古伊万里★新伊万里
劇作家・唐沢伊万里の身辺雑記です
「ガマの油」の正体
前回の旅行の話の続きをします。
筑波といえば「ガマの油
」で有名。
若い人は知らないかな。。。。
まずは江戸時代から伝承されてきたという「ガマの油売り」の口上からお聞きください(ちなみにガマはヒキガエルのことです。念のため)。
以上が、口上の内容です(括弧内の動作説明=ト書きは私が補足しました)。
もともとは大坂の陣で徳川方に味方した筑波山大御堂の光誉上人が、ガマの油に野草成分と植物油を加えて作った練り薬を戦場での傷薬として使ったところ、非常に効果があったために評判になったというのが始まり。
まあ、要するに効能からみるとメンソレータムかタイガーバームみたいなものだと思うのですが、それがここまで有名になったのは、その後、筑波山麓に住む永井兵助という香具師が、「ガマの油売りの口上」を考えて江戸で商売したのが大当たりをとったから。
もちろんガマの油じたいもバカ売れしたんだと思いますが、それ以上に口上のおもしろさが評判を呼び、以後、この口上は単なる実演販売にとどまらず、舞台上のセリフで使われたりするなどひとつの「民俗娯楽芸能」として発展していきました。
ですから、今残っている口上はエンターテインメント重視で脚色され、実際の薬の効能よりはかなり大袈裟に表現されているようです。
「ガマの油の口上」の魅力は以下の4点に集約されるのではないでしょうか。
1)「ガマの四方を鏡で囲み、ガマが自分の姿があまりにも醜いのに驚いて流す脂汗を煮詰めて作った」というガマ虐待(?)による製造過程のユニークさ
…鏡の話はともかくとして、実際にガマにストレスを与えると耳線からある種の粘液を出すのは本当らしい。これは蟾酥(センソ)と呼ばれる毒物成分を含み、外敵に対する攻撃として用いられるようだが、麻薬コカインの数十倍の強い局所麻痺作用と、血管収縮作用、さらにステロイドと同様の抗炎症作用があることから、刀傷による痛みと出血に効果があったのではないかと言われている。また近年になって「強心興奮作用」があることもわかり、今でも中国の「六神丸」という強心薬にはこの蟾酥が使われているという。
2)「ただのガマじゃなくて四六のガマからとれる油」という稀少性の強調
…「四六のガマ」とは、前足4本で後ろ足6本のガマのこと。普通、脊椎動物は前足も後ろ足も5本なので、このガマは筑波山麓だけに生息する特別なガマなのだと言いたいらしいが、じつはガマの手足の突起は微妙な形をしているため、どのガマでも見ようによっては4×6に見えるらしい。
3)紙を切り刻むパフォーマンスの鮮やかさと実際に手を切ってみせるというショッキングな演出
…細かく切った紙吹雪はあらかじめ仕込んであるらしいが、手を切るのは本当にやるんだそうです。たしかにここまでやられたらお客も買っちゃうでしょうね。ていうか、血まで出して売れなかったら泣いちゃいますよ。
4)すべてを包括する話術の巧みさ
…刀さばきも重要だけど、最終的にものを言うのはこれでしょう。今でもこの話術を後世に伝えるために「筑波山ガマ口上保存会」なるものが結成され、ここに認定を受けると「×代目永井兵助」という称号をもらえるらしい。ちなみに今回泊まった旅館の女将はこの称号を持っているらしく、ロビーには免状も飾られていたし、売店ではCDも販売されてました。
このように、口上の伝統は現在にいたるまで伝承されているのですが、肝心のガマの油を製造していた「蝦蟇の油本舗」という店じたいは平成10年に閉店してしまいました。
なので、残念ながら今は「純正・ガマの油」は手に入りません。
筑波山周辺の売店などで、観光客向けの「ガマの油もどき」は売られていますが、パッケージがそれらしいだけで、成分をみるとワセリンとかスクワランとかラノリンとかハッカ油とか、ただの保湿クリームと変わりません。まあ、話の種としてお土産に買って帰るのは悪くないと思いますが…。
ところで、私はこの口上の文句を断片的に知ってはいたものの、通してちゃんと読んだのは今回が初めてでした。
で、すごい誤解をしていたことに気がつきました。
「一枚が二枚、二枚が四枚……」というくだりですが、私はてっきり「刃に油を塗るとこんなによく切れるようになりますよ」という証明をしてるのかと思ってました。
「こんなに切れる刀が油を塗ると切れなくなります」ということを証明するためにやっているのだと知ってびっくり。無知って恐ろしい。。。
それにしても「ガマの口上」ってあらためて見ると、ちりばめられているアイテムがなんとなくおどろおどろしいですよね。
「ガマ虐待」もそうだし、「奇形のガマ」もそうだし、「出血パフォーマンス」も。
決して明るくはないですよね。
昔の見せ物小屋に漂うようなエログロナンセンスの匂いがします。
大衆が喜ぶエッセンスがここにあるってことなのかな。

おみやげに買った「ガマの油」のパッケージ。

左がお土産に買った「ガマの油」。
右は旅館でもらった「ガマの油」。
成分を比べてみたけど、微妙に違う。
左のものは「ワセリン(石油成分)」
「合成着色料」「合成香料」は入っていないらしい。

旅館でもらった「ガマの油」の中身。
この薄ピンク色が「ガマの油」の特徴なんだそうだ。
実際は紫草かなにかで色を出しているらしいが、
無色透明でないところがなんとも毒々しい感じでいい。

旅館のロビーのテラスでは、紅葉
を見ながら
足湯を楽しめるコーナーがあった。
浸かってるときは気持ちいいけど、
ここの温泉は意外に湯冷めが早くて保温効果はいまいち。

旅館の部屋からの眺めはまるで屏風絵のようなワイドな景色で最高でした。
何かの眺めに似てると思ったんですが、
奈良の明日香の甘橿丘から大和三山を眺めた光景になんとなく似てるかも。。。

