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古伊万里★新伊万里

劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です

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台風の名前

 うわ〜ん。もう9月だよ!
 8月なんてあったっけ。というくらい今年の夏はバタバタしてました。しかもバタバタしているわりには能率が悪く、9月にはこの傾向がさらに強まる予定。
 あー、早く10月になってくれないかな(←それ、なんの解決にもなっていないのでは)。

 それにしてもすごいですねー。あっちでもこっちでも台風が猛威をふるっていて。
 うちは東京都杉並区の川沿いにあるので、何人かの方から「大丈夫? 溢れてない?」とご心配いただいたのですが、お陰様で無事です。
 というか、私、ちょうどその頃に名古屋に行ってました。向こうは全然雨なんて降ってなかったので、東京の水害のことも知らずにいたのですが、4日の夜に家から「そっちは大丈夫なの?」とホテル宛に電話がかかってきてようやくニュースに気づいた次第。
 家族の話では、翌朝車庫の前の敷石がズレていたそうです。つまり溢れた雨水で押し流されたということですが、翌朝はもう水がひいてしまっていたため、母は

 「もうッ。誰なの。こんないたずらしたのは!」

 と憤慨していたそうです(笑)。
 それにしても、前から思っていたんですが、アメリカではどうして台風にいちいち名前をつけるんでしょうか。
 番号のほうがいいじゃん。今年何個目の発生か一目瞭然でわかるし。
 東山さんとも言ってたことがあるんですが、自分の名前がつけられたらいやじゃないですか?
 今回で言うと全米の「カトリーナ」ちゃんは学校でいじめに遭ってるんじゃないだろうか。「おまえのせいでうちは全壊したんだぞ」「そうだ。謝れよ」「弁償しろ」とか言われて。
 昔は女の名前をつける習慣だったのが、それじゃ差別だってことで男女の名前を交互につけるようになったってきいてますが、名前をつけることじたいが差別につながるんじゃないの?
 名前のほうが「ああ、あのときの…」って思い出しやすいからなのかな。
 だったら特に被害の大きかった地域の名前でいいじゃん。「伊勢湾台風」みたいに。

 台風の話はこのくらいにして、名古屋の話を。
 今回の名古屋旅行は、

 9/3(土)→愛知万博
   4(日)→市内観光&夜に名古屋公演のメンバーと顔合わせ
   5(月)→名古屋の友人と会う

 というスケジュールでした。が。大幅に狂いました。
 今から何回かに分けてその報告をしたいと思います。
 ちなみに、今回の旅行の同行者は、TDSのプレビューで過酷な1日をともに過ごした「土方歳三の子孫」でおなじみの“ドカちゃん”です(ホームページの「TDSへの挑戦〜それでもあなたはTDSに行きますか?!〜」を参照)。
 ホームページにアップするのはけっこう手間がかかるので、まずはブログでレポートをアップし、全部終わってからまとめてホームページに移すことにします。

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・・・追記があります!

本を出すことになりました

 8月はいろいろ忙しくて気がついたらブログ放置状態になってました。ごめんなさい。
 選挙、すごいことになってますね。今度は誰が出るのー?とドキドキ。
 私は細木数子が出馬するんじゃないかと期待で胸をふくらませていたんですが。
 お金ありそうだから、新党とか作っちゃうかもね。
 新党「ズバリ言うわよ!」。
 「一議員なんていやよ。首相じゃなきゃやりたくない」とか言っちゃうの。政権とったら内閣はイケメンで固めて、官房長官はもちろんタッキーね(笑)。
 街頭演説とかも、日にちと方角考えてまわりますよね、きっと。スタッフのシフトも「今日は天王星人と水星人だけ来てちょうだい」とか言って。
 で、街頭演説の暴言聞きたさに人が殺到し、細木数子の選挙カーが来ると全部客をとられてしまうため「街頭演説あらし」と呼ばれる。
 でも細木内閣は、首相が大殺界に入る前に退陣するでしょうね。

