のくせに観劇に高いお金を払い続けている私。
「エンゲル係数」ならぬ「観劇係数」というものがあるなら、かなりいい線(いいのか?)いくことは間違いないと思います。
そんな私だからこそ、これ以上罪を重ねないためにも、「演劇」や「ミュージカル」に抵触しそうなエンターテインメントにはできるだけ近づかないように自制してきました。
たとえば、歌舞伎、能・狂言、文楽、オペラなどのような、通い出したら財布に穴が開いてる状態になりそうなもの。それ単独でも大変そうなのに、これプラス演劇となったらどんな恐ろしいことになるのか…。
バレエもその要注意項目の一つだったのですが、なにかのきっかけで急に「バレエを観てみたい」と言い出した母のせい(あえて人のせいにします)で、Kバレエカンパニーの「白鳥の湖」を観にいくことになってしまいました。
注)Kバレエカンパニー
…英国のロイヤルバレエ団で史上最年少プリンシパルとなった熊川哲也が、1998年に団をやめて作った自前のバレエ団。踊り手としてだけではなく、興行師的な部分から、演出や振付や若手育成まで、トータルにかかわっている。
結果は……まんまとしてやられました。
バレエを観たのはもちろん初めてではありませし、「白鳥の湖」もナマやTVで何回か観たことがあったのですが、Kバレエは、今まで観てきたバレエ(おもに海外の由緒ある伝統的なバレエ団の来日公演)とはすべてが違っていました。
一言でいうと“限りなく芝居に近いパフォーマンス”といったところでしょうか。
「白鳥の湖」じたい超有名な話だし、どういうふうにやろうと話がわかりにくいということはないんですが、Kバレエの演出は特にドラマとしての自然な感情の流れをわかりやすく見せることに力を入れているように思えました(たとえば、ラブシーンはよりラブシーンらしく、嘆きのシーンはより嘆きらしく、迷いのシーンはより迷いらしく…など)。
これに比べると、極端な話、今まで観てきたバレエは、音楽に合わせて記号としての踊りを見せていただけで、あまり感情移入する余地がなかったという印象が強いのです。
もっともそんなに数多くのバレエを観たわけではないので、たまたま今まで観たものがそういうものだったのかもしれませんし、時代の流れとして最近はどこもこういうバレエが増えてきたのかもしれませんが…。
ただ、確実に言えることは、他のバレエ公演とは客層が明らかに違ったということです。
一般的にバレエファンというのは、バレエを習っている人(いた人)とか、バレリーナを目指す人などが多く、意外に他のジャンルのファンとはまじらないものなんですが、Kバレエに関しては他ジャンルのファン(演劇ファンやミュージカルファンなど、とにかくライブのパフォーマンスが好きな人)がかなりの率で混入してきているようで、そのことからもなにかKバレエだけがもつ敷居の低さみたいなものを感じさせます。
演劇業界でいうと「劇団四季」みたいな位置づけなのかもしれない。
歌舞伎でいうと「猿之助のスーパー歌舞伎」とか、宝塚でいえば「宙組」とか。
もちろん、看板である熊川哲也の知名度や人気が一番大きいのでしょうが、それだけで人気が続くほど甘くはないでしょう。チケット代だってお安くないし。
ライブ慣れしている演劇・ミュージカルファンは、いろいろなものを観て目が肥えているし、本当にいいと思ったものには高いお金も払うので、彼らを継続的にひきつけられるということは真にパフォーマンスとして価値が高いということです。
わかりやすさや敷居の低さばかりを強調してしまいましたが、当然のことながらレベルの高さにも圧倒されました。これは素人目でも充分わかります。
技術力、表現力だけでなく、全体的に若々しさや勢いみたいなものも感じたし、いい意味でスポーツを観ているような爽快感がありました。
スポーツといえば、噂の熊川哲也の跳躍力には度肝を抜かれました(他の男性舞踊手と比べればその高さの差は歴然)。
高く跳ぶだけならまだしも、
あの滞空時間の長さはなに?
納得できません。
絶対ピアノ線で吊られてるはず。と、思わずトリックを暴きたくなったほどです(笑)。
お客も明らかにそれが目当てと見えて、熊川が高く跳ぶたびに「うぉ〜」というなんともいえないどよめきと拍手が同時に起こります。
それが最高潮に達したのは、3幕。
ここの最大の見せ場として、黒鳥(オディール)のグラン・フェッテがあることは超有名ですよね。
王子を誘惑するオディールが、その悪魔的な魅力を表現するため、片脚を上げたまま軸足だけで連続32回転するシーンです。
しかもただ廻るだけではなく、「ダブル」といって、1回廻るところを2回廻るという変則的テクニックがあり(縄跳びの二重跳びみたいなものね)、32回転の中で何回「ダブル」を入れられるかによって、グラン・フェッテの難易度があがっていきます。
この日オディールをやった松岡梨絵も、何度かこの「ダブル」を入れてきました(すいません。圧倒されてしまって何回入れたのか正確に覚えていません)。
当然、観客は大興奮。勝ち誇ったような笑みを浮かべながらいつまでも廻り続けるオディールに拍手のボルテージはガンガン上がります。ここまではまあどの「白鳥の湖」でも観られるシーンです。
しかしさらに驚いたのはこのあと。
オディールが廻り終えてポーズを決めたあと、間髪を入れず、その後ろから王子@熊川が回転を引き継ぐように廻りながら前へ出てきて、同じグラン・フェッテを続け(これはさすがに32回は廻りませんが)、最後の回転で「これでもか!」とばかりに「トリプル」を決めたのです。
もうムチャクチャかっこいい!!
