古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
HP更新情報と「取材された」話
近況報告を少々。
HPを久々に更新してます。
ひとつは「伊万里式鑑定法」。じつに1年ぶりの更新(って自慢げに吹聴することか)。
昨年の秋にこのコンテンツのテキスト(演劇評論)を編集して本を出したので、それ以来なんとなく更新するモチベーションを失ってました。
だって書くとなると長くなるからめんどくさくて。。。。
今まで何回か書きかけたものもあったんですが、ことごとく書いてる途中に挫折しちゃって。
まあ、挫折するくらいじゃそんなに書きたいものじゃないんだろう。ってことで流しまくってはや1年。
久しぶりに琴線に触れた作品(今回は珍しく映画です)があったので、一気に書きました。長いです。これぞ伊万里式(笑)。
もうひとつは、ここでもちらっと紹介したW杯掲示板を7/31付で閉鎖し、ログをまとめたものをアップしました。
これもね、閉鎖してからまとめるとめんどくさくなって時間かかっちゃうんで、掲示板オープンしているときに少しずつまとめを作るようにしたんです。だからすぐにアップできたの。
オリンピックのときは終わってから作ってたんで何ヶ月も先になってしまって、そのときの反省を生かしました。
近況その2。
某外資系生命保険会社のPR誌でインタビューを受けました。
インタビューは「する方」はいっぱいやってきたけど、されるのは初めて。
…いや、1回だけあったか。
でも「劇作家」としては初めてです。
けっこう気疲れするんですよ。書かれるのって。
どんなに正確にしゃべっても、他人の言葉で書かれるとそれだけでなんかもうニュアンス変わってしまった気がして。
だからといって自分が思うように直したらそれはもう自分の文章になっちゃうわけで。
ライターさんもいろいろ気を遣って書いてくださってるのがわかるだけに、よけいに「直し」って言いにくいですしね。
ライターさん(インタビュアー)の主観が前面に出ているようなインタビュー記事ならそれはそれでおもしろいんでしょうが、こういうのって普通は無署名記事なんで、どうしてもあたりさわりのない構成になってしまうんですよね。そこでよけいに距離感が出てしまうのかも。
でも記事はまだいいんです。
問題は………写真。
もう、ほんとに、ほんとに、ほんとに、写真、苦手です!!!
インタビュー受けてるときに撮ってもらえれば知らないうちに撮影が済むんじゃないかと期待してたんですが、甘かった。
昨今はこういうPR誌も経費節減が厳しいのか、今回はカメラマンは同行せず。
ライターさんとデザイナーさんが2人で来て店でインタビューし、その後屋外で撮影ということになり、写真はデザイナーさんがデジカメで撮りました。
最近はデジカメでもけっこう印刷にも耐えられる写真が撮れるんですよね。プロのカメラマンさんも最近はデジカメ主流と聞きました。
しかし、こんなところで人件費カットされるとは、カメラマンも厳しいな…。と同じフリーとして危機感を感じてしまいました。
写真は「ポートレイト」と「仕事をしているところ」の2点ほしいと言われたんですが、仕事って言っても……フツーにパソコンに向かっているそのへんの人と変わらないので……べつに……いらないし……と婉曲に遠慮したのですが、2点の線は崩れないらしく、結局中途半端に屋外で撮ったポートレートを無駄に2枚並べられる羽目になりました。
いっそのこと、「我が輩は主婦である」みたいに原稿用紙の前でポーズとればよかったか?(笑)
以上近況報告でした。
HPを久々に更新してます。
ひとつは「伊万里式鑑定法」。じつに1年ぶりの更新(って自慢げに吹聴することか)。
昨年の秋にこのコンテンツのテキスト(演劇評論)を編集して本を出したので、それ以来なんとなく更新するモチベーションを失ってました。
だって書くとなると長くなるからめんどくさくて。。。。
今まで何回か書きかけたものもあったんですが、ことごとく書いてる途中に挫折しちゃって。
まあ、挫折するくらいじゃそんなに書きたいものじゃないんだろう。ってことで流しまくってはや1年。
久しぶりに琴線に触れた作品(今回は珍しく映画です)があったので、一気に書きました。長いです。これぞ伊万里式(笑)。
もうひとつは、ここでもちらっと紹介したW杯掲示板を7/31付で閉鎖し、ログをまとめたものをアップしました。