 ところで。ひとつ速報です。
 来月、本を出すことになりました。
 中味は………うーん、「演劇評」をまとめたものなんですが、そう言うと「私は演劇なんて観ないし、評論なんてややこしいものはパス!」と言われそうなので、「舞台作品をネタにしたエッセイ集」と言っておきます。
 「演劇なんて爪の先ほども興味ねーんだよ。演劇に関係ない人生で悔いなし。おとといきやがれ、てやんでぇ!」という方にはお勧めできませんが、「演劇ねえ。観たらきっとおもしろいんだろうね。私は滅多に観ることないけど、なにかおもしろいものがあれば観てみたいな。でも、演劇っていっぱいありすぎてどれを選んだらいいのかわからないからなんか敷居が高くて…」というくらいの方までなら想定の範囲内です。
 基本的には、「演劇業界の知識がない」「ここに載っている作品は1本も観たことがない」という人が読んでもわかるように書かれていますので、発刊の節はこわがらずにぜひ皆さんご購入くださいませ。
 今、原稿を整理しているところなのですが、正式に出版予定が決まったらまたあらためて告知します。
 多分、9月末くらいになるのではないかと。はい。

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「地震」と「轟様」

 梅雨明けしたけど、意外にスカッと晴れないなぁ…。
 ところで、昨日の千葉震源地の地震。皆様、どんな状況で迎えられましたか?
 私はそのとき、東京宝塚劇場の客席で星組公演を観ていました。

 地震の瞬間を語る前に、観ていたお芝居の内容を簡単に説明します。
 その日の演目は「長崎しぐれ坂」。榎本滋民の「江戸無宿」が原作の日本もののお芝居です。

 舞台は江戸時代の長崎。長崎の唐人屋敷は治外法権のため、おたずね者がまぎれこみ、唐人たちにかくまってもらっている。
 そのおたずね者集団の中でもひときわ人望の厚いボス的存在なのが、江戸から流れてきた伊佐次(轟悠)。
 伊佐次は、唐人屋敷の囲いの中から一歩も外に出られない生活に息苦しさを感じて鬱屈した思いを抱えて生きている。
 そこへ頻繁に出入りするのは下っ引きの卯之助(湖月わたる)。卯之助は、伊佐次の幼なじみで、足の悪い自分をかばってくれた男気のある伊佐次を大切に思っているため、なんとか伊佐次を死なせまいと、「自分があいつを捕まえる」と追いかける振りをしつつ追っ手から守っている。
 そんなある日、2人のもう1人の幼なじみのおしま(檀れい)が長崎にやってくる。おしまも伊佐次同様すっかりおちぶれていて、今は堺の豪商の囲われ芸者という身の上だ。
 久しぶりに再会した3人は、唐人屋敷内で神田明神の思い出を語り合い、しばし幸せだった子供時代をなつかしむ。
 再会をきっかけに、伊佐次とおしまの心は急接近。ともに自由のない身の上という境遇も手伝って、すべてを捨てて一緒に江戸に帰ろうと盛り上がる2人。
 それを知った卯之助は、「2人の仲を裂かないと2人とも不幸になる」と悩んだ末、彼らが親密になっていることをおしまの旦那に告げ口する。
 怒った旦那はおしまを連れてすぐに堺に帰ると言い出す。おしまは卯之助を「裏切り者」と罵るが、卯之助は「昔からおしまが好きだった」と告白。「好きだからこそ強制はできない。旦那と帰るか、伊佐次と地獄に堕ちるか、どちらかを選べ」と言い、「でも自分は伊佐次を絶対に死なせたくないんだ」とおしまに身を引くように懇願する。
 卯之助の気持ちを汲んだおしまは、涙をのんで長崎を出ていく。それを知った伊佐次はおしまのあとを追おうと唐人屋敷の囲いの中から外へ飛び出す。卯之助は最後まで伊佐次を逃がそうとするが、港で船に飛び乗ったところで役人に撃たれて伊佐次はついに絶命する…。