なんという心憎い演出。
ていうか、こんな振付あったっけ…。
オディールのグラン・フェッテのあとに王子が見せ場をさらうシーンなんて初めて観た気がするんですが。
今回の「白鳥の湖」は基本的には今までの振付と同じで、ところどころ熊川自身が振りを付け直しているらしいので、王子の部分は自分で足したのかな…。
「最後に勝つのはこの俺さ〜♪」(by「エリザベート」の“最後のダンス”)
って感じで、いかにも俺様的イメージの熊川にふさわしいパフォーマンスですが、オディールの悪魔的な誘惑に完全に落ちてしまった王子の姿の表現としてこれはすごくわかりやすい一瞬だったと思います。
と、熊川のすばらしさをほめたたえたあとで。
じつは本当に度肝を抜かれたものは他にあります。
それは主役のオデットを踊ったヴィヴィアナ・デュランテです。
ヴィヴィアナがどのくらいすごいキャリアの持ち主かなんてことはまったく知らずに観劇した私ですが、このオデットには文字通り仰天しました。
「うまい」とか「きれい」とか「表現力がある」とか、そんな通りいっぺんの言葉ではとても語りきれません。
とにかくすさまじいオーラを放っていて、とてもこれが生身の人間であるとは信じられない。物語の中だけに生きている想像上の生き物という感じ。私が観てきた中で、ここまで生身感のないパフォーマーは花総まりについで2人目かも(笑)。
が、すごいのはそれだけじゃありません。小柄で華奢で顔なんて握り拳くらしかなくて、ルックス的には“妖精”って感じなんですが、そのイノセントな雰囲気と、存在そのものから漂うおどろおどろしい妖気のミスマッチがただ者ではない感じなのです。一言でいうと「妖精の顔をした妖怪」って感じでしょうか。
たまたま今度の役が人間じゃないもの(白鳥)という特殊な役だったからなおさらその「妖怪」的な部分が生きたのでしょうが、ほんとに白鳥にしか見えないんですよ。
このなりきり具合、「うまい」を通り越して「こわい」です。ここまでいくと女優魂というより巫女を観てるようで…。
で、あまりの存在感にフラフラになり、帰ってから思わずネットで検索しまくってしまったのですが、まずわかったのは彼女は熊川の元恋人で、6歳年上だということ。ローマに生まれ、22歳でロイヤルバレエ団のプリンシパルになったということ。卓越した表現力・演技力とカリスマ性で他の追随を許さない世界的なプリマだということ。
さらに、つい最近組織ともめてロイヤルバレエ団をやめさせられることになったこと、熊川とは恋人を卒業したあとも仕事上のパートナーとして強い絆で結ばれ、Kバレエの公演には頻繁にゲスト出演していることなどもわかりました。
その他、素顔のエピソードも含めて彼女に関するコメントをガーッと読んでみましたが、そこから浮かび上がってくるイメージに、どうも「私、こういう人知ってる。なんかにダブる気がする」という既視感があり、気になってずーっと考えてたのですが、ようやくわかりました。
北島マヤ(笑)……じゃなくて、
大竹しのぶです。
普段の天然っぷりといい、舞台にあがったとたん誰にもとめられない勢いで役にのめりこんでいく常軌を逸した集中力といい、「そこまでやらなくても」というところまでやってしまう妄想力といい、鬼気迫る役や男を惑わす女性の役をやらせたらこわいくらいハマるところといい、「私、あまりこういうタイプは好きじゃないの」という客が観ても説得されてしまうカリスマといい、いちいちぴったり。
一方、熊川哲也についての評価は「いくつになっても生意気」「俺様」「何を演じてもノリが軽い」というものが多いのですが、こういうタイプと大竹しのぶタイプが相性がいいというのはわかるような、わからないような…。
ここで熊川のイメージも「どこかで観たような」という既視感があると思って考えてみたのですがわかりました。
山口祐一郎でした(笑)。
たしかにこれみよがしに高く跳ぶ熊川と、これきけがしに美声を響かせる山口にはかなり共通するものを感じます。
へそまがりな客が、「なーにがクマテツだよ。高く跳ぶからってそれがなんだっつーのよ」とか言いながら観に行っても、目の前であの跳躍を観せられたらやっぱり「うほぉ〜」とわけのわかんないため息を皆と一緒についてしまう、みたいな感じ、アンチ祐一郎にも似たような現象が見られますので。
というわけで、バレエの世界、予想以上におもしろそうで困っています。
やばい……お願い……誰か止めて……。
「エンゲル係数」ならぬ「観劇係数」というものがあるなら、かなりいい線(いいのか?)いくことは間違いないと思います。
そんな私だからこそ、これ以上罪を重ねないためにも、「演劇」や「ミュージカル」に抵触しそうなエンターテインメントにはできるだけ近づかないように自制してきました。
たとえば、歌舞伎、能・狂言、文楽、オペラなどのような、通い出したら財布に穴が開いてる状態になりそうなもの。それ単独でも大変そうなのに、これプラス演劇となったらどんな恐ろしいことになるのか…。
バレエもその要注意項目の一つだったのですが、なにかのきっかけで急に「バレエを観てみたい」と言い出した母のせい(あえて人のせいにします)で、Kバレエカンパニーの「白鳥の湖」を観にいくことになってしまいました。
注)Kバレエカンパニー
…英国のロイヤルバレエ団で史上最年少プリンシパルとなった熊川哲也が、1998年に団をやめて作った自前のバレエ団。踊り手としてだけではなく、興行師的な部分から、演出や振付や若手育成まで、トータルにかかわっている。
結果は……まんまとしてやられました。
バレエを観たのはもちろん初めてではありませし、「白鳥の湖」もナマやTVで何回か観たことがあったのですが、Kバレエは、今まで観てきたバレエ(おもに海外の由緒ある伝統的なバレエ団の来日公演)とはすべてが違っていました。
一言でいうと“限りなく芝居に近いパフォーマンス”といったところでしょうか。
「白鳥の湖」じたい超有名な話だし、どういうふうにやろうと話がわかりにくいということはないんですが、Kバレエの演出は特にドラマとしての自然な感情の流れをわかりやすく見せることに力を入れているように思えました(たとえば、ラブシーンはよりラブシーンらしく、嘆きのシーンはより嘆きらしく、迷いのシーンはより迷いらしく…など)。
これに比べると、極端な話、今まで観てきたバレエは、音楽に合わせて記号としての踊りを見せていただけで、あまり感情移入する余地がなかったという印象が強いのです。