これもね、閉鎖してからまとめるとめんどくさくなって時間かかっちゃうんで、掲示板オープンしているときに少しずつまとめを作るようにしたんです。だからすぐにアップできたの。
オリンピックのときは終わってから作ってたんで何ヶ月も先になってしまって、そのときの反省を生かしました。
近況その2。
某外資系生命保険会社のPR誌でインタビューを受けました。
インタビューは「する方」はいっぱいやってきたけど、されるのは初めて。
…いや、1回だけあったか。
でも「劇作家」としては初めてです。
けっこう気疲れするんですよ。書かれるのって。
どんなに正確にしゃべっても、他人の言葉で書かれるとそれだけでなんかもうニュアンス変わってしまった気がして。
だからといって自分が思うように直したらそれはもう自分の文章になっちゃうわけで。
ライターさんもいろいろ気を遣って書いてくださってるのがわかるだけに、よけいに「直し」って言いにくいですしね。
ライターさん(インタビュアー)の主観が前面に出ているようなインタビュー記事ならそれはそれでおもしろいんでしょうが、こういうのって普通は無署名記事なんで、どうしてもあたりさわりのない構成になってしまうんですよね。そこでよけいに距離感が出てしまうのかも。
でも記事はまだいいんです。
問題は………写真。
もう、ほんとに、ほんとに、ほんとに、写真、苦手です!!!
インタビュー受けてるときに撮ってもらえれば知らないうちに撮影が済むんじゃないかと期待してたんですが、甘かった。
昨今はこういうPR誌も経費節減が厳しいのか、今回はカメラマンは同行せず。
ライターさんとデザイナーさんが2人で来て店でインタビューし、その後屋外で撮影ということになり、写真はデザイナーさんがデジカメで撮りました。
最近はデジカメでもけっこう印刷にも耐えられる写真が撮れるんですよね。プロのカメラマンさんも最近はデジカメ主流と聞きました。
しかし、こんなところで人件費カットされるとは、カメラマンも厳しいな…。と同じフリーとして危機感を感じてしまいました。
写真は「ポートレイト」と「仕事をしているところ」の2点ほしいと言われたんですが、仕事って言っても……フツーにパソコンに向かっているそのへんの人と変わらないので……べつに……いらないし……と婉曲に遠慮したのですが、2点の線は崩れないらしく、結局中途半端に屋外で撮ったポートレートを無駄に2枚並べられる羽目になりました。
いっそのこと、「我が輩は主婦である」みたいに原稿用紙の前でポーズとればよかったか?(笑)
以上近況報告でした。
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恐怖のミッキー
古い話になりますけど、梅雨入り直後くらいにTDSに行ってきました。
なんだかんだでTDSもすでに5回目。
プレビューで懲りて「もうこれで行かなくてもいいや」と弱音吐いた割にはよく行ってますね。
で、5回目にして初めて生ミッキー&ミニーに遭遇いたしました。
場所はアメリカンウォーターフロントエリア。
ごくフツーに街角を散歩していたミッキー、あっという間に携帯やデジカメもった人々に取り囲まれました。
お約束通り、手を振ったり、首をかしげたり、愛嬌を振りまいていたミッキーですが、「いやーん、かわい〜!」と騒いでるのはおとなばっかり。
ふと見ると、4歳くらいの男の子がミッキーを見て固まっているではありませんか。
それに気がついたミッキーが男の子に手を振りながら近づこうとすると、ビクッとしてそのままあとずさり。
どうやら男の子はでかでかミッキーに怯えている様子です。
男の子が逃げたことでちょっといたずら心が芽生えたのか、わざと男の子を追いかけ回すミッキー。
べそをかきながら逃げまどう男の子(その手にはなぜかミッキーのキャラクターグッズが握りしめられていたのが笑えるんですが)。
しかも一気に逃げるのではなく、ダーッと逃げて一定の距離をとると、柱の隅からじっとミッキーの様子を伺う。
ミッキーも離れた場所からしばらく男の子の様子を伺う。
また走り出すミッキー。
泣きながら逃げる男の子。
その繰り返し。
男の子の移動に伴い、ミッキーも移動し、ミッキーの移動に伴い、携帯やデジカメを持ったその他大勢もゾロゾロと移動。
という奇妙な光景が繰り広げられました。
おとなとしては「ミッキーに追いかけられるなんてずるい」という羨望もまじったまなざしで追いかけていたようですが。

「どうしたのかな〜。何泣いてんのかな〜。僕、ミッキーだよ!」

ダーーーーーーーーーーッ!