関東平野の夕景。日が短い季節のはずなのに、
なぜか日没のスピードがゆっくりしていて、
完全に暗くなるまでに随分時間がかかりました。
筑波といえば「ガマの油

」で有名。若い人は知らないかな。。。。
まずは江戸時代から伝承されてきたという「ガマの油売り」の口上からお聞きください(ちなみにガマはヒキガエルのことです。念のため)。
サアーサアー、お立合ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで。
遠出山越え笠のうち、聞かざる時は物の黒白出方善悪がとんとわからない。
山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴ると言いども、童児来って鐘に撞木を当てざれば、鐘が鳴るのか撞木が鳴るのか、とんとその音色がわからない。
サテお立合。
手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油。
ガマと申してもただのガマとガマが違う。
これより北、北は筑波山のふもとは、おんばこと云う露草をくろうて育った四六のガマ。
四六五六はどこで見分ける。
前足の指が四本、後足の指が六本、合せて四六のガマ。
山中深く分け入って捕いましたるこのガマを、四面鏡ばりの箱に入れるときは、ガマはおのが姿の鏡に映るを見て驚き、タラーリタラーリと油汗を流す。
これをすきとり、柳の小枝にて三七・二十一日間、トローリトローリと煮つめましたるがこのガマの油。
このガマの油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬。
まだある。大の男の七転八倒する虫歯の痛みもぴたりと止る。
まだある。出痔いぼ痔、 はしり痔、はれもの一切、そればかりか刃物の切味も止める。
(ここで刀と紙を取り出す)
取り出したるは夏なほ寒き氷の刃。
(紙を折って刃を差し込み、半分、また半分とどんどん小さくなるまで切り刻んでいく)
一枚の紙が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚、十六枚が三十と二枚、三十二枚が六十四枚、六十四枚が一束と二十八枚。
(最後は花吹雪のように細かくなった紙を散らす)
ほれこの通り、ふっと散らせば比良の暮雪は落花の吹雪とござい。
これなる名刀も、一たびこのガマの油をつける時は、たちまち切味が止る。
おしてもひいても切れはせぬ。
(ガマの油を刃に塗って切れなくなったことを示す)
と云うてもなまくらになったのではない。
この様にきれいにふきとる時は元の切味となる。
(ここでガマの油を拭き取った刀で自分の腕を切り、血がにじみでるのを見せる。その切り傷にガマの油を塗ると血がとまる)
サーテお立合。
この様にガマの油の効能が分かったら遠慮は無用だ。
どしどし買って行きな。
以上が、口上の内容です(括弧内の動作説明=ト書きは私が補足しました)。
もともとは大坂の陣で徳川方に味方した筑波山大御堂の光誉上人が、ガマの油に野草成分と植物油を加えて作った練り薬を戦場での傷薬として使ったところ、非常に効果があったために評判になったというのが始まり。
まあ、要するに効能からみるとメンソレータムかタイガーバームみたいなものだと思うのですが、それがここまで有名になったのは、その後、筑波山麓に住む永井兵助という香具師が、「ガマの油売りの口上」を考えて江戸で商売したのが大当たりをとったから。
もちろんガマの油じたいもバカ売れしたんだと思いますが、それ以上に口上のおもしろさが評判を呼び、以後、この口上は単なる実演販売にとどまらず、舞台上のセリフで使われたりするなどひとつの「民俗娯楽芸能」として発展していきました。
ですから、今残っている口上はエンターテインメント重視で脚色され、実際の薬の効能よりはかなり大袈裟に表現されているようです。
「ガマの油の口上」の魅力は以下の4点に集約されるのではないでしょうか。
1)「ガマの四方を鏡で囲み、ガマが自分の姿があまりにも醜いのに驚いて流す脂汗を煮詰めて作った」というガマ虐待(?)による製造過程のユニークさ
…鏡の話はともかくとして、実際にガマにストレスを与えると耳線からある種の粘液を出すのは本当らしい。これは蟾酥(センソ)と呼ばれる毒物成分を含み、外敵に対する攻撃として用いられるようだが、麻薬コカインの数十倍の強い局所麻痺作用と、血管収縮作用、さらにステロイドと同様の抗炎症作用があることから、刀傷による痛みと出血に効果があったのではないかと言われている。また近年になって「強心興奮作用」があることもわかり、今でも中国の「六神丸」という強心薬にはこの蟾酥が使われているという。
2)「ただのガマじゃなくて四六のガマからとれる油」という稀少性の強調
…「四六のガマ」とは、前足4本で後ろ足6本のガマのこと。普通、脊椎動物は前足も後ろ足も5本なので、このガマは筑波山麓だけに生息する特別なガマなのだと言いたいらしいが、じつはガマの手足の突起は微妙な形をしているため、どのガマでも見ようによっては4×6に見えるらしい。
3)紙を切り刻むパフォーマンスの鮮やかさと実際に手を切ってみせるというショッキングな演出
…細かく切った紙吹雪はあらかじめ仕込んであるらしいが、手を切るのは本当にやるんだそうです。たしかにここまでやられたらお客も買っちゃうでしょうね。ていうか、血まで出して売れなかったら泣いちゃいますよ。
4)すべてを包括する話術の巧みさ
…刀さばきも重要だけど、最終的にものを言うのはこれでしょう。今でもこの話術を後世に伝えるために「筑波山ガマ口上保存会」なるものが結成され、ここに認定を受けると「×代目永井兵助」という称号をもらえるらしい。ちなみに今回泊まった旅館の女将はこの称号を持っているらしく、ロビーには免状も飾られていたし、売店ではCDも販売されてました。
このように、口上の伝統は現在にいたるまで伝承されているのですが、肝心のガマの油を製造していた「蝦蟇の油本舗」という店じたいは平成10年に閉店してしまいました。
なので、残念ながら今は「純正・ガマの油」は手に入りません。
筑波山周辺の売店などで、観光客向けの「ガマの油もどき」は売られていますが、パッケージがそれらしいだけで、成分をみるとワセリンとかスクワランとかラノリンとかハッカ油とか、ただの保湿クリームと変わりません。まあ、話の種としてお土産に買って帰るのは悪くないと思いますが…。
ところで、私はこの口上の文句を断片的に知ってはいたものの、通してちゃんと読んだのは今回が初めてでした。
で、すごい誤解をしていたことに気がつきました。
「一枚が二枚、二枚が四枚……」というくだりですが、私はてっきり「刃に油を塗るとこんなによく切れるようになりますよ」という証明をしてるのかと思ってました。
「こんなに切れる刀が油を塗ると切れなくなります」ということを証明するためにやっているのだと知ってびっくり。無知って恐ろしい。。。
それにしても「ガマの口上」ってあらためて見ると、ちりばめられているアイテムがなんとなくおどろおどろしいですよね。
「ガマ虐待」もそうだし、「奇形のガマ」もそうだし、「出血パフォーマンス」も。
決して明るくはないですよね。
昔の見せ物小屋に漂うようなエログロナンセンスの匂いがします。
大衆が喜ぶエッセンスがここにあるってことなのかな。