もっともそんなに数多くのバレエを観たわけではないので、たまたま今まで観たものがそういうものだったのかもしれませんし、時代の流れとして最近はどこもこういうバレエが増えてきたのかもしれませんが…。
ただ、確実に言えることは、他のバレエ公演とは客層が明らかに違ったということです。
一般的にバレエファンというのは、バレエを習っている人(いた人)とか、バレリーナを目指す人などが多く、意外に他のジャンルのファンとはまじらないものなんですが、Kバレエに関しては他ジャンルのファン(演劇ファンやミュージカルファンなど、とにかくライブのパフォーマンスが好きな人)がかなりの率で混入してきているようで、そのことからもなにかKバレエだけがもつ敷居の低さみたいなものを感じさせます。
演劇業界でいうと「劇団四季」みたいな位置づけなのかもしれない。
歌舞伎でいうと「猿之助のスーパー歌舞伎」とか、宝塚でいえば「宙組」とか。
もちろん、看板である熊川哲也の知名度や人気が一番大きいのでしょうが、それだけで人気が続くほど甘くはないでしょう。チケット代だってお安くないし。
ライブ慣れしている演劇・ミュージカルファンは、いろいろなものを観て目が肥えているし、本当にいいと思ったものには高いお金も払うので、彼らを継続的にひきつけられるということは真にパフォーマンスとして価値が高いということです。
わかりやすさや敷居の低さばかりを強調してしまいましたが、当然のことながらレベルの高さにも圧倒されました。これは素人目でも充分わかります。
技術力、表現力だけでなく、全体的に若々しさや勢いみたいなものも感じたし、いい意味でスポーツを観ているような爽快感がありました。
スポーツといえば、噂の熊川哲也の跳躍力には度肝を抜かれました(他の男性舞踊手と比べればその高さの差は歴然)。
高く跳ぶだけならまだしも、
あの滞空時間の長さはなに?
納得できません。
絶対ピアノ線で吊られてるはず。と、思わずトリックを暴きたくなったほどです(笑)。
お客も明らかにそれが目当てと見えて、熊川が高く跳ぶたびに「うぉ〜」というなんともいえないどよめきと拍手が同時に起こります。
それが最高潮に達したのは、3幕。
ここの最大の見せ場として、黒鳥(オディール)のグラン・フェッテがあることは超有名ですよね。
王子を誘惑するオディールが、その悪魔的な魅力を表現するため、片脚を上げたまま軸足だけで連続32回転するシーンです。
しかもただ廻るだけではなく、「ダブル」といって、1回廻るところを2回廻るという変則的テクニックがあり(縄跳びの二重跳びみたいなものね)、32回転の中で何回「ダブル」を入れられるかによって、グラン・フェッテの難易度があがっていきます。
この日オディールをやった松岡梨絵も、何度かこの「ダブル」を入れてきました(すいません。圧倒されてしまって何回入れたのか正確に覚えていません)。
当然、観客は大興奮。勝ち誇ったような笑みを浮かべながらいつまでも廻り続けるオディールに拍手のボルテージはガンガン上がります。ここまではまあどの「白鳥の湖」でも観られるシーンです。
しかしさらに驚いたのはこのあと。
オディールが廻り終えてポーズを決めたあと、間髪を入れず、その後ろから王子@熊川が回転を引き継ぐように廻りながら前へ出てきて、同じグラン・フェッテを続け(これはさすがに32回は廻りませんが)、最後の回転で「これでもか!」とばかりに「トリプル」を決めたのです。
もうムチャクチャかっこいい!!
なんという心憎い演出。
ていうか、こんな振付あったっけ…。
オディールのグラン・フェッテのあとに王子が見せ場をさらうシーンなんて初めて観た気がするんですが。
今回の「白鳥の湖」は基本的には今までの振付と同じで、ところどころ熊川自身が振りを付け直しているらしいので、王子の部分は自分で足したのかな…。
「最後に勝つのはこの俺さ〜♪」(by「エリザベート」の“最後のダンス”)
って感じで、いかにも俺様的イメージの熊川にふさわしいパフォーマンスですが、オディールの悪魔的な誘惑に完全に落ちてしまった王子の姿の表現としてこれはすごくわかりやすい一瞬だったと思います。
と、熊川のすばらしさをほめたたえたあとで。
じつは本当に度肝を抜かれたものは他にあります。
それは主役のオデットを踊ったヴィヴィアナ・デュランテです。
ヴィヴィアナがどのくらいすごいキャリアの持ち主かなんてことはまったく知らずに観劇した私ですが、このオデットには文字通り仰天しました。
「うまい」とか「きれい」とか「表現力がある」とか、そんな通りいっぺんの言葉ではとても語りきれません。
とにかくすさまじいオーラを放っていて、とてもこれが生身の人間であるとは信じられない。物語の中だけに生きている想像上の生き物という感じ。私が観てきた中で、ここまで生身感のないパフォーマーは花総まりについで2人目かも(笑)。
が、すごいのはそれだけじゃありません。小柄で華奢で顔なんて握り拳くらしかなくて、ルックス的には“妖精”って感じなんですが、そのイノセントな雰囲気と、存在そのものから漂うおどろおどろしい妖気のミスマッチがただ者ではない感じなのです。一言でいうと「妖精の顔をした妖怪」って感じでしょうか。
たまたま今度の役が人間じゃないもの(白鳥)という特殊な役だったからなおさらその「妖怪」的な部分が生きたのでしょうが、ほんとに白鳥にしか見えないんですよ。
このなりきり具合、「うまい」を通り越して「こわい」です。ここまでいくと女優魂というより巫女を観てるようで…。
で、あまりの存在感にフラフラになり、帰ってから思わずネットで検索しまくってしまったのですが、まずわかったのは彼女は熊川の元恋人で、6歳年上だということ。ローマに生まれ、22歳でロイヤルバレエ団のプリンシパルになったということ。卓越した表現力・演技力とカリスマ性で他の追随を許さない世界的なプリマだということ。
さらに、つい最近組織ともめてロイヤルバレエ団をやめさせられることになったこと、熊川とは恋人を卒業したあとも仕事上のパートナーとして強い絆で結ばれ、Kバレエの公演には頻繁にゲスト出演していることなどもわかりました。