「あ、逃げたっっっ!!」

「待って〜!」
バコバコバコバコ(←足音が意外に大きい)
「いいなぁ〜〜〜」(byギャラリー)
で、この光景を見てるうちに、遠い昔を思い出しました。
昔、木馬座っていう子供向けの人気人形劇団があったんですが、ちょうどこの男の子くらいのときに、木馬座の舞台に連れていってもらったことがあるんですよ。
普段はTVで見ていたんですが、初めて生を見ることができるとあって、私は鼻血が出そうなほど興奮していました。
場所は忘れたけど、都内のどこか大きな劇場でした。
開演のかなり前から席にスタンバッた私は、人形劇の人形が出てくるのを今か今かと待っていました。
「まだかな、まだかな」と何回も聞く私に、親もいいかげんウンザリした表情。
そしていよいよ開演。
幕が開き、よく覚えてないけど、なんかの動物の着ぐるみが板付きで登場し、歌をうたい始めました。
ところがその瞬間、私はミッキーに遭遇した男の子と同じ状態になってしまったのです。
親の話によると、私はその人形を見たとたん大声で泣き出し、結局外へ連れ出す羽目になったらしい。
もちろん、二度と客席復帰はなりませんでした。
「せっかく連れてってやったのに」と今でもそのときのことを非難されるのですが、私がおぼえているのは「恐怖」だけです。
幕が開いたときに出てきた着ぐるみの大きさは、幼い私の想像をはるかに超えたものでした。
普段、TVの画面内で把握している動物のキャラクターはもっとずっと小さかったため、その感覚のまま舞台を観にいった私は、頭の中で10分の1くらいのものをシミュレーションしていたのです。
そのギャップはかなりの衝撃で、私の中では木馬座の着ぐるみはバケモノ以外のなにものでもありませんでした。
ミッキーにおびえる男の子を見て、おとなは「バカだなあ」って感じで誰もが笑いましたが(私も含めて)、多分あの男の子にしてみたら笑い事じゃなく、本気でこわかったんだと思います。
さらにその日は、アリエルのショーで最初から最後まで泣き続けた子供も見かけました。
アリエルのショーには、途中「こわい魔女」が登場するところがあって、そこはたしかに子供にはこわいかなと思ったんですが、その子は魔女が登場するずっと前から泣いていました。
ただ機嫌が悪くてぐずっていたわけじゃなく、明らかにショーが始まったとたんこわがって泣き出したのです。
それで気づきました。
こういうファンタジー系の着ぐるみやらキャラクターやらって、じつは楽しんでるのはおとなのほうなんじゃないかって。
おとなは、でかい着ぐるみが出てきても、幻想的な演出が繰り広げられても、それが「本物」だと思う人は誰もいません。
すべてつくりもので、フィクションだと承知しているからこそ、純粋に一時の夢を楽しむことができるのです。
でも子供は違うんですよね。
現実とフィクションの区別がつかない。
いきなりお芝居が始まっても、境界線がわからないから、目の前に出てきた「見たことがないモノ」をまるごと現実としてうけとめてしまう。
「悪役がこわい」とかそういう次元じゃなく、正義の味方であろうとお姫様であろうと、現実にいないものという点では異形のバケモノなんです。
特におとなと等身大か、着ぐるみをきてそれ以上の大きさになったモノは、子供から見るとかなり巨大なものですから、そういう恐怖も侮れません。
今まで「こういうの子供が喜ぶんだろうな」と漠然と思っていましたが、必ずしもそうではないことを自分の記憶の裏付けとともに思い出し、ちょっと新鮮でした。
とすると、子供はいくつくらいからフィクションをフィクションとして楽しめるようになるんでしょうね。
作り物を本物だと思えなくなることは、一見知恵の悲しみのようですが、本当の想像力はむしろそこから育っていくのではないでしょうか。
もしそうならば、想像力は無限。年には関係なく育てていけるものなのかもしれません。
なんだかんだでTDSもすでに5回目。
プレビューで懲りて「もうこれで行かなくてもいいや」と弱音吐いた割にはよく行ってますね。
で、5回目にして初めて生ミッキー&ミニーに遭遇いたしました。
場所はアメリカンウォーターフロントエリア。