おみやげに買った「ガマの油」のパッケージ。
左がお土産に買った「ガマの油」。
右は旅館でもらった「ガマの油」。
成分を比べてみたけど、微妙に違う。
左のものは「ワセリン(石油成分)」
「合成着色料」「合成香料」は入っていないらしい。
旅館でもらった「ガマの油」の中身。
この薄ピンク色が「ガマの油」の特徴なんだそうだ。
実際は紫草かなにかで色を出しているらしいが、
無色透明でないところがなんとも毒々しい感じでいい。
旅館のロビーのテラスでは、紅葉
を見ながら足湯を楽しめるコーナーがあった。
浸かってるときは気持ちいいけど、
ここの温泉は意外に湯冷めが早くて保温効果はいまいち。
旅館の部屋からの眺めはまるで屏風絵のようなワイドな景色で最高でした。
何かの眺めに似てると思ったんですが、
奈良の明日香の甘橿丘から大和三山を眺めた光景になんとなく似てるかも。。。
関東平野の夕景。日が短い季節のはずなのに、
なぜか日没のスピードがゆっくりしていて、
完全に暗くなるまでに随分時間がかかりました。
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疲れも吹き飛ぶ筑波山の全方位ビュー
演奏会が終わった余韻もさめやらぬうちに、今年最後の「風水旅行」に行ってきました。
今回の吉方位は「北東」。
いやー、難しいですね、北東って。遠くまで行けるならいくらでも選択肢はあるんですが、近場というのが難しい。たとえば北なら日光とか、南西なら伊豆・箱根とか、北西なら軽井沢とか、いろいろあるんですが、あらためて考えると、北東はなかなかあえて行こうとはしない方位かもしれません。
普通に考えれば東京から見た近場の北東エリアは「茨城」です。
ただ一口に茨城といっても広いので、その中でどこに絞ろうか、いろいろ考えました。
で、決めたのが「1日目→筑波山、2日目→笠間」というプラン。
風水旅行には神社での参拝が欠かせませんが、これなら1日目は筑波山神社に、2日目は笠間稲荷に参詣できます。北東は「土」の気なので、「山」も「陶器」も相性がいい。
というわけで、高校時代の友人RISAと1泊2日の旅に出かけてきました。
筑波山はつくばエクスプレスの開通でぐっとアクセスがよくなったエリアです。
秋葉原からつくばまでが45分。そこからバスで筑波山神社周辺まで40分程度。ラッシュにあたるのがいやで早めの電車で行ったため、9時40分には神社に着いてしまいました。
筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」と称される人気の高い山で、日本百名山のひとつ。万葉集や百人一首などにもたびたび登場する由緒正しき霊峰です。
麓にある筑波山神社は、イザナギ&イザナミの神様を祀る「夫婦和合」「縁結び」の神社。ここから向かって左(西)の峰が男体山、右(東)の峰が女体山になります。男体山と女体山はほぼ同じ高さですが、6mほど女体山のほうが高い(877m)。微妙に“蚤の夫婦”なんですね。
両峰はちょうどふたこぶラクダのようにつながっており、神社のそばから真ん中の凹んだあたり(御幸ヶ原)まではケーブルカーで約8分程度。そこから左に行けば男体山の頂上とその周囲を散策できるハイキングコースがあり、右に行けば30分弱で女体山の山頂に出ます。女体山からはロープウェイで6分ほどでつつじが丘という麓の駅まで一気に降りることができます。
さて。この山をどういうコースで登るか……行く前にいろいろ考えました。
神社から山頂まで登り、両峰を制覇して帰りもつつじケ丘まで歩いて降りるというのがフルコースの登山になりますが、もちろん上まで登る気はまったくありませんでした(笑)。
ケーブルカーもロープウェイも文明の利器はすべて使おうと思っていましたが、それでもケーブルカーの駅とロープウェイの駅の間は歩かなくてはなりません(男体山山頂は、また元の場所に戻らなくては文明の利器が使えないので、申し訳ないけどコースから除外しました)。
問題は「ケーブルカーで御幸ヶ原まで登り、女体山山頂まで歩いてロープウェイで降りるか」「ロープウェイで女体山山頂まで登り、御幸ヶ原まで歩いてケーブルカーで降りるか」です。
地形から考えれば、後者のほうが「下り」を歩くことになるので楽そうですが、そうなるとつつじケ丘から出発して最後に神社参拝となってしまいます。
気持ちの問題ですが、やっぱり山じたいが神社の境内であると考えると、まず神社を参拝してから登るのが正しい気がして、結局前者のコースを選びました。
が、予想外だったのは、最も厳しい登りだったのは、じつは神社からケーブルカー乗り場までの石段だったこと(笑)。
まさかこんなところに難所が待っていようとは思いませんでしたよ。
ケーブルカーに一緒に乗ったおばさんは、ケーブルカーが上に着くまでの間、ずっと「こんなにきついって知ってたら来なかった
」「もう死にそう
」とひっきりなしに文句を言ってました(しかも筑波山をなめているのか着物姿だった。そりゃきついだろうよ)。
まあ、最初からきついってわかってたら覚悟もできてただろうけど、普通、ケーブルカー乗り場までの道があんなに険しいなんて思いませんからね。私たちも「ちょっとこの石段の傾斜こそケーブルカーで登るべきところなんじゃないの?」「なんで駅をこの石段の下に作らなかったの?」と文句たらたらでしたが、おばさんの文句のあまりの勢いに圧倒されて後半は静まりかえってしまいました。
ケーブルカー終点の御幸ヶ原はちょうど見晴台のような広い空間になっていて、それなりに展望は良かったのですが、本当にすごいのはこのあとに行った女体山山頂からの眺めです。正直、こんなにすごいと思ってませんでした。
普通、山頂といっても多少は視界を遮るようなもの(木とか他の山とか)があって、景色は額縁に入ったようにしか見えないことが多いと思うのですが、ここは文字通り視界を遮るものがなにもないんです。大きな岩が重なり合って積み上がっていて、そこの一番高いところに立つと、足もとから麓までストーンッて感じ。
筑波山って有名だけど高さとしてはかなり「低い」山なので、そんなに眺望とか期待してなかったんですけど、認識をあらためました。
眺望って、自分が高いところにいればいいってものじゃないんですね。自分のいるところが高くても、まわりに障害物があれば「眺めの良さ」は実感できません。
昔、スイスの山に登ったときもそう思いました。場所は高いんだけど、まわりの山も皆高いんであまり高いところにいる気がしないんですよ。そこまで高くなると下まで見晴らすこともできないしね。
ところが、筑波山のまわりってひたすら平らなんですよ。関東平野がダラダラとどこまでも続いていて、山らしい山がなにもない。これだけ真っ平らなら、そりゃあ877mでも目立つよなーと実感。
山頂までの登りは、運動不足の私にはそれなりにしんどかったんだけど、冷静に考えれば、あの程度登っただけでこの眺めが手に入るというのはかなりのお値打ち登山だと思います。
折しも、その日のお天気はピーカンの快晴
。思った以上に暖かかったし、最高の筑波詣でとなりました。
筑波山、お勧めです。
「古くから愛されてきた山」という話に納得しつつ、ロープウェイで下山しました。
以下、山頂で撮った写真をアップします。クリックすると画像が少し大きくなるので、ちょっとでも大きくして雰囲気をお楽しみください。