その他、素顔のエピソードも含めて彼女に関するコメントをガーッと読んでみましたが、そこから浮かび上がってくるイメージに、どうも「私、こういう人知ってる。なんかにダブる気がする」という既視感があり、気になってずーっと考えてたのですが、ようやくわかりました。
北島マヤ(笑)……じゃなくて、
大竹しのぶです。
普段の天然っぷりといい、舞台にあがったとたん誰にもとめられない勢いで役にのめりこんでいく常軌を逸した集中力といい、「そこまでやらなくても」というところまでやってしまう妄想力といい、鬼気迫る役や男を惑わす女性の役をやらせたらこわいくらいハマるところといい、「私、あまりこういうタイプは好きじゃないの」という客が観ても説得されてしまうカリスマといい、いちいちぴったり。
一方、熊川哲也についての評価は「いくつになっても生意気」「俺様」「何を演じてもノリが軽い」というものが多いのですが、こういうタイプと大竹しのぶタイプが相性がいいというのはわかるような、わからないような…。
ここで熊川のイメージも「どこかで観たような」という既視感があると思って考えてみたのですがわかりました。
山口祐一郎でした(笑)。
たしかにこれみよがしに高く跳ぶ熊川と、これきけがしに美声を響かせる山口にはかなり共通するものを感じます。
へそまがりな客が、「なーにがクマテツだよ。高く跳ぶからってそれがなんだっつーのよ」とか言いながら観に行っても、目の前であの跳躍を観せられたらやっぱり「うほぉ〜」とわけのわかんないため息を皆と一緒についてしまう、みたいな感じ、アンチ祐一郎にも似たような現象が見られますので。
というわけで、バレエの世界、予想以上におもしろそうで困っています。
やばい……お願い……誰か止めて……。
「白鳥の湖」(DVD)
2003年に発売された初演収録版DVD。
2003年に発売された初演収録版DVD。
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呼吸機能検査の醍醐味
最近、喘息の傾向が見られるので、思い切って呼吸器内科に行ってきました(いつも近所の医者にその場しのぎの薬をもらってお茶を濁していたのですが)。
で、検査の中に「呼吸機能検査」というものがあったんですが…。
この検査は20年近く前にもやったことがあるのですが、数ある病院の検査の中で最もユニークな検査のひとつと言えるでしょう。
何が変わってるって、一番おもしろいのは、これが
努力が反映される検査
だということです。
たとえば血液検査やCT検査は、本人が頑張ったからといって結果がよくなるものではないですよね。
もちろん、普段の食生活に気をつけて数値が上がらないようにするとか、そのくらいの努力は影響しないこともないですけど、その場で頑張ってなんとかなるっていうたぐいのものじゃない。
私の知る限り、その場で頑張って結果をよくすることができる検査は「視力検査」と「呼吸機能検査」ぐらいです。
「視力検査」は「文字を判読する」という努力を放棄したらそこまでで、「はっきりは見えないけど、なんとなく『い』のような気がするのでとりあえず言ってみよう」といった「ダメもと精神」の積み重ねで意外といい線までいけてしまうことがあります(まあ、視力の場合、検査の結果だけ良くても意味ないんですけど)。
「呼吸機能検査」も「ここまで」と思ったらそれまでで、「ここまで」と思ったところからどのくらい頑張れるかが勝負。そういう自分の「根性」や、「自分で自分を誉めたい頑張り」が数字にダイレクトに反映されるところが、「受け身一方」の他の検査とは大きく一線を画すところです。
「呼吸機能検査」ですることは、「息を吸う」「息を吐く」「息をとめる」の3つだけ。これに「勢いよく吐く」とか「長く吐ききる」とか「普通の呼吸から合図とともに一気に吸う」とかバリエーションが加わり、肺や気管支などのいろいろな機能がわかるようになっているんですが、この中で最も重要なのが「吐く」動作。
限界まで「吐く」というのは非常にエネルギーのいる行為なので、自分で自分の限界をはっきりと認識することができません。そのため、検査技師は横で「吐き続ける」被験者を激しく励まし、記録に挑戦する意欲を煽り続けます。
約20年前の検査で初めてこれを見たとき、私は検査技師のあまりのボルテージの高さに「励まされる」というよりも「怯えて」しまいました。
だって「吐く」直前までは冷静な調子で声をかけているのに、吐き始めたとたん、スイッチが入ったように人格が豹変し、
「はい。吐いて、吐いて、吐いて、吐いて、吐いてぇぇ〜〜!! そうそう。まだいける、まだいける。そうそう。もうちょっと。頑張って、頑張って。もう少し。吐いて、吐いて、吐いて<以下リピート>」
と、耳元で叫び続けるんですよ(ある意味、これだけのセリフを一気に叫ぶのも肺活量いるよなー)。
で、吐き終わると「はい。けっこうです」ってまた普通に戻るの(笑)。
最初は、単にこの検査技師が「励まし系キャラ」なのかと思ってたけど、そうじゃなくて、これは「呼吸機能検査」のマニュアルにちゃんとあるらしいんです(観察したところ、どの検査技師もエキサイトしていたので)。
仕事とはいえ、毎回こんな髪をふりみだし、足を踏みならして叫び続けなきゃならないなんて疲れそうー。これで他の検査技師と同じ扱いなんてお気の毒…。それとも「励まし手当」とか特別についてるんだろうか。
というわけで、今回久しぶりの「呼吸機能検査」で、「まだあの方式で行われているのだろうか…」と期待がふくらんだのですが……健在でした(笑)。
20年前に比べるとややおとなしくなった気がしないでもないですけど、やっぱり廊下に声が漏れてくるくらいの勢いで叫んでいました。
が、今回ちょっとムッとしたのは、コンピュータです。
20年前もたしかすでにコンピュータで計測していた記憶はあるんですが、当然のことながら今はさらにコンピュータの性能はアップし、小賢しくなっています。
それで、何を根拠に主張するのか知りませんが、人が精一杯やった結果に対し、コンピュータが「こんなもんだろう」とか「まだ努力が足りない」とか判定をくだすんですよね。
いや、もちろんそんな言葉が具体的にモニタに表示されるわけではないんですが、どうやらいろいろな要素から計算して「こいつならこのくらいは出るはず」という「予測値」を出すみたいなんですよ。
で、検査技師もそれを見て「もうちょっと頑張れそうだからもう一度やってみましょうか」とか判断するようなんです。