ごくフツーに街角を散歩していたミッキー、あっという間に携帯やデジカメもった人々に取り囲まれました。
お約束通り、手を振ったり、首をかしげたり、愛嬌を振りまいていたミッキーですが、「いやーん、かわい〜!」と騒いでるのはおとなばっかり。
ふと見ると、4歳くらいの男の子がミッキーを見て固まっているではありませんか。
それに気がついたミッキーが男の子に手を振りながら近づこうとすると、ビクッとしてそのままあとずさり。
どうやら男の子はでかでかミッキーに怯えている様子です。
男の子が逃げたことでちょっといたずら心が芽生えたのか、わざと男の子を追いかけ回すミッキー。
べそをかきながら逃げまどう男の子(その手にはなぜかミッキーのキャラクターグッズが握りしめられていたのが笑えるんですが)。
しかも一気に逃げるのではなく、ダーッと逃げて一定の距離をとると、柱の隅からじっとミッキーの様子を伺う。
ミッキーも離れた場所からしばらく男の子の様子を伺う。
また走り出すミッキー。
泣きながら逃げる男の子。
その繰り返し。
男の子の移動に伴い、ミッキーも移動し、ミッキーの移動に伴い、携帯やデジカメを持ったその他大勢もゾロゾロと移動。
という奇妙な光景が繰り広げられました。
おとなとしては「ミッキーに追いかけられるなんてずるい」という羨望もまじったまなざしで追いかけていたようですが。
「あ、逃げたっっっ!!」
バコバコバコバコ(←足音が意外に大きい)
「いいなぁ〜〜〜」(byギャラリー)
で、この光景を見てるうちに、遠い昔を思い出しました。
昔、木馬座っていう子供向けの人気人形劇団があったんですが、ちょうどこの男の子くらいのときに、木馬座の舞台に連れていってもらったことがあるんですよ。
普段はTVで見ていたんですが、初めて生を見ることができるとあって、私は鼻血が出そうなほど興奮していました。
場所は忘れたけど、都内のどこか大きな劇場でした。
開演のかなり前から席にスタンバッた私は、人形劇の人形が出てくるのを今か今かと待っていました。
「まだかな、まだかな」と何回も聞く私に、親もいいかげんウンザリした表情。
そしていよいよ開演。
幕が開き、よく覚えてないけど、なんかの動物の着ぐるみが板付きで登場し、歌をうたい始めました。
ところがその瞬間、私はミッキーに遭遇した男の子と同じ状態になってしまったのです。
親の話によると、私はその人形を見たとたん大声で泣き出し、結局外へ連れ出す羽目になったらしい。
もちろん、二度と客席復帰はなりませんでした。
「せっかく連れてってやったのに」と今でもそのときのことを非難されるのですが、私がおぼえているのは「恐怖」だけです。
幕が開いたときに出てきた着ぐるみの大きさは、幼い私の想像をはるかに超えたものでした。
普段、TVの画面内で把握している動物のキャラクターはもっとずっと小さかったため、その感覚のまま舞台を観にいった私は、頭の中で10分の1くらいのものをシミュレーションしていたのです。
そのギャップはかなりの衝撃で、私の中では木馬座の着ぐるみはバケモノ以外のなにものでもありませんでした。
ミッキーにおびえる男の子を見て、おとなは「バカだなあ」って感じで誰もが笑いましたが(私も含めて)、多分あの男の子にしてみたら笑い事じゃなく、本気でこわかったんだと思います。
さらにその日は、アリエルのショーで最初から最後まで泣き続けた子供も見かけました。
アリエルのショーには、途中「こわい魔女」が登場するところがあって、そこはたしかに子供にはこわいかなと思ったんですが、その子は魔女が登場するずっと前から泣いていました。
ただ機嫌が悪くてぐずっていたわけじゃなく、明らかにショーが始まったとたんこわがって泣き出したのです。
それで気づきました。
こういうファンタジー系の着ぐるみやらキャラクターやらって、じつは楽しんでるのはおとなのほうなんじゃないかって。
おとなは、でかい着ぐるみが出てきても、幻想的な演出が繰り広げられても、それが「本物」だと思う人は誰もいません。
すべてつくりもので、フィクションだと承知しているからこそ、純粋に一時の夢を楽しむことができるのです。