ケーブルカーの終点「御幸ヶ原」からの展望。
左奥にはお隣栃木県日光の男体山も見えました。

女体山頂上に立つRISA。
写真だと伝わらないけど、ここに立つのはけっこうこわいんですよ。
足もとは常に緊張。。。

山頂にいた「ストレッチおじさん」。なんでわざわざこんな断崖絶壁の突端みたいなところでストレッチするんだろう。本当に気持ちいいのか???
空の中央に見える鳥のようなものは飛行機です。

時間的に逆光になってしまってよく見えませんでしたが、早朝にはこちらの方角に富士山
が見えたそうです。新宿の高層ビルまで見えることもあるとか。

こんなところで初日の出
が見られたら最高でしょうねー。
秋〜冬は、ここから夜景を見るツアーもあるそうです。

女体山山頂から見たお隣の男体山山頂。
今回の吉方位は「北東」。
いやー、難しいですね、北東って。遠くまで行けるならいくらでも選択肢はあるんですが、近場というのが難しい。たとえば北なら日光とか、南西なら伊豆・箱根とか、北西なら軽井沢とか、いろいろあるんですが、あらためて考えると、北東はなかなかあえて行こうとはしない方位かもしれません。
普通に考えれば東京から見た近場の北東エリアは「茨城」です。
ただ一口に茨城といっても広いので、その中でどこに絞ろうか、いろいろ考えました。
で、決めたのが「1日目→筑波山、2日目→笠間」というプラン。
風水旅行には神社での参拝が欠かせませんが、これなら1日目は筑波山神社に、2日目は笠間稲荷に参詣できます。北東は「土」の気なので、「山」も「陶器」も相性がいい。
というわけで、高校時代の友人RISAと1泊2日の旅に出かけてきました。
筑波山はつくばエクスプレスの開通でぐっとアクセスがよくなったエリアです。
秋葉原からつくばまでが45分。そこからバスで筑波山神社周辺まで40分程度。ラッシュにあたるのがいやで早めの電車で行ったため、9時40分には神社に着いてしまいました。
筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」と称される人気の高い山で、日本百名山のひとつ。万葉集や百人一首などにもたびたび登場する由緒正しき霊峰です。
麓にある筑波山神社は、イザナギ&イザナミの神様を祀る「夫婦和合」「縁結び」の神社。ここから向かって左(西)の峰が男体山、右(東)の峰が女体山になります。男体山と女体山はほぼ同じ高さですが、6mほど女体山のほうが高い(877m)。微妙に“蚤の夫婦”なんですね。
両峰はちょうどふたこぶラクダのようにつながっており、神社のそばから真ん中の凹んだあたり(御幸ヶ原)まではケーブルカーで約8分程度。そこから左に行けば男体山の頂上とその周囲を散策できるハイキングコースがあり、右に行けば30分弱で女体山の山頂に出ます。女体山からはロープウェイで6分ほどでつつじが丘という麓の駅まで一気に降りることができます。
さて。この山をどういうコースで登るか……行く前にいろいろ考えました。
神社から山頂まで登り、両峰を制覇して帰りもつつじケ丘まで歩いて降りるというのがフルコースの登山になりますが、もちろん上まで登る気はまったくありませんでした(笑)。
ケーブルカーもロープウェイも文明の利器はすべて使おうと思っていましたが、それでもケーブルカーの駅とロープウェイの駅の間は歩かなくてはなりません(男体山山頂は、また元の場所に戻らなくては文明の利器が使えないので、申し訳ないけどコースから除外しました)。
問題は「ケーブルカーで御幸ヶ原まで登り、女体山山頂まで歩いてロープウェイで降りるか」「ロープウェイで女体山山頂まで登り、御幸ヶ原まで歩いてケーブルカーで降りるか」です。
地形から考えれば、後者のほうが「下り」を歩くことになるので楽そうですが、そうなるとつつじケ丘から出発して最後に神社参拝となってしまいます。
気持ちの問題ですが、やっぱり山じたいが神社の境内であると考えると、まず神社を参拝してから登るのが正しい気がして、結局前者のコースを選びました。
が、予想外だったのは、最も厳しい登りだったのは、じつは神社からケーブルカー乗り場までの石段だったこと(笑)。
まさかこんなところに難所が待っていようとは思いませんでしたよ。
ケーブルカーに一緒に乗ったおばさんは、ケーブルカーが上に着くまでの間、ずっと「こんなにきついって知ってたら来なかった
」「もう死にそう
」とひっきりなしに文句を言ってました(しかも筑波山をなめているのか着物姿だった。そりゃきついだろうよ)。まあ、最初からきついってわかってたら覚悟もできてただろうけど、普通、ケーブルカー乗り場までの道があんなに険しいなんて思いませんからね。私たちも「ちょっとこの石段の傾斜こそケーブルカーで登るべきところなんじゃないの?」「なんで駅をこの石段の下に作らなかったの?」と文句たらたらでしたが、おばさんの文句のあまりの勢いに圧倒されて後半は静まりかえってしまいました。
ケーブルカー終点の御幸ヶ原はちょうど見晴台のような広い空間になっていて、それなりに展望は良かったのですが、本当にすごいのはこのあとに行った女体山山頂からの眺めです。正直、こんなにすごいと思ってませんでした。
普通、山頂といっても多少は視界を遮るようなもの(木とか他の山とか)があって、景色は額縁に入ったようにしか見えないことが多いと思うのですが、ここは文字通り視界を遮るものがなにもないんです。大きな岩が重なり合って積み上がっていて、そこの一番高いところに立つと、足もとから麓までストーンッて感じ。
筑波山って有名だけど高さとしてはかなり「低い」山なので、そんなに眺望とか期待してなかったんですけど、認識をあらためました。
眺望って、自分が高いところにいればいいってものじゃないんですね。自分のいるところが高くても、まわりに障害物があれば「眺めの良さ」は実感できません。
昔、スイスの山に登ったときもそう思いました。場所は高いんだけど、まわりの山も皆高いんであまり高いところにいる気がしないんですよ。そこまで高くなると下まで見晴らすこともできないしね。
ところが、筑波山のまわりってひたすら平らなんですよ。関東平野がダラダラとどこまでも続いていて、山らしい山がなにもない。これだけ真っ平らなら、そりゃあ877mでも目立つよなーと実感。
山頂までの登りは、運動不足の私にはそれなりにしんどかったんだけど、冷静に考えれば、あの程度登っただけでこの眺めが手に入るというのはかなりのお値打ち登山だと思います。
折しも、その日のお天気はピーカンの快晴
。思った以上に暖かかったし、最高の筑波詣でとなりました。筑波山、お勧めです。