 まあ、こんな感じの話です。
 そして問題の地震があったときは、長崎の海を一望するしぐれ坂の上で2人きりで江戸をなつかしむ伊佐次とおしまのシーンがしっとりと演じられていました。
 最初は座席のお尻が小刻みに震えだして、「え。これ、地震…?」と疑ってまもなく揺れはどんどん明確になり、周囲の客席からも不安そうな声がさざ波のように広がりました。そのうちに完全に劇場全体が大きく揺れるほどの強さになり、客席からは悲鳴が発生。2000人入る劇場で悲鳴が起こるというのはかなりの恐怖感です。お客さんはもはや舞台どころではない状況でした。

 しかし!

 轟様と檀ちゃんはそのまま芝居を続行。
 素に戻ることなく、手を握り、目を見つめ合いながらセリフをしゃべり続けているではありませんか。
 正直、地震の恐怖よりもこの2人の姿に私は鳥肌がたちました(←これはいい意味です)。
 これぞ役者!
 あなたたちこそ「紅天女候補」よ!
 あとで「え? 地震?……そんなものあったんですか。気がつかなかった。私、夢中で……あのときの私はおしまとしてたしかに江戸時代の長崎に生きていたんです」とか、「気がついてはいましたが、恐怖はありませんでした。あのときの私は伊佐次でしたから」とか言っちゃうのかな。
 などと興奮していたら、音楽が消え、照明が落ち、客電がつき、「公演中断」のアナウンスが…。それでもなお、舞台上の2人は完全に幕が降りきる瞬間まで役であることをやめませんでした。

 それから30分ほど「舞台機構と客席の安全を確認するため」舞台は中断。
 お客さんはロビーにはしって携帯でニュースをチェックしたり、家に電話を入れたりと大騒ぎ。
 同行した益子さんは、私と同様、最後まで演技を続けた轟様&檀ちゃんに深い感銘を受けたようで、涙ぐまんばかりに感動していました。
 何年か前のお正月ドラマで、「愛と青春の宝塚」という戦時中のタカラジェンヌの話をやったことがあるんですが(藤原紀香がトップスターという設定でした)、その中のシーンで空襲警報が鳴り、爆弾が降ってくる中でも舞台を中断しなかったタカラジェンヌたち、みたいなエピソードがあったんですが、その伝説をまのあたりにした思いです。
 もっともあのドラマの場合、続行っていっても「すみれの花咲く頃」を皆で延々と繰り返して歌ってただけなので、「同じ歌繰り返してるだけならもうやめたら? お客さんも逃げるに逃げられなくて気の毒だよ」と思わなくもなかったですが(笑)。

 「それにしても、宝塚の生徒はあの阪神淡路大震災を経験してるわけだから、地震に対する恐怖は関東人以上のはず。揺れたときはかなりこわかったと思うけど」
 「娘役はいいけど、男役の場合、反射的にでも“キャッ”なんて言えないからつらいよね」
 「うーん。でも轟様なら反射的にでも“うぉっ”とか野太い声で言いそう」

 などと話しているうちに、安全確認が済んだらしく「再開」のアナウンスが。
 幕が開くと、中断されたシーンをもう一度最初からやり直すらしく、おしま@檀ちゃんが板つき(最初から舞台上にいること)で一人で海を眺めている。
 その姿にお客さんは応援の意味を込めてひときわ大きな拍手。
 そこへ伊佐次@轟様が下手花道から登場し、こちらにも同じく大きな拍手。
 ここで伊佐次は、海を見ているおしまに声をかけるのですが、さすがは轟様。客席の緊張と不安を取り除こうとしょっぱなからアドリブをかましたのです。
 まずは、登場しながら独り言のように「いやー、江戸ではたびたびあったけど、まさか長崎でもこんなすごいものにあうとはなあ。あー、こわかった」とつぶやき、笑いをとる。さらにおしまの姿をみつけて一言。「おしまちゃん! 大丈夫だったかい?」。ここでまた爆笑。客席は一転してリラックスムードに。