でも子供は違うんですよね。
現実とフィクションの区別がつかない。
いきなりお芝居が始まっても、境界線がわからないから、目の前に出てきた「見たことがないモノ」をまるごと現実としてうけとめてしまう。
「悪役がこわい」とかそういう次元じゃなく、正義の味方であろうとお姫様であろうと、現実にいないものという点では異形のバケモノなんです。
特におとなと等身大か、着ぐるみをきてそれ以上の大きさになったモノは、子供から見るとかなり巨大なものですから、そういう恐怖も侮れません。
今まで「こういうの子供が喜ぶんだろうな」と漠然と思っていましたが、必ずしもそうではないことを自分の記憶の裏付けとともに思い出し、ちょっと新鮮でした。
とすると、子供はいくつくらいからフィクションをフィクションとして楽しめるようになるんでしょうね。
作り物を本物だと思えなくなることは、一見知恵の悲しみのようですが、本当の想像力はむしろそこから育っていくのではないでしょうか。
もしそうならば、想像力は無限。年には関係なく育てていけるものなのかもしれません。
オリエント急行、流れ流れて東の果てへ…
また間があいてしまいました。
箱根で訪れた2つ目の施設は、昨年の3月にオープンした「箱根ラリック美術館」です。
ラリックもアール・デコも大大大好きなので、箱根にラリックのコレクションがあるときいてここは絶対に行くぞと心に決めていました。
ラリックは、アール・ヌーヴォー期からアール・デコ期にかけて活躍したフランスのデザイナー(1860〜1945)。繊細なガラス工芸品を作るアーティストとして有名ですが、最初は宝飾デザイナーでした。と同時に建築デザインも幅広く手がけています。
アール・ヌーヴォーの申し子といえばガレやミュシャ。ジャポニズムの影響があったり、どことなく退廃的なムードを漂わせた作品が思い浮かびます。
一方、アール・デコは機能的かつ合理的なデザインで、幾何学模様をうまく使い、もっとメタリックな感じです。
ラリックがおもしろいのは、活躍時期が両方にまたがっていること。ガレみたいなものを作っているときもあるし、「これぞアール・デコ!」っていう作品を作っているときもあって、非常に幅が広いのです。
この美術館では、おもに宝飾デザインを手がけたアクセサリーが展示の中心になっています。私は今までどちらかというとガラス工芸品を鑑賞する機会が多かったので、なかなか興味深かったです。
どれも本当にため息が出るほどの繊細さであるばかりでなく、ファンタジーというんでしょうか、別世界に連れていってくれるような吸引力があって、さすがはカリスマデザイナーだなとうっとりしました。
が、この美術館、それで終わってないところが本当にすごいところ。
一番の目玉はこの他にあるんです。
なにかというと、
なんとあの
オリエント急行
に乗ることができるんです。
オリエント急行といえば、すぐに思い出されるのがアガサ・クリスティーの名作「オリエント急行の殺人」(または「オリエント急行殺人事件」)。
そう。ヨーロッパを横断するあの豪華国際寝台列車です。
以下、オリエント急行の歴史を簡単にご説明しますと…。
オリエント急行が最初に運転されたのは1883年のこと。走行区間はパリ⇔コンスタンチノープル(今のイスタンブール)。
内装・食事・サービス、どれをとっても超一流で、さながら「走る高級ホテル」。当時の社交界にとってオリエント急行は憧れの存在でした。
その後、走行区間が増えたり、走行時間が短縮されたりといろいろあってどんどん発展してきますが、第2次世界大戦でほとんどの車両を失い、1960年代以降は普通の列車と変わらない位置づけとなり、1977年にはついに廃止されることに。
しかし、歴史あるオリエント急行がなくなってしまうことを惜しむ声は多く、1980年代半ばには国際夜行特急として復活します(現在はパリ⇔ウィーンを運行)。
ただ、これが本当の意味でのオリエント急行の復活と言えるのかどうかというとちょっと微妙。というのも、世界中の人々にとって、オリエント急行はあくまでも「豪華な車両で優雅な旅を楽しむ列車」であり、ただ移動すればいいというわけではないからです。復活したオリエント急行は車両も新しくなり、当時の面影はほとんどありません。