「古くから愛されてきた山」という話に納得しつつ、ロープウェイで下山しました。
以下、山頂で撮った写真をアップします。クリックすると画像が少し大きくなるので、ちょっとでも大きくして雰囲気をお楽しみください。
ケーブルカーの終点「御幸ヶ原」からの展望。
左奥にはお隣栃木県日光の男体山も見えました。
女体山頂上に立つRISA。
写真だと伝わらないけど、ここに立つのはけっこうこわいんですよ。
足もとは常に緊張。。。
山頂にいた「ストレッチおじさん」。なんでわざわざこんな断崖絶壁の突端みたいなところでストレッチするんだろう。本当に気持ちいいのか???
空の中央に見える鳥のようなものは飛行機です。
時間的に逆光になってしまってよく見えませんでしたが、早朝にはこちらの方角に富士山
が見えたそうです。新宿の高層ビルまで見えることもあるとか。こんなところで初日の出
が見られたら最高でしょうねー。秋〜冬は、ここから夜景を見るツアーもあるそうです。
女体山山頂から見たお隣の男体山山頂。
コーロ・ヴィータ演奏会、無事終了
すでにご存じの方も多いかと思われますが、私の両親は声楽を教えていて、コーロ・ヴィータという女声合唱団をもっています。
先週の土曜日、そのコーロ・ヴィータの定期演奏会がありました。
コーロ・ヴィータ結成のきっかけは、東京男声合唱団というアマチュアの老舗男声合唱団(戦後すぐくらいからずっと活動している)に、父が指導にいったことでした(1996年〜)。
最初は男声合唱の演奏会だけをやっていたのですが、そのうちに「もうひとつ女声合唱団をつくれば、男声、女声、混声とすべてのレパートリーができる」と思うようになり、幸い人材も集まったので、女声合唱団を発足することになりました。
まずは2000年12月の東京男声合唱団の演奏会の一部に賛助出演する形でお披露目を行い、2002年4月のジョイント・コンサートを経て2003年10月に第1回演奏会を、続いて2005年6月に第2回演奏会を開催、そして今回無事3回目の演奏会を開くことになったという次第です。
世の中、混声合唱団は数多くありますが、男声合唱団と女声合唱団が共演する形で混声合唱を行うという演奏会はなかなかないと思います。そういう意味では非常に贅沢な企画です。
普段は、男声は男声、女声は女声とバラバラに練習していて、本番間近になると、合同練習を重ねて混声のレパートリーを仕上げていく…というのが基本的なやり方ですが、これは練習方法としても合理的だし、お互いに与える刺激もあって新鮮さも保てるようです。
いつも会場はこまばエミナースを使っているのですが、今回は初めてトッパンホールで、クリスマスキャロルばかりを集めたクリスマスヴァージョン
の演奏会を行いました。
トッパンホールは人気あるホールだけにきれいで良いホールなんですけど、交通の便が悪い(駅からかなり歩く)のと、当日の天気が
悪かったため、どれだけお客さんが来てくださるのかギリギリまで心配だったのですが、予想以上に盛況で、トッパンホールのスタッフにも「うちのホールでこんなにお客が入ったのを見たのは初めて」と驚かれたほどでした。
年末で忙しいときなのに本当にありがたいことです。
参考までに今回演奏したプログラムをご紹介します。
いつもの演奏会は、大曲+中品+小品いくつか…という構成で、今回のように小品をたくさん、しかもキャロルばかりという趣向は初めてだし、ソリストなしで通したのも今回が初めてでした。
「小品がたくさん」って、聴いているお客さんは「気楽な感じ」に思えるかもしれませんが、じつは「大曲」をまぜるよりずっと大変なんです。
歌っている人いわく、「こんなにいっぱい歌ってるのにまだこれしか時間がたってないの〜?
」と泣きたくなったそうで。
書くことにたとえると、「長編1本」より「短編複数」のほうがしんどいのと同じっていうか…。
スポーツにたとえると、「5000m走」より「50mダッシュ100本」のほうが苦しいのと同じっていうか…。
短い曲って最初から最後まで全力疾走だから、ずっとテンションあげっぱなしでいなきゃいけないし、しかも1曲終わるごとに拍手なんてこないから間がもてなくてどんどん進行が早くなってしまう。ペース配分も難しいんですよね。
それに曲数が増えればそれだけ練習時間はくわれるし、短いからすぐにこなせるってわけでもない。
皆さん、今回は今までになく疲れたようで、短編の恐ろしさを身にしみて感じたようです。
コーロ・ヴィータの演奏会は、完全に家内制工業で、父→指揮、母→代表兼マネージャー兼トレーナー、私→プログラムとチラシの制作&当日のロビー業務運営、弟→荷物運搬&送迎その他……という分担になっています。
プログラムは、自分で言うのもなんですけどタダで配るものとしてはけっこう豪華版です。内容は挨拶、プロフィール、曲目解説、歌詞、演奏記録…などこのあたりはどこのプログラムにもある内容だと思いますが、うちだけの特徴として毎回「特別コラム」を載せています。
内容は間際で考えますが、「その演奏会で演奏される曲目に関係することを書く」ということだけは決まっています。
たとえば、ヴェルディの「四つの聖歌」を演奏した2002年のジョイント・コンサートでは、四つのうちの一曲「スタバト・マーテル(悲しみの御母はたたずむ)」にちなんで、「“キリス磔刑図の横にたたずむ聖母”というモチーフを描いた宗教絵画を見比べてみると、最初は“スタバト・マーテル”の言葉通り毅然と立っていた聖母が、時代とともに嘆きをあらわにした表情になったり、派手に気絶したりするようになっていく」という現象について書いたし、オペレッタ「蝙蝠」のワルツを演奏した2003年の演奏会では「オペレッタからミュージカルへの系譜」というコラムを書きました。また、モーツァルトの「戴冠ミサ」を演奏した2005年の演奏会では、「未完の肖像画が語る人間ドラマ」というタイトルで、“肖像画”という切り口からモーツァルトの私生活を垣間見るコラムを書きました。
で、今年はクリスマスキャロルなので、クリスマスについて書くことは決まっていたんですけど、一口にクリスマスといってもあまりにも範囲が広すぎてなかなかこれといったテーマに絞れず、けっこう苦労しました。
最初はキリスト関係の話にしようかと思ったのですが、「教会でやるわけじゃないし、クリスマスだからといって必ずしも宗教的意味を感じる人ばかりじゃないだろうから」と思いなおし、むしろもっと軽く読める楽しい題材がいいかも…と選んだのが“クリスマス菓子”の話。
ほんとはディケンズの「クリスマス・キャロル」について書こうと思ってたんですが、そこに出てきた“クリスマス・プディング”なるお菓子の存在が気になり、ネットで調べていったらそっちのほうにはまりこみ、結局はお菓子ネタになってしまいました。
もう演奏会も終わったので、以下プログラムに載せたコラムを転載します。
読んでしまえばあっという間の短いコラムですが、ネタを探すのは毎回気苦労です。
もともとはページ数調整のために書いたのが始まりなんですが、なんとなく毎回書くのが恒例となってしまい……気がつけば「今度は何書くの?」というプレッシャーが加わるように。これがなければプログラム作りはぐっと楽になるんですが。
ただ、外注するとなると、テーマとか文字数とか早めに頼まなくてはなりませんが、自分で書く分には締切ギリギリまでひっぱれるし、文字数もレイアウトを同時に調整しながら書けるので安心かつ確実。「自分を使うって便利だなー」と思いつつ、自分に便利に使われている自分っていったい
……とも思ったりします。
とりあえず、無事演奏会が終わって重責から解放されました。
これでなんとか心やすらかに年を越せそうです。