 で、このシーンを見ていて「あれ?」と思ったのです。
 たしかさっきは2人が手を握りあい、みつめあっていたシーンがあったはずなのに、そんなシーンはどこにもないんですよ。
 ………てことは。そう。あれは芝居じゃなかったんだよ。
 終演後、事実を確認しようと益子さんにその話をしたところ、たしかに地震のときは手を握っていたと証言。さらに観察魔の益子さんは次のように語っていました。

 「檀ちゃんが轟様の腕をぎゅっと握ってすがるように顔を見たんですよ。そしたら轟様がその手の上に自分の手をのせて落ち着かせるように何か囁いてました」

 おそらく、檀ちゃんは地震と悲鳴にかなりビビッて「どうしよう」って感じで轟様の腕をつかみ、轟様は檀ちゃんの手を握って「大丈夫。おちついて。続けなさい」と力づけたのではないでしょうか。
 いやー、男らしすぎるよ>轟様
 これを知って、益子さんは「今日で私の中の轟様株が急上昇しました」とメロメロになってました(笑)。

 ちなみに、ご存じない方のために補足しておくと、星組の現在のトップコンビは湖月わたると檀れい(檀ちゃんはこの公演で退団します)。
 轟悠は、雪組トップをかなり長くつとめたあとに、次の春日野八千代を目指して専科入りし、今回のように時々いろいろな組に特別出演しています。
 轟様はトップのさらに上という位置づけのため、轟様が特出すると、その組のトップは微妙な扱いを受けるのですが、トップとしていまいち弱いというスターは、逆に轟様が出ることで二番手のような気楽さを得てかえってのびのび魅力を発揮できる場合もあったりします。今回の場合は……まあコメントは控えます。
 轟様は、ご存じの方はご存じかと思いますが、歴代男役トップの中で「最も男にしか見えないジェンヌNO.1」といっても過言ではないでしょう。
 特に「エリザベート」初演で演じたテロリスト役は、その後東宝ミュージカルで同じ役を演じた高嶋政宏よりも数段男らしくセクシーで、作者のクンツェさんが轟様を観て「宝塚は女性だけの集団だときいていますが、本物の男性 もまじってるんですね」とコメントしたことは有名(まじってるわけねーだろ。お茶目すぎるよ>クンツェさん)。
 同世代のトップスター(真琴つばさとか愛華みれ)はすべて退団して女優として活躍しているため、専科に残ってずっと男を貫き続けている轟様はまさに男役の中でも別格の存在。
 私のまわりでは、トップスターは呼び捨てなのに、轟様にだけは「様」をつけるのが不文律です(笑)。

 それにしても、これだけ大騒ぎしたわりには、外ではそれほど揺れてなかったんでしょうか。
 心配しているといけないと思い、休憩時間に家に電話を入れたのですが、出てきた母親の第一声は

 「なに?」

 というそっけないものでした。
 「地震あったでしょ?」と言っても、「あー、わかったの?」とのんびりしている。
 「揺れたんだよ。ものすごく。舞台も30分中断したんだよ。電車も止まってるんだよ」と訴えても「そんなにすごかったの?」と反応薄。
 この温度差はなんなんだ! 同じ東京にいるのか、本当に。
 あとで新聞やニュース見たけど、銀座のある中央区は震度3グループにも入っていない。東京宝塚劇場だけが局地的に揺れたんだろうか。
 皆さんのいた地域はどうでしたか?

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プロフィール

HN:
伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家・ライター
趣味:
旅行 骨董 庭仕事

著作



「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」

Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!

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