そこで出てきたのが「古き良きオリエント急行を復元して走らせよう」という動きです。
中でも一番早く動きを見せたのはスイスの旅行会社インターフルーク社です。
1976年、オークションに売りに出された戦前の古い車両を買いとった同社は、昔のままのオリエント急行を復元し、「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行」(NIOE)として運行を開始しました。
これはチャーター運行が基本で、お呼びがかかればそこへ運んでいって走らせるという「出前方式」をとっていました。日本でも、1988年にフジテレビが開局30周年記念イベントとしてオリエント急行を運ばせて国内で走らせたことがあります(当時の苦労話や裏話についてはこのページの「オリエント急行ストーリー」に詳しく載っています)。
しかし、豪華列車の維持には莫大なお金がかかるらしく、その後インターフルーク社は経営難に陥り、多くの車両を売りに出す羽目になりました。
そう。そのうちのひとつを買い取ったのが、ここ箱根ラリック美術館というわけです。
「ラリック」と「オリエント急行」になんの関係が?と思われる方もいるかもしれませんが、前述したように幅広い仕事を手がけていたラリックは、オリエント急行の内装も行っていたのです。
箱根ラリック美術館にあるのはサロンカーと呼ばれるお茶するための車両で、ラリックによるガラスパネルを見ることができます。
それもただ中に入って見るのではなく、実際にサロンカーの客席に座り、お茶とお菓子をいただきながらの鑑賞です。
内部見学には別料金(2,100円)が必要で、10:00〜16:00の毎正時から45分間が見学時間になります。
正直、最初は「2,100円は高い!」と思いましたが、本物のオリエント急行に乗れるチャンスなんてなかなかあるものじゃないですし、何よりもこのときに出たコーヒーとお菓子がなかなかおいしい。あんまりおいしかったので、コーヒー豆はあとで買って帰ったほどです。
コーヒーはポットにゆうに3杯半は入ってましたね。「こんなにいらねえからもっと安くしろ」という人もいるかもしれませんが、さすがにオリエント急行の車両の中でそんなビンボくさいことを考えるのはいかがなものかって感じなので、ありがたく3杯半飲んでお腹がガバガバになりました(その行為がすでにビンボくさいっつーの)。
ちなみに、この日は他に乗客(?)はいなくて、貸切状態。途中、係の人が内部の説明にきましたが、あとはまったりと過ごしました。
走ってない列車の車両に乗ってるのって、考えようによっては非常に間抜けではありますが、かといってわざとらしく音楽とか流れてきてももっと寒い気がするので、そこは想像力で「私は貴族。ここはパリ」とか思いこみ、コーヒーを流し込むしかないのでしょう。
ただ、窓の外の景色がちょっとねぇ……ちょうど美術館の裏門の方向にあたるんですが、豆腐屋だったかクリーニング屋だったかなんだか忘れたけど、すごく現実に戻ってしまうような光景が視界に入ってきてかなり興ざめでした。樹木を生い茂らせて視界を防ぐとか、なんらかの対応を望みます。
そてにしても、驚くのは、この美術館のオーナーが「個人」だということ。
つまり、ラリックのコレクションもオリエント急行も私財で購入したということです。
いったいどんな金持ちなんだ。日本人にも富豪っているんですね。
車両の中に入る前に、「オリエント急行をどうやってここまで運んできたか」という軽いドキュメンタリーのような映像を見せてもらったんですが、横浜の港から入り、巨大なトレーラーに乗せられて箱根の急坂をのぼっていくオリエント急行の姿に圧倒されました。
もちろん、こんな大きいもの、建物に簡単に出し入れできませんから、まず「美術館建設予定地」の片隅に車両を設置し、それから車両を格納するための建物を外側に作ったそうです。