また、コンピュータのお墨付きが出ると、モニタに「努力良好」とか表示されて、検査技師もそれをみて「頑張りましたね。とてもいい調子ですよ」みたいなほめ言葉をくれるんですわ。
これが嬉しいことは嬉しいんだけどなんとなく釈然としない感じで…。
たしかに頑張れば記録を伸ばせるというスポーツ的な要素があるところが「呼吸機能検査」のやりがいのあるところだったし、検査技師の応援(?)で頑張れる自分も好きだったけど、予測値まで計算されちゃうと、なんか自分の限界をあらかじめ知らされるみたいでやる気なくなるんですよねー。応援されてその気になって記録が伸びるっていうアナログなところがおもしろかったのになー。
コンピュータに「努力良好」とか言われてもねー、「あんた、私が今どのくらい頑張ったかなんてどうしてわかるんだよ」とわけもなく因縁つけたくなります。
ああ、これでまたひとつ「古き良き時代の検査」が消えていく……。
って、昔のほうがよかった検査なんて「呼吸機能検査」だけか。
で、検査の中に「呼吸機能検査」というものがあったんですが…。
この検査は20年近く前にもやったことがあるのですが、数ある病院の検査の中で最もユニークな検査のひとつと言えるでしょう。
何が変わってるって、一番おもしろいのは、これが
努力が反映される検査
だということです。
たとえば血液検査やCT検査は、本人が頑張ったからといって結果がよくなるものではないですよね。
もちろん、普段の食生活に気をつけて数値が上がらないようにするとか、そのくらいの努力は影響しないこともないですけど、その場で頑張ってなんとかなるっていうたぐいのものじゃない。
私の知る限り、その場で頑張って結果をよくすることができる検査は「視力検査」と「呼吸機能検査」ぐらいです。
「視力検査」は「文字を判読する」という努力を放棄したらそこまでで、「はっきりは見えないけど、なんとなく『い』のような気がするのでとりあえず言ってみよう」といった「ダメもと精神」の積み重ねで意外といい線までいけてしまうことがあります(まあ、視力の場合、検査の結果だけ良くても意味ないんですけど)。
「呼吸機能検査」も「ここまで」と思ったらそれまでで、「ここまで」と思ったところからどのくらい頑張れるかが勝負。そういう自分の「根性」や、「自分で自分を誉めたい頑張り」が数字にダイレクトに反映されるところが、「受け身一方」の他の検査とは大きく一線を画すところです。
「呼吸機能検査」ですることは、「息を吸う」「息を吐く」「息をとめる」の3つだけ。これに「勢いよく吐く」とか「長く吐ききる」とか「普通の呼吸から合図とともに一気に吸う」とかバリエーションが加わり、肺や気管支などのいろいろな機能がわかるようになっているんですが、この中で最も重要なのが「吐く」動作。
限界まで「吐く」というのは非常にエネルギーのいる行為なので、自分で自分の限界をはっきりと認識することができません。そのため、検査技師は横で「吐き続ける」被験者を激しく励まし、記録に挑戦する意欲を煽り続けます。
約20年前の検査で初めてこれを見たとき、私は検査技師のあまりのボルテージの高さに「励まされる」というよりも「怯えて」しまいました。
だって「吐く」直前までは冷静な調子で声をかけているのに、吐き始めたとたん、スイッチが入ったように人格が豹変し、
「はい。吐いて、吐いて、吐いて、吐いて、吐いてぇぇ〜〜!! そうそう。まだいける、まだいける。そうそう。もうちょっと。頑張って、頑張って。もう少し。吐いて、吐いて、吐いて<以下リピート>」
と、耳元で叫び続けるんですよ(ある意味、これだけのセリフを一気に叫ぶのも肺活量いるよなー)。
で、吐き終わると「はい。けっこうです」ってまた普通に戻るの(笑)。
最初は、単にこの検査技師が「励まし系キャラ」なのかと思ってたけど、そうじゃなくて、これは「呼吸機能検査」のマニュアルにちゃんとあるらしいんです(観察したところ、どの検査技師もエキサイトしていたので)。
仕事とはいえ、毎回こんな髪をふりみだし、足を踏みならして叫び続けなきゃならないなんて疲れそうー。これで他の検査技師と同じ扱いなんてお気の毒…。それとも「励まし手当」とか特別についてるんだろうか。
というわけで、今回久しぶりの「呼吸機能検査」で、「まだあの方式で行われているのだろうか…」と期待がふくらんだのですが……健在でした(笑)。
20年前に比べるとややおとなしくなった気がしないでもないですけど、やっぱり廊下に声が漏れてくるくらいの勢いで叫んでいました。
が、今回ちょっとムッとしたのは、コンピュータです。
20年前もたしかすでにコンピュータで計測していた記憶はあるんですが、当然のことながら今はさらにコンピュータの性能はアップし、小賢しくなっています。
それで、何を根拠に主張するのか知りませんが、人が精一杯やった結果に対し、コンピュータが「こんなもんだろう」とか「まだ努力が足りない」とか判定をくだすんですよね。
いや、もちろんそんな言葉が具体的にモニタに表示されるわけではないんですが、どうやらいろいろな要素から計算して「こいつならこのくらいは出るはず」という「予測値」を出すみたいなんですよ。
で、検査技師もそれを見て「もうちょっと頑張れそうだからもう一度やってみましょうか」とか判断するようなんです。
また、コンピュータのお墨付きが出ると、モニタに「努力良好」とか表示されて、検査技師もそれをみて「頑張りましたね。とてもいい調子ですよ」みたいなほめ言葉をくれるんですわ。
これが嬉しいことは嬉しいんだけどなんとなく釈然としない感じで…。
たしかに頑張れば記録を伸ばせるというスポーツ的な要素があるところが「呼吸機能検査」のやりがいのあるところだったし、検査技師の応援(?)で頑張れる自分も好きだったけど、予測値まで計算されちゃうと、なんか自分の限界をあらかじめ知らされるみたいでやる気なくなるんですよねー。応援されてその気になって記録が伸びるっていうアナログなところがおもしろかったのになー。
コンピュータに「努力良好」とか言われてもねー、「あんた、私が今どのくらい頑張ったかなんてどうしてわかるんだよ」とわけもなく因縁つけたくなります。
ああ、これでまたひとつ「古き良き時代の検査」が消えていく……。
って、昔のほうがよかった検査なんて「呼吸機能検査」だけか。
略奪愛のなっちゃん?!