トッパンホールのロビー。

立体の座席表もおしゃれ!座席数は400といつも使うホールに比べるとやや少な目。

10時半よりゲネプロ開始。本番前に全曲通すので、指揮者もコーラスもペース配分が大変です。

ゲネプロ中。

アンコール最終曲の「きよしこの夜」では、照明を落として“キャンドルサービス”ならぬ“ルミカライトサービス”を行う演出を。ゲネプロで初めて練習しました。

初めて道具を使った類人猿……じゃなかった(←失礼)。折ると光るルミカライトに興味津々の東京男声合唱団のおじさま方。

ゲネプロ終了直後のホール内。
最後列から舞台を撮影。

本番です。東京男声合唱団が登場し、混声になるのはラストの第4部から。

1部〜2部の衣装は、白ブラウス&黒スカート&ゴールドのコサージュ。

3部〜4部の衣装は、金ラメ入りの白ブラウス&クリスマスカラーのグリーンのスカート。

「ジングルベル」では鈴の効果音も入ります。効果音担当者、とっても楽しそうでノリノリでした。

いつもソリストでゲスト出演してくれるソプラノの淵岡さん。今回はコーラスの助っ人としての出演のみでしたが、その美声は大勢の中でもひときわ目立っていて、メンバーをぐいぐいひっぱってくれました。淵岡さんの隣りで歌う人は自分もうまくなったような気分になれるのでお得です(笑)。
先週の土曜日、そのコーロ・ヴィータの定期演奏会がありました。
コーロ・ヴィータ結成のきっかけは、東京男声合唱団というアマチュアの老舗男声合唱団(戦後すぐくらいからずっと活動している)に、父が指導にいったことでした(1996年〜)。
最初は男声合唱の演奏会だけをやっていたのですが、そのうちに「もうひとつ女声合唱団をつくれば、男声、女声、混声とすべてのレパートリーができる」と思うようになり、幸い人材も集まったので、女声合唱団を発足することになりました。
まずは2000年12月の東京男声合唱団の演奏会の一部に賛助出演する形でお披露目を行い、2002年4月のジョイント・コンサートを経て2003年10月に第1回演奏会を、続いて2005年6月に第2回演奏会を開催、そして今回無事3回目の演奏会を開くことになったという次第です。
世の中、混声合唱団は数多くありますが、男声合唱団と女声合唱団が共演する形で混声合唱を行うという演奏会はなかなかないと思います。そういう意味では非常に贅沢な企画です。
普段は、男声は男声、女声は女声とバラバラに練習していて、本番間近になると、合同練習を重ねて混声のレパートリーを仕上げていく…というのが基本的なやり方ですが、これは練習方法としても合理的だし、お互いに与える刺激もあって新鮮さも保てるようです。
いつも会場はこまばエミナースを使っているのですが、今回は初めてトッパンホールで、クリスマスキャロルばかりを集めたクリスマスヴァージョン
の演奏会を行いました。トッパンホールは人気あるホールだけにきれいで良いホールなんですけど、交通の便が悪い(駅からかなり歩く)のと、当日の天気が
悪かったため、どれだけお客さんが来てくださるのかギリギリまで心配だったのですが、予想以上に盛況で、トッパンホールのスタッフにも「うちのホールでこんなにお客が入ったのを見たのは初めて」と驚かれたほどでした。年末で忙しいときなのに本当にありがたいことです。
参考までに今回演奏したプログラムをご紹介します。
1.近代フランスの聖歌<女声合唱>
「Ave verum corpus」 (プーランク作曲)
「Ave Maria」(プーランク作曲)
「Tota pulchra es Maria」(デュリュフレ作曲)
2.伝統的なクリスマスソング<女声合唱>
「まきびと羊を<賛美歌103>」(ウィルコックス編曲)
「世の人忘るな<賛美歌第2編128>」(ウィルコックス編曲)
「み空をはせ行く<旧賛美歌92>」(ウィルコックス編曲)
「柊と蔦は<賛美歌第2編217>」(ラッター編曲)
「クリスマスおめでとう」(ラッター編曲)
「神の御子は今宵しも<賛美歌111>」(ウィルコックス編曲)
3.ジョン・ラッターのクリスマスキャロル<女声合唱>
「降誕祝歌」
「羊飼いの笛」
「ろうそくの光」
「ろばのキャロル」
「クリスマスの子守歌」
4.ポピュラーなクリスマスソング<混声合唱>
「ジングルベル」(ピアポント作曲/蒔田尚昊編曲)
「ホワイトクリスマス」(バリーン作曲/ショウ、蒔田尚昊編曲)
「赤鼻のトナカイ」(マークス作曲/デ・コーミエル、蒔田尚昊編曲)
「オー・ホーリィ・ナイト」(アダム作曲/蒔田尚昊編曲)
アンコール曲<混声合唱>
「What sweeter Music can we bring」(ラッター作曲)
「きよしこの夜」(グルーバー作曲/蒔田尚昊編曲)
いつもの演奏会は、大曲+中品+小品いくつか…という構成で、今回のように小品をたくさん、しかもキャロルばかりという趣向は初めてだし、ソリストなしで通したのも今回が初めてでした。
「小品がたくさん」って、聴いているお客さんは「気楽な感じ」に思えるかもしれませんが、じつは「大曲」をまぜるよりずっと大変なんです。
歌っている人いわく、「こんなにいっぱい歌ってるのにまだこれしか時間がたってないの〜?
」と泣きたくなったそうで。書くことにたとえると、「長編1本」より「短編複数」のほうがしんどいのと同じっていうか…。
スポーツにたとえると、「5000m走」より「50mダッシュ100本」のほうが苦しいのと同じっていうか…。
短い曲って最初から最後まで全力疾走だから、ずっとテンションあげっぱなしでいなきゃいけないし、しかも1曲終わるごとに拍手なんてこないから間がもてなくてどんどん進行が早くなってしまう。ペース配分も難しいんですよね。
それに曲数が増えればそれだけ練習時間はくわれるし、短いからすぐにこなせるってわけでもない。
皆さん、今回は今までになく疲れたようで、短編の恐ろしさを身にしみて感じたようです。
コーロ・ヴィータの演奏会は、完全に家内制工業で、父→指揮、母→代表兼マネージャー兼トレーナー、私→プログラムとチラシの制作&当日のロビー業務運営、弟→荷物運搬&送迎その他……という分担になっています。