いや、もう考えられないスケールですわ。順番からいうと「オリエント急行買っちゃったから、保管場所作ろう」っていうノリで美術館作った感じ。さらに、「保管場所作ったついでにたまっちゃったラリックコレクションも飾っておくか」って感じか。おそらく、このオーナーにとっては、この美術館は趣味のための倉庫なんでしょう。
皆さんも箱根にお越しの際はぜひオリエント急行で「アガサ・クリスティごっこ」をしていってください。



箱根で訪れた2つ目の施設は、昨年の3月にオープンした「箱根ラリック美術館」です。
ラリックもアール・デコも大大大好きなので、箱根にラリックのコレクションがあるときいてここは絶対に行くぞと心に決めていました。
ラリックは、アール・ヌーヴォー期からアール・デコ期にかけて活躍したフランスのデザイナー(1860〜1945)。繊細なガラス工芸品を作るアーティストとして有名ですが、最初は宝飾デザイナーでした。と同時に建築デザインも幅広く手がけています。
アール・ヌーヴォーの申し子といえばガレやミュシャ。ジャポニズムの影響があったり、どことなく退廃的なムードを漂わせた作品が思い浮かびます。
一方、アール・デコは機能的かつ合理的なデザインで、幾何学模様をうまく使い、もっとメタリックな感じです。
ラリックがおもしろいのは、活躍時期が両方にまたがっていること。ガレみたいなものを作っているときもあるし、「これぞアール・デコ!」っていう作品を作っているときもあって、非常に幅が広いのです。
この美術館では、おもに宝飾デザインを手がけたアクセサリーが展示の中心になっています。私は今までどちらかというとガラス工芸品を鑑賞する機会が多かったので、なかなか興味深かったです。
どれも本当にため息が出るほどの繊細さであるばかりでなく、ファンタジーというんでしょうか、別世界に連れていってくれるような吸引力があって、さすがはカリスマデザイナーだなとうっとりしました。
が、この美術館、それで終わってないところが本当にすごいところ。
一番の目玉はこの他にあるんです。
なにかというと、
なんとあの
オリエント急行
に乗ることができるんです。
オリエント急行といえば、すぐに思い出されるのがアガサ・クリスティーの名作「オリエント急行の殺人」(または「オリエント急行殺人事件」)。
そう。ヨーロッパを横断するあの豪華国際寝台列車です。
以下、オリエント急行の歴史を簡単にご説明しますと…。
オリエント急行が最初に運転されたのは1883年のこと。走行区間はパリ⇔コンスタンチノープル(今のイスタンブール)。
内装・食事・サービス、どれをとっても超一流で、さながら「走る高級ホテル」。当時の社交界にとってオリエント急行は憧れの存在でした。
その後、走行区間が増えたり、走行時間が短縮されたりといろいろあってどんどん発展してきますが、第2次世界大戦でほとんどの車両を失い、1960年代以降は普通の列車と変わらない位置づけとなり、1977年にはついに廃止されることに。
しかし、歴史あるオリエント急行がなくなってしまうことを惜しむ声は多く、1980年代半ばには国際夜行特急として復活します(現在はパリ⇔ウィーンを運行)。
ただ、これが本当の意味でのオリエント急行の復活と言えるのかどうかというとちょっと微妙。というのも、世界中の人々にとって、オリエント急行はあくまでも「豪華な車両で優雅な旅を楽しむ列車」であり、ただ移動すればいいというわけではないからです。復活したオリエント急行は車両も新しくなり、当時の面影はほとんどありません。
そこで出てきたのが「古き良きオリエント急行を復元して走らせよう」という動きです。
中でも一番早く動きを見せたのはスイスの旅行会社インターフルーク社です。
1976年、オークションに売りに出された戦前の古い車両を買いとった同社は、昔のままのオリエント急行を復元し、「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行」(NIOE)として運行を開始しました。