先日、益子さんとしゃべっていて、AJINOMOTOのTVCFの話になりました。
田中麗奈と樹木希林が母娘役をやってる「ほんだし」のCFです。
長期シリーズものなので、皆さんも目にする機会は多いでしょう。
そもそもの始まりは、益子さんが「最近、なっちゃん(←実際はなっちゃんではないが、私も益子さんも田中麗奈=なっちゃんとしか認識されていない)の旦那さんが登場するようになったけど、なんかあの旦那さん、ミョーに老けてませんか?」と言い出したこと。
念のため、ご存じない方のために説明すると、このシリーズは毎回朝の食卓風景を中心に物語が展開されます(昼食や夕食のときもあるけど、共通しているのはほんだしを使った料理が登場すること)。
シリーズの最初の頃は、なっちゃんはまだ高校生で、希林ママが具だくさんの栄養たっぷりのおみそ汁を作ってなっちゃんに食べさせていました。
そのうちになっちゃんは家を出て一人暮らしをするようになり、最近は結婚して実家に戻り、夫婦で親と同居している…という設定になっています。
一番最近流れているシリーズは、新妻なっちゃんが作ったおみそ汁を、希林ママ、夫・学さんと囲むというシチュエーション(なぜかなっちゃんのお父さんはいない)。
そこでおみそ汁をすすった学さんが満足そうに「あー、五臓六腑にしみわたる」とつぶやき、なっちゃんは「やだ、今の。お父さんみたい」と笑う。
それを見た希林ママはちゃかすように「やだ、今の。お父さんみたい」となっちゃんの物まね。なっちゃんは照れて「なんで真似すんのよ」と怒る。
そんな感じの内容になっています。
益子さんいわく、その「五臓六腑の旦那さん」の横顔が、なっちゃんの相手にしては老けているというのです。
そこから2人であれこれとバックストーリーを想像し始めました。
そもそもなぜ学さんは嫁の実家に同居しているんだろうか。
若造ならともかく、そんないい年をした大人の男なら、2人が住む家くらい借りられないことはないだろう。
しかも希林ママと同居……これはかなり大変そうだ。
きっとなにか事情があるに違いない。
ということで、私たちが出した結論は、
“なっちゃん、略奪愛”説
おそらく学さんは家族持ちだった。
しかし家庭は冷え切っていて、学さんは朝ご飯すら奥さんにまともに作ってもらっていなかった。
家族がバラバラで冷えたご飯をかきこんでは出かけていくという殺伐とした生活。
そんな学さんの前に現れたのが家庭のぬくもりを感じさせるなっちゃんだった。
紆余曲折を経てようやく結ばれ、新生活をスタートさせる学さんとなっちゃん。
家族でつくりたてのみそ汁を囲む幸せを久々に味わった学さんは、思わず「五臓六腑にしみわたる」と年を感じさせるコメントを吐いてしまった。
ちなみに、学さんは別れた奥さんのためにマンションをあげてしまい、住むところがない。
子供の養育費を払わなければいけないため、生活も苦しい。
そこで希林ママの提案でなっちゃんの実家に同居することになったのである。
さらに益子さんは「希林ママも略奪愛」説を主張。
2人に理解があるのは、なっちゃんのパパとママも略奪愛だったから。
「五臓六腑にしみわたる」というコメントは、かつてなっちゃんのお父さんも同じ気持ちで言った言葉であり、希林ママの「やだ、今の。お父さんみたい」というセリフは単なるなっちゃんの物まねではなく、「ちょっと待って。プレイバック。プレイバック。今の言葉。プレイバック。プレイバック♪」状態で、自分のケースを思い出していたのであった…。
これで前作で学さんとお父さんが妙に気があってしまった理由も判明。
……と、勝手にどんどんバックストーリーを考えて盛り上がっていたのですが、実際はどうなのかが気になり、帰ってから公式サイトで調べてみました。
そしたらなっちゃんが一人暮らしを始めるところから最新のシリーズまでの12本が見られるようになっていたので、さっそく確認。
………残念ながら「略奪愛」の痕跡はどこにも見られませんでした(笑)。
わかったのは学さんは結婚するまで「一人暮らし」だったこと、同居の理由は「共働きするため」だということ。
もしかしたら、学さんは老けてみえるし「五臓六腑にしみわたる」なんて年寄りくさい言葉を使うけど、じつは就職したてくらいの若い貧乏サラリーマンで、2人がまだあまりにも若すぎて頼りないので、もう少し一人前になるまで実家で面倒みてやろうというだけの話なのかもしれない。
うーん。「略奪愛」、いい線いってたと思うんだけどなー。
そのかわり、ひとつ怪しい箇所を発見しました。
それは、なっちゃんが一人暮らしをしているときのこと、会社の同僚なのか、女友達1名とホイさんという外国人男性(中国人?)を招いてランチをご馳走するという設定なのですが、おいしくできたほんだし入りのチャーハンを一口食べたホイさんは「これ、初めて食べるよ。あなたと結婚したいよ」と絶賛。
そんなホイさんを、女友達は「そんなこと言って若い女の子をからかっちゃダメだよ」というニュアンスで「ホイさん。ダメだよ」と軽くたしなめ、なっちゃんも「ダメだよ」とつぶやきますが、明らかに動揺している。
その次のシリーズは、恋の悩みで憔悴したなっちゃんが久しぶりに実家に帰り、希林ママのおみそ汁を飲んで癒されるという内容。
そしてその次は「あのね、結婚しようと思うの」と希林ママに打ち明ける作品へとつながっていくわけですが、このへんポイントですね。
ホイさん……怪しいです(笑)。