プログラムは、自分で言うのもなんですけどタダで配るものとしてはけっこう豪華版です。内容は挨拶、プロフィール、曲目解説、歌詞、演奏記録…などこのあたりはどこのプログラムにもある内容だと思いますが、うちだけの特徴として毎回「特別コラム」を載せています。
内容は間際で考えますが、「その演奏会で演奏される曲目に関係することを書く」ということだけは決まっています。
たとえば、ヴェルディの「四つの聖歌」を演奏した2002年のジョイント・コンサートでは、四つのうちの一曲「スタバト・マーテル(悲しみの御母はたたずむ)」にちなんで、「“キリス磔刑図の横にたたずむ聖母”というモチーフを描いた宗教絵画を見比べてみると、最初は“スタバト・マーテル”の言葉通り毅然と立っていた聖母が、時代とともに嘆きをあらわにした表情になったり、派手に気絶したりするようになっていく」という現象について書いたし、オペレッタ「蝙蝠」のワルツを演奏した2003年の演奏会では「オペレッタからミュージカルへの系譜」というコラムを書きました。また、モーツァルトの「戴冠ミサ」を演奏した2005年の演奏会では、「未完の肖像画が語る人間ドラマ」というタイトルで、“肖像画”という切り口からモーツァルトの私生活を垣間見るコラムを書きました。
で、今年はクリスマスキャロルなので、クリスマスについて書くことは決まっていたんですけど、一口にクリスマスといってもあまりにも範囲が広すぎてなかなかこれといったテーマに絞れず、けっこう苦労しました。
最初はキリスト関係の話にしようかと思ったのですが、「教会でやるわけじゃないし、クリスマスだからといって必ずしも宗教的意味を感じる人ばかりじゃないだろうから」と思いなおし、むしろもっと軽く読める楽しい題材がいいかも…と選んだのが“クリスマス菓子”の話。
ほんとはディケンズの「クリスマス・キャロル」について書こうと思ってたんですが、そこに出てきた“クリスマス・プディング”なるお菓子の存在が気になり、ネットで調べていったらそっちのほうにはまりこみ、結局はお菓子ネタになってしまいました。
もう演奏会も終わったので、以下プログラムに載せたコラムを転載します。
特別コラム「クリスマスプディングは熟女の味わい?!」
本日の演奏会で歌われる「クリスマスおめでとう」の歌詞中に「figgy pudding(いちじくのプディング)」という言葉が何回も出てくる。これほど熱狂的に連呼される「いちじくのプディング」とはいったいどんなお菓子なのだろうか。
クリスマスのお菓子といえば、日本ではふわふわのスポンジ生地+真っ白なホイップクリーム+真っ赤ないちご…というショートケーキが思い浮かぶが、国によってクリスマス菓子の定番はさまざまだ。フランスの「ブッシュ・ド・ノエル」、イタリアの「パネトーネ」、ドイツの「シュトーレン」などなど。
それぞれに「いわく」があったり、「決まり事」があったりして調べていくと楽しいのだが、その中でもインパクトという点で群を抜いているのがイギリスの伝統的クリスマス菓子「クリスマス・プディング」である。
一言でいうと「ドライフルーツが大量に入ったパンプディング」だ(冒頭の「いちじくのプディング」はこれを指していると思われる)。
幼少期にロンドンに住んでいた友人にどんな味か聞いてみたところ、「とにかくあまりの甘さと濃厚さに卒倒しそうになる」という答え。要するにまずいらしい。と言いながらも「でもねぇ、今でもなんかクリスマスになると無性にアレが食べたくなって、輸入菓子店で買ってきては『おー、これこれ。このまずさ』とか言いながら食べちゃうのよね」と続けていたので、やはりインパクト抜群であることはたしかだ。
クリスマス・プディングを作るのは非常に手間がかかる。まず、レーズンを主体としたさまざまなドライフルーツ類をお酒に漬け込むのに1週間。これにくるみなどのナッツ類、シナモンなどのスパイス類、牛脂(ケンネ脂と呼ばれる腎臓付近の上質な脂。バターのように溶けやすい)、卵、砂糖、生パン粉をまぜたものを一晩寝かせ、翌日に型に入れ、半日かけて蒸す。蒸しあがったものは1ヶ月熟成させて味をなじませ、クリスマス当日には数時間かけて蒸し直したものにヒイラギの葉を飾り、ブランデーバターを添えていただく。
これまたクリスマスの定番であるディケンズの「クリスマス・キャロル」の中では、クリスマス・プディングの登場シーン(最後に火をつけたブランデーを上からかける)が生き生きと描写されていて、この作品のヒットとともにクリスマス・プディングの知名度も一気に広まった。「クリスマス・キャロル」はヴィクトリア朝時代の小説だが、イギリスのクリスマスの食卓の光景は今でもほとんど変わっていないという。
クリスマス・プディングは作ってから1ヶ月で食べ頃になるが、1年くらいは日持ちするそうなので、熟成したクリスマス・プディングが好きな人はクリスマスが終わるとすぐに翌年のクリスマス・プディングづくりにとりかかるという。ケーキは「本日中に食べるもの」という固定観念がある日本人から見るとなんとも不思議な感覚だ。
しかし、こうしてみると各国のクリスマス菓子は日持ちのするタイプが多く、生菓子タイプのものは少数派である。日持ちといえば、イギリスでは、クリスマスとその翌日は「ローストターキーの余りものをサンドウィッチやシチューに再利用する」などして主婦も家事を休むのだという。これは日本のおせち料理の感覚に似ていないだろうか? 日頃は離れている家族が唯一顔を合わせて骨休めをする日──日本ではお正月にあたる「特別休暇」がイギリスではクリスマスなのかもしれない。
ちなみに、クリスマス・プディングには、蒸すときに生地の中に銀貨などを隠し入れて、切り分けられたプディングにそれが入っていた人には来年幸運が訪れるという「フォーチュン・クッキー」のような趣向もあり、これなどはまさに年頭の「おみくじ」そのものだ。
読んでしまえばあっという間の短いコラムですが、ネタを探すのは毎回気苦労です。
もともとはページ数調整のために書いたのが始まりなんですが、なんとなく毎回書くのが恒例となってしまい……気がつけば「今度は何書くの?」というプレッシャーが加わるように。これがなければプログラム作りはぐっと楽になるんですが。