これはチャーター運行が基本で、お呼びがかかればそこへ運んでいって走らせるという「出前方式」をとっていました。日本でも、1988年にフジテレビが開局30周年記念イベントとしてオリエント急行を運ばせて国内で走らせたことがあります(当時の苦労話や裏話についてはこのページの「オリエント急行ストーリー」に詳しく載っています)。
しかし、豪華列車の維持には莫大なお金がかかるらしく、その後インターフルーク社は経営難に陥り、多くの車両を売りに出す羽目になりました。
そう。そのうちのひとつを買い取ったのが、ここ箱根ラリック美術館というわけです。
「ラリック」と「オリエント急行」になんの関係が?と思われる方もいるかもしれませんが、前述したように幅広い仕事を手がけていたラリックは、オリエント急行の内装も行っていたのです。
箱根ラリック美術館にあるのはサロンカーと呼ばれるお茶するための車両で、ラリックによるガラスパネルを見ることができます。
それもただ中に入って見るのではなく、実際にサロンカーの客席に座り、お茶とお菓子をいただきながらの鑑賞です。
内部見学には別料金(2,100円)が必要で、10:00〜16:00の毎正時から45分間が見学時間になります。
正直、最初は「2,100円は高い!」と思いましたが、本物のオリエント急行に乗れるチャンスなんてなかなかあるものじゃないですし、何よりもこのときに出たコーヒーとお菓子がなかなかおいしい。あんまりおいしかったので、コーヒー豆はあとで買って帰ったほどです。
コーヒーはポットにゆうに3杯半は入ってましたね。「こんなにいらねえからもっと安くしろ」という人もいるかもしれませんが、さすがにオリエント急行の車両の中でそんなビンボくさいことを考えるのはいかがなものかって感じなので、ありがたく3杯半飲んでお腹がガバガバになりました(その行為がすでにビンボくさいっつーの)。
ちなみに、この日は他に乗客(?)はいなくて、貸切状態。途中、係の人が内部の説明にきましたが、あとはまったりと過ごしました。
走ってない列車の車両に乗ってるのって、考えようによっては非常に間抜けではありますが、かといってわざとらしく音楽とか流れてきてももっと寒い気がするので、そこは想像力で「私は貴族。ここはパリ」とか思いこみ、コーヒーを流し込むしかないのでしょう。
ただ、窓の外の景色がちょっとねぇ……ちょうど美術館の裏門の方向にあたるんですが、豆腐屋だったかクリーニング屋だったかなんだか忘れたけど、すごく現実に戻ってしまうような光景が視界に入ってきてかなり興ざめでした。樹木を生い茂らせて視界を防ぐとか、なんらかの対応を望みます。
そてにしても、驚くのは、この美術館のオーナーが「個人」だということ。
つまり、ラリックのコレクションもオリエント急行も私財で購入したということです。
いったいどんな金持ちなんだ。日本人にも富豪っているんですね。
車両の中に入る前に、「オリエント急行をどうやってここまで運んできたか」という軽いドキュメンタリーのような映像を見せてもらったんですが、横浜の港から入り、巨大なトレーラーに乗せられて箱根の急坂をのぼっていくオリエント急行の姿に圧倒されました。
もちろん、こんな大きいもの、建物に簡単に出し入れできませんから、まず「美術館建設予定地」の片隅に車両を設置し、それから車両を格納するための建物を外側に作ったそうです。
いや、もう考えられないスケールですわ。順番からいうと「オリエント急行買っちゃったから、保管場所作ろう」っていうノリで美術館作った感じ。さらに、「保管場所作ったついでにたまっちゃったラリックコレクションも飾っておくか」って感じか。おそらく、このオーナーにとっては、この美術館は趣味のための倉庫なんでしょう。
皆さんも箱根にお越しの際はぜひオリエント急行で「アガサ・クリスティごっこ」をしていってください。
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「RE>PLAY〜一度は観たい不滅の定番」
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
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