おそらく(←再び妄想のスイッチが入ります)、ホイさんの一言に動揺したなっちゃんは、その日からホイさんを意識するようになったのではないでしょうか。
チャーハンを一緒に食べた女友達からは「なっちゃん。ホイさんだけはやめたほうがいいよ」と忠告されるが、とめられればとめられるほど燃え上がるのが恋の炎というもの。
やがてホイさんとつきあうようになったなっちゃんは、中国語講座に通い、彼に喜んでもらおうと中国料理ばかり作るようになった。
ところが、ホイさんは社内でも有名な遊び人で、会社の女の子の家に遊びにいっては「これおいしい。あなたと結婚したいよ」を連発して口説きまくっていたことが判明。
傷ついたなっちゃんは久しぶりに実家に帰り、しばらく作らなくなったおみそ汁の味に触れてようやく自分を取り戻す。
失恋から立ち直ったなっちゃんの前に現れたのが、いつもなっちゃんを励ましてくれていた同期の学くん。
若いくせにオヤジくさい学くんを今までなっちゃんは頼りなく感じていたが、ある日、自分の作るおみそ汁を心底おいしそうに飲む学くんを見て、「自分に合ってるのはこの人かもしれない」と思うようになる。
そう。ホイさんへの気持ちは憧れ。ちょっと背伸びして無理してたのかもしれない。
ふっきれたなっちゃんは、学くんとの結婚を決め、実家の両親に報告に行くのだった。
いかがでしょうか。
なっちゃん、成長のストーリー。
次のシリーズは「初めての夫婦喧嘩編」かなー。
朝ご飯の支度をしながらちょっと不機嫌ななっちゃん。
「どうかしたの。もしかして夫婦喧嘩?」と希林ママ。
図星なので動揺するなっちゃん。
希林ママ、にやにや笑いながら「そう。それはおめでとう」と一言。
「なんでおめでとうなの?」となっちゃん。
「夫婦はね、ケンカをして初めて本物になるのよ。よかったわね」と一人で感慨に耽っている希林ママ。
「そうなの?」と思わず素直にリアクションしてしまうなっちゃん。
そこへ学くんが気まずそうに入ってくる。
ぎこちない雰囲気の2人。
希林ママ、嬉しそうにおみそ汁を学のもとへ運ぶ。
「はい。学さん。なっちゃんがさっきはごめんなさいって」
「ちょっとおかあさん。私そんなこと…」
あわてて反論するなっちゃんを制する希林ママ。
すべてを飲み込んで、おみそ汁を一口飲む学。
「いやー、今日のみそ汁は特にうまいなー」とちょっと照れながら言う学。
なっちゃん、「もう。しょうがないな」というように照れ笑い。
すっかり仲直りの新婚夫婦。
希林ママ、陰でボソッと一言。
「今日のおみそ汁は私が作ったんだけどね。ま、いいか」
以上。勝手にプロットを作ってみました。
AJINOMOTOさん、次回のシリーズ、楽しみにしてますのでひとつよろしく。
田中麗奈と樹木希林が母娘役をやってる「ほんだし」のCFです。
長期シリーズものなので、皆さんも目にする機会は多いでしょう。
そもそもの始まりは、益子さんが「最近、なっちゃん(←実際はなっちゃんではないが、私も益子さんも田中麗奈=なっちゃんとしか認識されていない)の旦那さんが登場するようになったけど、なんかあの旦那さん、ミョーに老けてませんか?」と言い出したこと。
念のため、ご存じない方のために説明すると、このシリーズは毎回朝の食卓風景を中心に物語が展開されます(昼食や夕食のときもあるけど、共通しているのはほんだしを使った料理が登場すること)。
シリーズの最初の頃は、なっちゃんはまだ高校生で、希林ママが具だくさんの栄養たっぷりのおみそ汁を作ってなっちゃんに食べさせていました。
そのうちになっちゃんは家を出て一人暮らしをするようになり、最近は結婚して実家に戻り、夫婦で親と同居している…という設定になっています。
一番最近流れているシリーズは、新妻なっちゃんが作ったおみそ汁を、希林ママ、夫・学さんと囲むというシチュエーション(なぜかなっちゃんのお父さんはいない)。
そこでおみそ汁をすすった学さんが満足そうに「あー、五臓六腑にしみわたる」とつぶやき、なっちゃんは「やだ、今の。お父さんみたい」と笑う。
それを見た希林ママはちゃかすように「やだ、今の。お父さんみたい」となっちゃんの物まね。なっちゃんは照れて「なんで真似すんのよ」と怒る。
そんな感じの内容になっています。
益子さんいわく、その「五臓六腑の旦那さん」の横顔が、なっちゃんの相手にしては老けているというのです。
そこから2人であれこれとバックストーリーを想像し始めました。
そもそもなぜ学さんは嫁の実家に同居しているんだろうか。
若造ならともかく、そんないい年をした大人の男なら、2人が住む家くらい借りられないことはないだろう。
しかも希林ママと同居……これはかなり大変そうだ。
きっとなにか事情があるに違いない。
ということで、私たちが出した結論は、
“なっちゃん、略奪愛”説
おそらく学さんは家族持ちだった。
しかし家庭は冷え切っていて、学さんは朝ご飯すら奥さんにまともに作ってもらっていなかった。
家族がバラバラで冷えたご飯をかきこんでは出かけていくという殺伐とした生活。
そんな学さんの前に現れたのが家庭のぬくもりを感じさせるなっちゃんだった。
紆余曲折を経てようやく結ばれ、新生活をスタートさせる学さんとなっちゃん。
家族でつくりたてのみそ汁を囲む幸せを久々に味わった学さんは、思わず「五臓六腑にしみわたる」と年を感じさせるコメントを吐いてしまった。
ちなみに、学さんは別れた奥さんのためにマンションをあげてしまい、住むところがない。