ただ、外注するとなると、テーマとか文字数とか早めに頼まなくてはなりませんが、自分で書く分には締切ギリギリまでひっぱれるし、文字数もレイアウトを同時に調整しながら書けるので安心かつ確実。「自分を使うって便利だなー」と思いつつ、自分に便利に使われている自分っていったい
……とも思ったりします。とりあえず、無事演奏会が終わって重責から解放されました。

これでなんとか心やすらかに年を越せそうです。
トッパンホールのロビー。
立体の座席表もおしゃれ!座席数は400といつも使うホールに比べるとやや少な目。
10時半よりゲネプロ開始。本番前に全曲通すので、指揮者もコーラスもペース配分が大変です。
ゲネプロ中。
アンコール最終曲の「きよしこの夜」では、照明を落として“キャンドルサービス”ならぬ“ルミカライトサービス”を行う演出を。ゲネプロで初めて練習しました。
初めて道具を使った類人猿……じゃなかった(←失礼)。折ると光るルミカライトに興味津々の東京男声合唱団のおじさま方。
ゲネプロ終了直後のホール内。
最後列から舞台を撮影。
本番です。東京男声合唱団が登場し、混声になるのはラストの第4部から。
1部〜2部の衣装は、白ブラウス&黒スカート&ゴールドのコサージュ。
3部〜4部の衣装は、金ラメ入りの白ブラウス&クリスマスカラーのグリーンのスカート。
「ジングルベル」では鈴の効果音も入ります。効果音担当者、とっても楽しそうでノリノリでした。

いつもソリストでゲスト出演してくれるソプラノの淵岡さん。今回はコーラスの助っ人としての出演のみでしたが、その美声は大勢の中でもひときわ目立っていて、メンバーをぐいぐいひっぱってくれました。淵岡さんの隣りで歌う人は自分もうまくなったような気分になれるのでお得です(笑)。
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Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
「演劇って、興味なくはないけど何を選んだらいいのかわからなくて」………ビギナーが感じがちなそんな敷居の高さを取り払うために書きました。
数多い名作の中から「再演されたことのある作品」に絞り、 唐沢がお勧めの25本について熱く語りたおします。ビギナーからオタクまで、全種適用OK!
Webサイトで連載していた演劇評をまとめて出版したものです。
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