子供の養育費を払わなければいけないため、生活も苦しい。
そこで希林ママの提案でなっちゃんの実家に同居することになったのである。
さらに益子さんは「希林ママも略奪愛」説を主張。
2人に理解があるのは、なっちゃんのパパとママも略奪愛だったから。
「五臓六腑にしみわたる」というコメントは、かつてなっちゃんのお父さんも同じ気持ちで言った言葉であり、希林ママの「やだ、今の。お父さんみたい」というセリフは単なるなっちゃんの物まねではなく、「ちょっと待って。プレイバック。プレイバック。今の言葉。プレイバック。プレイバック♪」状態で、自分のケースを思い出していたのであった…。
これで前作で学さんとお父さんが妙に気があってしまった理由も判明。
……と、勝手にどんどんバックストーリーを考えて盛り上がっていたのですが、実際はどうなのかが気になり、帰ってから公式サイトで調べてみました。
そしたらなっちゃんが一人暮らしを始めるところから最新のシリーズまでの12本が見られるようになっていたので、さっそく確認。
………残念ながら「略奪愛」の痕跡はどこにも見られませんでした(笑)。
わかったのは学さんは結婚するまで「一人暮らし」だったこと、同居の理由は「共働きするため」だということ。
もしかしたら、学さんは老けてみえるし「五臓六腑にしみわたる」なんて年寄りくさい言葉を使うけど、じつは就職したてくらいの若い貧乏サラリーマンで、2人がまだあまりにも若すぎて頼りないので、もう少し一人前になるまで実家で面倒みてやろうというだけの話なのかもしれない。
うーん。「略奪愛」、いい線いってたと思うんだけどなー。
そのかわり、ひとつ怪しい箇所を発見しました。
それは、なっちゃんが一人暮らしをしているときのこと、会社の同僚なのか、女友達1名とホイさんという外国人男性(中国人?)を招いてランチをご馳走するという設定なのですが、おいしくできたほんだし入りのチャーハンを一口食べたホイさんは「これ、初めて食べるよ。あなたと結婚したいよ」と絶賛。
そんなホイさんを、女友達は「そんなこと言って若い女の子をからかっちゃダメだよ」というニュアンスで「ホイさん。ダメだよ」と軽くたしなめ、なっちゃんも「ダメだよ」とつぶやきますが、明らかに動揺している。
その次のシリーズは、恋の悩みで憔悴したなっちゃんが久しぶりに実家に帰り、希林ママのおみそ汁を飲んで癒されるという内容。
そしてその次は「あのね、結婚しようと思うの」と希林ママに打ち明ける作品へとつながっていくわけですが、このへんポイントですね。
ホイさん……怪しいです(笑)。
おそらく(←再び妄想のスイッチが入ります)、ホイさんの一言に動揺したなっちゃんは、その日からホイさんを意識するようになったのではないでしょうか。
チャーハンを一緒に食べた女友達からは「なっちゃん。ホイさんだけはやめたほうがいいよ」と忠告されるが、とめられればとめられるほど燃え上がるのが恋の炎というもの。
やがてホイさんとつきあうようになったなっちゃんは、中国語講座に通い、彼に喜んでもらおうと中国料理ばかり作るようになった。
ところが、ホイさんは社内でも有名な遊び人で、会社の女の子の家に遊びにいっては「これおいしい。あなたと結婚したいよ」を連発して口説きまくっていたことが判明。
傷ついたなっちゃんは久しぶりに実家に帰り、しばらく作らなくなったおみそ汁の味に触れてようやく自分を取り戻す。
失恋から立ち直ったなっちゃんの前に現れたのが、いつもなっちゃんを励ましてくれていた同期の学くん。
若いくせにオヤジくさい学くんを今までなっちゃんは頼りなく感じていたが、ある日、自分の作るおみそ汁を心底おいしそうに飲む学くんを見て、「自分に合ってるのはこの人かもしれない」と思うようになる。
そう。ホイさんへの気持ちは憧れ。ちょっと背伸びして無理してたのかもしれない。
ふっきれたなっちゃんは、学くんとの結婚を決め、実家の両親に報告に行くのだった。
いかがでしょうか。
なっちゃん、成長のストーリー。
次のシリーズは「初めての夫婦喧嘩編」かなー。
朝ご飯の支度をしながらちょっと不機嫌ななっちゃん。
「どうかしたの。もしかして夫婦喧嘩?」と希林ママ。
図星なので動揺するなっちゃん。
希林ママ、にやにや笑いながら「そう。それはおめでとう」と一言。
「なんでおめでとうなの?」となっちゃん。
「夫婦はね、ケンカをして初めて本物になるのよ。よかったわね」と一人で感慨に耽っている希林ママ。
「そうなの?」と思わず素直にリアクションしてしまうなっちゃん。
そこへ学くんが気まずそうに入ってくる。
ぎこちない雰囲気の2人。
希林ママ、嬉しそうにおみそ汁を学のもとへ運ぶ。
「はい。学さん。なっちゃんがさっきはごめんなさいって」
「ちょっとおかあさん。私そんなこと…」
あわてて反論するなっちゃんを制する希林ママ。
すべてを飲み込んで、おみそ汁を一口飲む学。
「いやー、今日のみそ汁は特にうまいなー」とちょっと照れながら言う学。
なっちゃん、「もう。しょうがないな」というように照れ笑い。
すっかり仲直りの新婚夫婦。
希林ママ、陰でボソッと一言。
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数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
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